濃厚なココナッツカレーのマイルドな味わい

神田小川町にある『チャントーヤココナッツカリー』。14種類のレギュラーメニューと季節限定メニューがそろい、ココナッツカレーの魅力を存分に味わえる。店長の齋藤梨花さんに聞けば、ココナッツカレーが大好きなオーナーの趣味が高じてこの店ができたそう。

チキンとナスとトマトの焼チーズカリー1050円をオーダー。
チキンとナスとトマトの焼チーズカリー1050円をオーダー。
あぶったチーズのこげ目がそそられる。
あぶったチーズのこげ目がそそられる。

スプーンですくってみて、まず感じたのはチーズの量の多さ。たっぷりあって期待感が高まる。
ごはんと一緒に食べてみれば、マイルドな辛さでクセになる味。コクのあるとろりとしたチーズとの相性も抜群。ナスはとろとろ、チキンはしっとり。トマトを崩して食べるとほんのり酸味が広がりまたおいしい。それぞれの食材がお互いのよさを引き立てあって、頬がゆるみっぱなし。
このチキンとナスとトマトの焼チーズカリーは人気メニューなんだとか。

チキンとナスとトマトの焼チーズカリーと並んでよく出るという野菜カリー980円。
チキンとナスとトマトの焼チーズカリーと並んでよく出るという野菜カリー980円。
いろんな野菜がざくざく入って、これはうれしい。
いろんな野菜がざくざく入って、これはうれしい。

お疲れ気味のときは野菜カリーで元気をもらおう。とろとろのナス、歯ごたえの残るピーマン、コロンとしたオクラ、くたっとやわらかなキャベツ、ほんのり酸っぱくジューシーなトマト。
どれもしっかり煮込まれているけれど、それぞれの味と食感がちゃんといきている。具材の味わいがココナッツの風味とマッチして口の中は幸せでいっぱい。

ゆるりとした空間で、心も体も南国気分

『チャントーヤココナッツカリー』が店を構えるのは神田小川町。大通りはにぎやかだけど、わき道に入ると静かな場所も多いエリアだ。この店も明大通りと本郷通りをつなぐ駿河台道灌通りから1本入った場所にある。

知らないと素通りする道だけれど、『チャントーヤココナッツカリー』は近隣で働く人や学生によく知られている。
知らないと素通りする道だけれど、『チャントーヤココナッツカリー』は近隣で働く人や学生によく知られている。

ひときわスタイリッシュなのに街の風景によくなじむ外観で、中に入ればウッディでゆったりとした空間が広がっている。店内は海の家をイメージしたそう。
都心のせわしない時間とは切り離され、一息つけるスポットだ。

小さなサーフボードやポスターが飾られている。
小さなサーフボードやポスターが飾られている。

謎めいた店の名は「チャントー」と「トーヤさん」から? 

“チャントーヤ”という不思議な言葉の響き。いったい何語だろう。

「実は何語でもないんです。オーナーのお父さんがカレー好きな人だったそうで、その人のニックネームが“チャントー”。それに、この店の初代の店長でレシピの考案者だったのが“トーヤさん”。おふたりの名前から『チャントーヤココナッツカリー』という店名にしたと聞いています」

なんだかおもしろい由来。
なんだかおもしろい由来。

「でもトーヤさんはどこの国の人だったのか……。もう日本にはいないらしくて。詳しいことはちょっとわからないんです、ごめんなさい」と齋藤さん。

トーヤさんが残していったレシピはどれも日本の味になじみつつ、大衆的なのにちょっとこだわりを感じる。
トーヤさんが残していったレシピはどれも日本の味になじみつつ、大衆的なのにちょっとこだわりを感じる。

取材に訪れたのは平日の午後3時すぎ。入れ替わり立ちかわりお客さんがやってきて途切れない。常連さんらしき人はお店のスタッフと一言二言ほどの会話をする。自然な笑顔であたたかい接客。おだやかな空気が流れている。

いま来たお客さんは遅めのランチなのか、早めのディナーなのか。そしてトーヤさんとは何者なのか。いやいや、そんな細かいことを考えて過ごすのはこの店には似合わない。空腹のままにやってきて、やさしい口当たりのココナッツカリーをお供にゆっくりと過ごそう。そんな気分にさせてくれるのが『チャントーヤココナッツカリー』の魅力なのだ。

住所:東京都千代田区神田小川町3-28-7昇龍館ビル1F/営業時間:平日・祝前日11:00〜21:30LO(土・日・祝は~20:30LO)/定休日:無/アクセス:地下鉄新宿線小川町駅から徒歩5分、JR・地下鉄御茶ノ水駅から徒歩7分

構成=フリート 取材・文・撮影=宇野美香子