1階では、高級筆記具の世界を堪能

『カランダッシュ 銀座ブティック』があるのは、銀座一丁目の駅からすぐ近く。店舗は2階建てで、1階はボールペンや万年筆を取り扱うフロア、2階が画材を扱うフロア。1915年にスイス・ジュネーブの鉛筆工場としてスタートしたという『カランダッシュ』の世界を、この1店で楽しむことができる。

1969年に発売されコレクターも多い「849」。カラフルなボディはカランダッシュならでは。

まず目につくのは、入り口に掲げられたこのディスプレイ! 実はこれ、『カランダッシュ』の代表的ボールペン「849」の実物を使ったもの。

「849」は3300円〜。ちょっとしたプレゼントとして購入される方も多いとか。

握りやすい六軸となめらかな書き心地、シンプルなデザインながら遊び心のあるカラーバリエーションで人気の「849」。近年ではいろいろなコラボレーションモデルも発売され、コレクションする楽しみも。

ボディカラーは14色、ノックボタンとクリップは8種類、芯は4色から組み合わせることができる。店頭ではタブレットでシミュレーションしながら作成可能! 価格は7260~9020円。

2020年からここ『カランダッシュ 銀座ブティック』で始まった新たなサービスが、『849カランダッシュ+me』。人気の「849」を自分でカスタマイズできるというサービスだ。メッセージも刻印できるとのことで、まさに「自分だけの1本」を作りあげることができる。文房具好きや「849」コレクターにはたまらないサービスだが、例えば好きなキャラクターなど「推し」のイメージに合わせた1本を作って……というのもいいかも!?

世界に99本しかないという限定品「アストログラフ」。そのお値段、なんと291万5000円!

店の奥では、その他の万年筆やボールペンも販売。例えば時計の世界ではよく知られる“SWISS MADE”という言葉のブランド力だが、それはスイス製の製品に息づく技術力や品質の高さゆえ。もちろん、『カランダッシュ』の筆記具にもそれらは当てはまる。

また、壁に陳列されたもののなかには貴重な限定アイテムや、かなり高価な品も。見ているだけでも面白い。

2階では、めくるめく色彩と画材の奥深さを楽しもう

さて、続いては2階へ。こちらでは『カランダッシュ』の手掛ける画材、ほぼ全ての商品が揃うという。鉛筆、水彩色鉛筆、パステル……ずらりと並んだ色の洪水に、思わず圧倒されてしまう光景。「本格的に絵を描く人向けなのでは?」とひるむことなかれ、取り扱っている商品も、プロユースの画材から初心者&子どもでも使えるものまで幅広い。

階段を上がったところにディスプレイされているのは、カランダッシュの代表的な色たち。同じ色番でもパステルや色鉛筆など、画材の種類によって描かれた質感も変わる。

「プロ用の高い画材と普通の画材、どう違うの?」と思ったことはないだろうか。その答えに回答してくれたのが、当日店内を案内してくれた「カランダッシュ・ジャパン」の竹内さん。

噛み砕いて説明すると、画材の発色の良さはそのメーカーが持っている「顔料の種類の多さ&それらの質の良さ」に比例する。顔料を作るのはとても大変でお金がかかるので、いい画材は当然高級になる。「じゃあ混ぜて色を作れば良くない?」と思うかもしれないが、実は顔料は混ぜれば混ぜるほど色が濁ってしまう。そのため、プロ用の画材は価格もそれなりだし、混ぜなくてもすむよう、あらかじめたくさんの色味が揃えられているというわけだ。

「発色の良さ」と言われてもピンとこない人は、2階には全ての画材を自由に試すことができる場所があるので、ぜひ試してみてほしい。

昔、興味本位で買ってみたお安い水溶性色鉛筆とは書き味も発色も全てが違う。「なんだかうまく描けないなあ……」と諦めた経験がある人こそ、驚きは大きいはず。

スルスルと描けるオイルパステル「ネオパステル」、ワックスパステルの「ネオカラーI」、水溶性パステルの「ネオカラーII」などなど……何気なく目の前にある紙に描きつけると、その鮮やかさにまずびっくり。そして、水溶性のものを筆でなぞってみて二度びっくり! 自分が子どもの頃や学生時代に使っていた色鉛筆やパステル、絵の具とは、こんなにも発色が違うのかと愕然とする。特に水溶性パステルは、一度使ってみると衝撃を受けるのではないだろうか?

ワックスパステルは金属やガラス、陶器などにも使えるので、例えばこうやって植木鉢のリメイクなどにも使うことができる。最初に思っていた「プロ用画材なんて使いこなせそうもないし……」という気持ちは、色々と試すうちに「なんだか面白そうかも!?」に。すっかり欲しくなってしまった。

中には、普段は見かけないような画材も。「これ、面白いんですよ」と竹内さんが教えてくれたのは「グラフキューブ」という黒鉛、要は鉛筆の芯の部分だけをスティック状に固めたもの。木炭デッサン的に使える製品なのだが、この「グラフキューブ」にも水溶性のものが。一見どれも鉛筆の黒なのに、それぞれ水を含んだ筆でなぞると赤、緑、青のニュアンスを含んだ黒であることがわかる。これを使って何を描くか、考えるだけでも想像が広がっていく。

2階では、『カランダッシュ』の画材を使用する作家さんの作品展示が行われていることも。撮影時には童画作家・浅野薫さんの作品展が開催されていた。

「前はよく通っているけれど、画材を売っているのは知らなかった……というお客様も多いかもしれません。ぜひ気軽に足を運んでいただいて、いろいろと試してもらえればと思います」と店長の棒星(ぼうぼし)充広さん。

おうち時間が長くなる今日このごろ。大人ならではのアイテムを使って、何かを描いたり作ったり、というのを楽しんでみてはいかがだろうか。

住所:東京都中央区銀座2丁目5−2/営業時間:11:00~19:00/定休日:無/アクセス:地下鉄銀座一丁目駅より徒歩1分

構成=フリート 取材・文・撮影=川口有紀