町工場とクリエイターが共存
お話を聞いたのは…
(左)京浜急行電鉄 島本光知子さん
「創造や仕事がどんどん広がる“梅森”はチャンスの場!」
(右)仙六屋・@カマタ代表 茨田禎之さん
「海苔の養殖業を営んできた家の5代目で、地元っ子です!」

高架下で育まれる新たな生態系

2019年、京急本線大森町駅〜梅屋敷駅間の高架下にカフェやシェアオフィス、工場などが同居する「梅森プラットフォーム」が開業。ものづくり複合施設と銘打つきっかけを作ったのは、並々ならぬ地元愛を持つ茨田禎之(ばらだ・よしゆき)さんだ。

茨田さんらの企画をまとめた自作の本。
茨田さんらの企画をまとめた自作の本。

エリアマネジメントと飲食業の「仙六屋」代表、不動産業者や建築家、デザイナーからなる「@カマタ」の共同代表を務める茨田さんは、高架下の未来予想図を「勝手に」本にまとめ、京浜急行電鉄(以下、京急)に提案。京急の思いと見事共鳴した。「まちを支える町工場で働く人の姿や技術力が見えにくかった。そこでさまざまな分野のクリエイターを呼び込み、今までにないエネルギーを生み出したいと。とはいえ、こんなチャレンジングな提案を受け入れてもらえるとは(笑)」と茨田さん。

町工場とクリエイターが対話を通して作品を創る「ラウンドテーブル」を定期的に開催。(写真提供=@カマタ)
町工場とクリエイターが対話を通して作品を創る「ラウンドテーブル」を定期的に開催。(写真提供=@カマタ)

地域のものづくりの新たなプロセス構築とアウトプットに向けた試みとして、町工場とクリエイターのコラボレーション企画を実施。催し物を通して地域の人々と交流できるようオープンスペースを設けた。「さまざまな年齢や職業の人たちが集まって、新たな生態系を形成できれば」と茨田さん。京急の島本光知子さんは「ここには町工場を中心として発展した大田区の生業や文化が息づいています。散歩しながらぜひ感じてほしいです」と話す。新名所の“梅森”で人々のエネルギーを肌で感じよう。

工房も併設! クリエイターの知が集う場『KOCA』

運営と空間デザインは「@カマタ」。料理家や建築家などのクリエイターが入居している。
運営と空間デザインは「@カマタ」。料理家や建築家などのクリエイターが入居している。

創業支援機能を持つシェアオフィスは創作に集中・没頭しやすい無機質な内装。14個室、20席。フリーアドレス利用(平日限定)は2時間550円。併設のファクトリー(原則月曜・一般利用1日2200円)には3Dプリンターやレーザーカッターなどの機械が充実。

「町工場と共同で照明作品を制作。よい緊張感があります」YOCHIYA 畑中庸一郎さん。
「町工場と共同で照明作品を制作。よい緊張感があります」YOCHIYA 畑中庸一郎さん。
大なり小なりアイデアをかたちにできるマシンを常備!
大なり小なりアイデアをかたちにできるマシンを常備!
気持ちのいい屋上!
気持ちのいい屋上!
かわいいサインあり。
かわいいサインあり。

『KOCA』店舗詳細

住所:東京都大田区大森西6-17-17/営業時間:9:00~22:00/アクセス:京急本線梅屋敷駅から徒歩2分

甘味処の味と思い出を今に残す『仙六屋』

クリームモナカ150円は練乳の優しい甘さが特長。自家製レモネード(R)450円。国産レモンクリームのチキンカレーも人気。
クリームモナカ150円は練乳の優しい甘さが特長。自家製レモネード(R)450円。国産レモンクリームのチキンカレーも人気。

90年以上梅屋敷で愛されていた「福田屋」が2019年に閉店。小学生の頃から通っていた『仙六屋』店主の茨田さんは名物のクリームモナカを継承。「モナカはこの店と地域の人との接点。みんなの思い出がつまった味を大切にしていきます」。

テラス含め約65席。子連れにうれしい床座りできる空間も。
テラス含め約65席。子連れにうれしい床座りできる空間も。
「福田屋」の看板も健在。「懐かしい」と喜びの声が。
「福田屋」の看板も健在。「懐かしい」と喜びの声が。
「国産レモンときび砂糖のレモネードはピュアな味です」
「国産レモンときび砂糖のレモネードはピュアな味です」

『仙六屋』店舗詳細

住所:東京都大田区大森西6-16-18/営業時間:10:00~18:00/定休日:月/アクセス:京急本線梅屋敷駅から徒歩1分

撮影=鈴木愛子 取材・文=川端美穂 (きいろ舎)
『散歩の達人』2021年10月号より