◆散歩コース◆

体力度:★★☆
難易度:★☆☆

  • 登山シーズン 1月~6月、9月~12月
  • 最高地点 801.2m(高松山)
  • 歩行開始地点 260m(田代向バス停)
  • 歩行時間 4時間40分
  • 歩行距離 約13.5km
スタート
田代向バス停
中津川を渡って左折し支流の虫沢川から川沿いの道を進み、三叉路で 右へ。左は尺里峠。約1㎞で入口。

はなじょろ道入口
入口に「はなよめの鐘」。ジグザグの急坂を上がり、斜面につけられたはなじょろ道をひたすら上がって行く。

ヒネゴ沢乗越
入口から約1時間でヒネゴ沢乗越。左手の尾根道を行く。途中から広い緩やかな道になると山頂はすぐ。

高松山
山頂直下には男坂と女坂あり。女坂が楽。その先も広く緩い坂道で歩きやすい。富士見台から尺里峠へ。

尺里峠
五叉路の峠から最明寺方向へ下りる。右手に富士山。左手に相模湾。道標からJR山北駅方面へ右折。

旧高松分校
分岐から5分も歩くと右手に旧高松分校。バス停までは長い車道を下る。約1時間、これが最後の試練だ。

ゴール
高松山入口バス停


アクセス:
[行き]小田急線小田原線新宿駅から新松田駅へ。新松田駅から富士急湘南バスで田代向バス停、約1時間55分。
[帰り]高松山入口バス停から富士急湘南バスで新松田駅へ。新松田駅から小田急小田原線で新宿駅へ、約1時間45分。

高松山入口バス停からは新松田駅か山北駅、どちらにでも出られる。バス便は両駅とも1時間に1、2便。山北駅には歩いても30分程度で着く。

10年は経っていないが、丹沢の南、高松山の近くのシダンゴ山に行った際に、「はなじょろ道」という古道があると地元の人に教えてもらった。虫沢と八丁を結ぶ道で、明治の頃までは、はなじょろ(花嫁)が通ったりする生活道として使われていた古道だという。2011年に地元の「虫沢古道を守る会」が主体となって復活したそうで、一度は通ってみたいと思っていた。

さらに高松山の中腹には川村小学校の高松分校があり、廃校になったので寄ってみたかった。こちらはもう10年以上前に、子供たちが遊びまわっていた頃の分校に行ったことがあった。

古道と想い出の地に触れる山旅のスタートは新松田駅発のバス。バスの外の風景が以前とずいぶんと違う。なんだか騒々しい。バスが鉄板の上を走っている。そう、ここは新東名の工事現場だったのだ。田代向(たしろむかい)のバス停に下りると、ようやく静かでのどかな風景が待っていた。中津川を渡って支流の虫沢川沿いを上がって行く。

虫沢川に沿って点在する虫沢地区の風景。はなじょろ道入口まで、虫沢川沿いを上がって行く。
虫沢川に沿って点在する虫沢地区の風景。はなじょろ道入口まで、虫沢川沿いを上がって行く。

登山口のはなじょろ道入口から古道に入る。尾根のヒネゴ沢乗越まで、手書きの道標がところどころに。道はヒネゴ沢の上についているので、ず~っと斜面をトラバースしているようで、尾根道よりは滑落しやすい。たぶんしないとは思うけれど。

ヒネゴ沢沿いの登山道には手書きの道標が何箇所もある。
ヒネゴ沢沿いの登山道には手書きの道標が何箇所もある。
はなじょろ道の脇にミツマタの花。満開時期にはまだ少し早い。
はなじょろ道の脇にミツマタの花。満開時期にはまだ少し早い。

入口からほぼ1時間、展望皆無の道を登りきると、ヒネゴ沢乗越(のっこし)へ着いた。待っていたのは、道端の手づくりの可愛らしいオブジェ。「Welcome」と書いてある。

富士山から海まで見渡す、絶景広がる高松山山頂へ

乗越からは尾根歩きで、高松山山頂近くはなだらかで広い道。まもなく山頂へ着いた。広い草原(少々大げさ)のような山頂は、昔の記憶とは大違いで、抜群の景色。山頂付近にあったカヤトが切り払われ、富士山から海までの絶景。これほどの展望になっているとは。

以前はカヤトに囲まれていたが、今は至高の展望台になっている高松山山頂。左側の愛鷹山塊も、しっかりと見える。
以前はカヤトに囲まれていたが、今は至高の展望台になっている高松山山頂。左側の愛鷹山塊も、しっかりと見える。
高松山山頂から小田原方面を望む。正面には伊豆大島。相模湾に注ぐ酒匂川(さかわがわ)が見える。
高松山山頂から小田原方面を望む。正面には伊豆大島。相模湾に注ぐ酒匂川(さかわがわ)が見える。
高松山山頂から松田山を望む。
高松山山頂から松田山を望む。

あとで聞いた話では、近くに工場があるアサヒビールが力を貸して、山頂周辺を展望のいい場所に変えたようだ。

高松山から尺里(ひさり)峠までの下山道は広く歩きやすい。峠から高松集落へ下りて、以前に来たことのある分校へと向かった。

尺里峠にある馬頭観音(右)と石碑。石碑は「虫沢古道を守る会」が建てた他化自在天。第六天を祀るお堂跡に建てたようだ。
尺里峠にある馬頭観音(右)と石碑。石碑は「虫沢古道を守る会」が建てた他化自在天。第六天を祀るお堂跡に建てたようだ。

旧高松分校。戦後、開拓民が入植し人口が増えたので1956年に開校し、2010年に廃校となった。グラウンドの向こうに木造校舎が前と同じように立っていたが、子供たちがいない分校は、静まり返っている。

ひと休みしてから分校を後にし、麓までの長い車道歩き。バス停までは1時間あまり。車道歩きで膝ががくがくしてきた頃に、ようやくバス停に。満足の山歩きだった。

旧高松分校

神奈川県で最後の分校も平行して10年

高松地区は、戦後に酪農開拓に入った人たちが開いたところで、1956年に川村小学校の分校として開校した。生徒数も減り、閉校した2010年には2人だけに。校舎は村のシンボルとして地元の方が管理している。

アドバイス

はなじょろ道が整備されたことで、道標が多く、迷うことはなさそうだ。危険箇所もほとんどないので、初心者でも行けるコース。尺里峠から高松山をピストンするのが一番安全。

 

山歩きメモ

高松山へ登る場合は、田代向から虫沢古道で尺里峠へ出て山頂ピストンがいいだろう。尺里峠から同じく田代向へ戻るか、高松山入口バス停か、松田山へ行く方法も。

 

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若松食堂

登山者、地元民が集う地域密着型食堂

(上)ブリの刺身700円、(下)シュウマイ3個380円。どちらも旨い!
(上)ブリの刺身700円、(下)シュウマイ3個380円。どちらも旨い!

新松田駅からロマンス通りを行くと右手に王道の食堂。昔はそば屋で、今は定食充実の山麓酒場。お酒のつまみがけっこう豊富で、美味しい。定食はまだ食べたことがないが、たぶん旨いはずだ。飲みすぎないようにしたい。

●11:30~20:30LO(土曜は12:00~19:30LO)、日休(祝は不定)。小田急電鉄小田原線新松田駅北口から徒歩1分 ☏0465‐82‐1957。

 

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人日帰り山さんぽ』より