「パリのパン屋の香りがしてうれしいよ」
吉祥寺、大正通り商店街のたばこ屋さんとブティックの間の脇道に入ると、透明なガラス張りのお店が見えてくる。『リベルテ東京本店』はフランス・パリのブーランジェ『リベルテ』の世界展開1号店として2018年にオープン。日本に住むフランス人は「ここへ来ると、パリのパン屋さんの香りがしてうれしいよ」と称賛。「本国のお店よりおいしいかも」なんて仏『リベルテ』のオーナーからもお墨付きを頂戴するほどレベルの高いパンが並んでいる。
本場の高品質な材料で仕上げる絶品のクロワッサンが名物
「『リベルテ』と言えばクロワッサン」。そんなふうに言われることも多いというクロワッサンは、外はサクサク、中はミルク風味豊かなバターの味わいが豊かに広がり、これだけでも満足感の高い一品。真っ赤なシマシマ模様が印象的なクロワッサン リンツァーは、甘酸っぱいフランボワーズジャム入り。どちらもAOPバターというEUの厳しい条件をクリアした高品質のバターをたっぷりと使用する。
質へのこだわりは小麦粉にも。特にバゲットやハード系のパンはフランスの老舗製粉会社であるムーランブルジョワ社の小麦粉を使う。フランスのバゲットコンクールで賞を獲得するような名高いパン職人たちからも支持を集めるムーランブルジョワ社と直接取引するブランドは日本では『リベルテ』のみだとか。
100年続く店づくりで吉祥寺の街と寄り添う
「フランスの『リベルテ』のある場所は、吉祥寺によく似ています。サンマルタン運河という緑が豊かで憩いの場になる水辺があって、若い人から古くからいる人まで、いろいろな人や価値観が交わるような街なんです。フランスでは古いものほど価値があると言われています。吉祥寺の『リベルテ』もお店を作ってお客さんを集めておしまい、という考えではありません。吉祥寺の街に100年続くお店を目指しています」と広報の篠崎さん。
100年先の吉祥寺はどんな街になっているのだろう。その頃の『リベルテ』は老舗となって吉祥寺を盛り上げているに違いない。フランス本国のレシピを忠実に守りつつ、日本にフィットするように少しアレンジを加えたパンは、すっかり吉祥寺の人々に定着しはじめている。
構成=フリート 取材・文・撮影=宇野美香子