ライブラリーは地上5階、地下1階建てで、一般利用は2階までが可能となる。地下1階のラウンジでは村上春樹氏ゆかりのピアノや家具、世界各地で上演された『海辺のカフカ』の舞台装置などが展示され、併設のカフェとともに開放的な空間でくつろげる。
とりわけおすすめしたいのは、1階のギャラリーラウンジとオーディオルーム。デビューの1979年から2021年までの村上作品(ほぼ初版本!)をはじめ、日本で刊行された作品のみならず、村上氏による翻訳作品などが自由に閲覧できる空間だ。包みこまれるような座り心地のコクーンチェアなど、選びぬかれた家具とともに、音楽と読書体験を楽しむための仕掛けが満載。
村上氏はこの場所が「新しい文化の発信基地になるとともに、大学と街の人々がまじりあう環境になってくれれば」と期待を込める。同館のテーマは「物語を拓こう、心を語ろう」。この秋は、心ゆくまで没頭できる文学空間へ足を運んでみては。
「早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)」詳細
取材・文・撮影=吉岡百合子(編集部)
『散歩の達人』2021年11月号より