湯島・本郷の基礎知識

湯島といえば飲食店街であり、ラブホ街でもある。とはいえ、街の代名詞となっているのが湯島天満宮。祭神は学問の神様・菅原道真。びっしり埋まった絵馬掛けを見ると、受験生の思いが伝わってくる。

麟祥院には徳川家光の乳母・春日局の墓がある。春日通りの名の由来になった寺で、通りを見守るように春日局の像が立つ。

春日通りの北側には東京大学本郷キャンパスが広がる。本郷通り沿いには古書店が連なっていたが、店を開けているのは数店のみ。学生街の変容の一端がうかがえる。炭団坂から菊坂へ。樋口一葉をしのぶ散歩道には、文豪が好んだ宿も残り、ぶらぶら歩きも楽しい。

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1 湯島天満宮

梅香る季節は受験生でにぎわう

雄略天皇2年(458)天之手力雄命を奉斎し創建と伝わる。室町時代の正平10年(1355)に菅原道真を合祀。徳川家康の朱印地寄進や徳川綱吉の金500両寄進など、徳川家の崇敬も篤かった。

住所:東京都文京区湯島3-30-1/営業時間:6:00〜20:00/定休日:無/アクセス:地下鉄千代田線湯島駅から徒歩2分、またはJR御徒町駅から徒歩8分
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2 麟祥院

家光の乳母・春日局の菩提寺

徳川3代将軍家光の乳母であった春日局は、大奥で勢力をふるった後、この地で仏門に帰依した。麟祥院とい名は春日局の法号に由来する。墓地には無縫塔という卵形の春日局の墓がある。

住所:東京都文京区湯島4-1-8/営業時間:参拝自由/アクセス:地下鉄千代田線湯島駅から徒歩7分
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3 文京ふるさと歴史館

樋口一葉や森鷗外の展示も

東京都文京区は弥生土器命名の地であり、江戸時代には武家や寺社、町家などが発展し、明治時代には東京大学が開校して文教のまちとなる。こうした町の歴史を資料や模型で紹介する。

住所:東京都文京区本郷4-9-29/営業時間:10:00〜17:00/定休日:月・第4火(祝の場合は翌)/アクセス:地下鉄丸ノ内線・大江戸線本郷三丁目駅から徒歩5分
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金魚坂

金魚屋さんでコーヒーを

約350年の歴史をもつ金魚卸問屋に併設した喫茶室。金魚模様をあしらったカップに注がれるドリップコーヒーは750円。名物のビーフ黒カレーはサラダやコーヒーなどが付き2000円。

住所:東京都文京区本郷5-3-15/営業時間:11:30〜21:30/定休日:月・月に2回火(月が祝の場合は翌)/アクセス:地下鉄丸ノ内線・大江戸線本郷三丁目駅から徒歩5分
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4 樋口一葉旧居跡

一葉の切ない人生を垣間見る

24年の生涯に『たけくらべ』『にごりえ』などの名作を残した作家・樋口一葉。ここは明治23年(1890)から約4年間、母・妹と住んだ地。他人の洗濯物を洗い、生計の足しにしたという共同井戸が残る。住居地区なので見学は静かに。

住所:東京都文京区本郷4-31-32/アクセス:地下鉄三田線・大江戸線春日駅から徒歩5分
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喫茶ルオー

今も昔も東大生に愛されるカレー

昭和27年(1952)に画廊喫茶として開業。小麦粉から丹念にルーを作り、大きく切ったチキンやジャガイモとともに煮込んだセイロン風カレー1000円(デミコーヒー付き)が名物。

住所:東京都文京区本郷6-1-14/営業時間:9:30〜20:00/定休日:日/アクセス:地下鉄丸ノ内線・大江戸線本郷三丁目駅から徒歩7分
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5 東大赤門

国指定重要文化財の赤い門

正式名称は「旧加賀屋敷御守殿門」。この地は、かつて加賀藩の上屋敷があり、加賀藩13代藩主前田斉泰が、徳川11代将軍家斉の娘の溶姫を正室に迎える際に、住まいの御守殿とともに文政10年(1827)に建立したもの。

住所:東京都文京区本郷7-3-1/アクセス:地下鉄丸ノ内線・大江戸線本郷三丁目駅から徒歩8分
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6 竹久夢二美術館

儚くも美しい夢二の美人画

大正ロマン漂う美人画からデザイン作品まで常時約200〜250点の竹久夢二の作品を展示する。昭和初期の抒情挿絵画家・高畠華宵の作品を中心に展示する弥生美術館を併設。

住所:東京都文京区弥生2-4-2/営業時間:10:30〜16:00/定休日:月/アクセス:地下鉄千代田線根津駅から徒歩7分
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7 旧岩崎邸庭園

国指定重要文化財の明治時代の名建築

明治29年(1896)に建てられた三菱財閥3代社長岩崎久彌の旧本邸。イギリス人建築家のJ・コンドル設計の洋館とビリヤード場、大工棟梁の大河喜十郎が設計したと伝わる和館が現存する。

住所:東京都台東区池之端1-3-45/営業時間:9:00〜16:30/定休日:無/アクセス:地下鉄千代田線湯島駅から徒歩2分
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【街探検】樋口一葉が暮らした街

菊坂界隈には一葉の暮らしを知る旧居跡や質店が残る

旧伊勢屋質店。

樋口一葉は、明治5年(1872)東京に生まれる。本郷との縁は、明治9年(1876)に、東大前の法真寺隣接地に引っ越してきたことに始まる。境内の桜が印象的であったようで、後に日記に「桜木の宿」として回想している。

裕福な家であったが、父と長男が相次いで亡くなり、母と妹を養わなければならなった。そのため、明治23年(1890)に家賃の安い菊坂に引っ越し、針仕事や洗い張りなどをしながら一家の暮らしを支えた。この時住んだ家は今も残され、一葉ファンの聖地になっている。

翌年、雑誌「武蔵野」に掲載された『闇桜』で作家デビューするが、相変わらず生活は苦しく、近所の伊勢屋質店をたびたび訪れている。

明治28年(1895)から29年にかけて『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』など代表作を相次いで発表。しかし、11月に肺結核により他界。わずか24歳6カ月の生涯であった。

法真寺の一葉像。
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取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『街がわかる 東京散歩地図』より