響き合う創作活動の軌跡がそこに
沖縄からアメリカへ渡った両親のもとに生まれた内間安瑆(1921~2000、米国籍)は、1940年に来日し、第二次世界大戦後に恩地孝四郎らの創作版画に影響を受けた。木版画での抽象表現を追究し、帰米後はニューヨークを拠点に制作を続け、1970年代後半、浮世絵の版画技法にもとづく「色面織り」の技法を確立。色鮮やかな〈Forest Byobu 森の屏風〉シリーズで評価を高めた。
一方、大連で育った内間俊子(1918~2000、旧姓・青原)は、1935年に神戸へと移住し、小磯良平に絵画を学び、1950年代初頭に上京すると、瑛九が中心となり結成された前衛的なグループ「デモクラート美術家協会」に参加。1959年に夫の安瑆とともにアメリカへ渡り、後年は詩情あふれるコラージュやアッサンブラージュを制作した。
本展は、2014年に『沖縄県立博物館・美術館』で開催されて以来、約12年ぶりとなる安瑆の回顧展。そして、俊子に関しては、初期から晩年までの軌跡をたどる初めての機会でもある。初期の油彩画やドローイングなど、貴重な作例までを網羅し、ふたりの活動の軌跡をたどる内容になっている。
棟方志功やイサム・ノグチら関わりのあった作家の作品も登場
安瑆・俊子と深い関わりのあった同時代の作家の作品も紹介されるのも本展の見どころ。安瑆に木版画の道を追究するきっかけをもたらした恩地孝四郎や棟方志功の版画作品のほか、家族ぐるみの交流があったイサム・ノグチの彫刻作品、デモクラート美術家協会時代に俊子が知り合った瑛九、泉茂らの作品などが展覧される。作品を通して二人が築いた美術家ネットワークの一端を窺い知れる内容になっている。
広報担当の相馬一行さんは、「見どころの一つは、夫婦でありながら、それぞれ独自の表現を築いた二人の作品です。鮮やかな色彩を摺り重ねた安瑆の木版画と、どこか懐かしさを感じさせる俊子の詩的なコラージュは、美術に詳しくなくても、まず色や形から楽しんでいただけます。東京とニューヨークを舞台にした二人の活動の歩みや、日米の作家たちとのつながりにも目を向けていただければと思います」と語る。
安瑆・俊子の創作活動とその交流から、戦後美術の歩みにふれることができそうだ。
関連イベントも開催
ワークショップ「内間安瑆・俊子に学ぶ多版多色の木版画」
11月29日(日)13時~、安瑆と俊子が用いた木版画の技法に学びながら、美術作家・関優花氏とはがきサイズの多色木版画を制作するワークショップが3階創作室にて開催。
対象は高校生以上、定員15名(事前申し込み制・応募多数の場合は抽選)。参加費600円。申し込みはウェブサイトにて、10月10日(土)10時~11月13日(金)16時受付。
レクチャー「内間俊子とその時代」
12月20日(日)15時~、本展学術協力者・桑原規子氏、『埼玉県立近代美術館』特任館長・関直子氏、本館学芸員・佐藤あゆか氏の登壇によるレクチャーが開催。内間俊子の作家としての軌跡を振り返るとともに、同時代の女性作家たちの活動にも目を向け、登壇者それぞれが専門分野に応じたレクチャーを行う。2階講堂にて、定員80名(申し込み不要、当日先着順)、参加費無料。
岡﨑乾二郎氏による講演会
2027年1月9日(土)14時~、内間安瑆・俊子夫妻と親交があり、安瑆に関する評論も執筆している批評家・岡﨑乾二郎氏による講演会が2階講堂で開催。定員80名(申し込み不要、当日先着順)、参加費無料。
開催概要
「内間安瑆(あんせい)・俊子展 色を織り、記憶を紡ぐ」
開催期間:2026年10月10日(土)~2027年1月17日(日)
開催時間:10:00~17:30(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし10月12日、11月9日・23日、2027年1月11日は開館)、12月29日~2027年1月3日
会場:埼玉県立近代美術館(埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1〈北浦和公園内〉)
アクセス:JR京浜東北線北浦和駅から徒歩3分
入場料:一般1400円、大学生・高校生1120円、中学生以下無料
【問い合わせ先】
埼玉県立近代美術館☏ 048-824-0111
公式HP:https://pref.spec.ed.jp/momas/2026uchima
取材・文=前田真紀 画像提供=埼玉県立近代美術館







