ラーメンを食べるのに最適な落ち着いた空間
JR蒲田駅西口の喧噪から離れた商店街の一角にある。“狐”や“狸”が出そうなほどではないが、1本道に入れば住宅街という静かな場所にある。外観は白の壁と提灯、黒い引き戸が目印だ。店内は落ち着いたたたずまいで、カウンター8席、2人卓が2つある。一歩、足を踏み入れると、ほのかに鯛の香りが漂ってくる。
インスピレーションで生まれた真鯛しおそば
店主はラーメン店での修業は一切せずに、自らのインスピレーションで作り上げ、2017年2月に開店させた。
「鯛を食材にした塩ラーメンを作ろうと思い、鯛ならば瀬戸内・宇和島産かなぁという感じで決めました」。直送された真鯛は、酒を振りかけてオーブンでじっくりと焼き上げて臭みを取り、頭や骨などをスープに使用。さらに旨味を抽出した大山鶏のスープを合わせたWスープになっている。
「最初に食べるならば、当店イチオシの真鯛しおそば 淡麗820円からどうぞ」とすすめてくれた。
鯛スープと大山鶏スープは1日寝かすことによってバランスが整い、優しい味わいになっている。オーブンで焼いた真鯛の身を、提供時にあぶってトッピング。真鯛の香ばしさや柚子の爽やかな風味が加わり、よりいっそう上品な味わいに仕上げている。
やや縮れた麺は、モチモチとした食感がたまらない。別皿で提供されるチャーシューは、低温調理されたイベリコ豚の肩ロース。スープにサッとくぐらせば、上品な脂が溶け出して旨味を実感できる。
最後の一滴までスープを味わい尽くす
思わず飲み干してしまうほどの旨いスープを最後まで堪能するならば、鯛お茶漬けセット1160円を。
数日かけて熟成させた真鯛の刺身は、ねっとりとして濃厚な味わい。特製のゴマダレがアクセントになっている。やや固めに炊いたご飯の上に鯛をのせて、スープを注げば極上の味わいが楽しめる。
クリーミーな濃厚もぜひ食べたい
真鯛しおそば 濃厚820円のファンも多い。スープは、真鯛と大山鶏を強火で炊き、木べらで何度もたたきながら骨の髄まで旨味を引き出している。
真鯛と鶏の香りを強く感じるクリーミーな仕上がりでのど越しもいい。ほのかに香る柚子も心地いい。ツルリとしてコシのあるストレート麺がスープによく絡む。ほかにも、季節限定のラーメンが登場することもあるので、要チェックだ。
取材・文・撮影=速志 淳