横浜に点在する遺跡が伝える戦争の記憶
地域に刻まれた「戦争の記憶」に着目する本展。『横浜市ふるさと歴史財団埋蔵文化財センター』の発掘調査成果とこれまでの『横浜開港資料館』『横浜都市発展記念館』『横浜市史資料室』の研究成果を踏まえ、横浜と軍隊との関係、さらに過去の戦争の記憶を追いかける。
主任調査研究員の吉田律人さんは「見どころは2点。1点は初めて横浜と軍隊の通史を描いた点です。近代横浜に関しては厚い研究蓄積がありますが、常設の陸軍部隊や目立った軍事施設がなかったため、これまで横浜と軍隊、戦争との関係は注目されてきませんでした。今回の展示では、黒船来航からベトナム戦争までのおよそ120年間を対象に、横浜と軍隊の『距離感』を明らかにしていきます。もう1点は街のなかにある戦争の痕跡です。戦後80年が経過したことで、体験者からかつての戦争の話を聞くことは困難になってきましたが、地域に目を向けると、神社や寺院、景観には、戦争を語る痕跡が数多く残っています。それら戦争の痕跡にも注目しています」と語る。
3会場で各テーマに分け、横浜と戦争の関係性をたどる
第1会場の1階ギャラリーでは「横浜の軍事施設Ⅰ(海軍編)」について展示。横浜市内に残る海軍の遺構に関する資料が並ぶ。軍都東京と軍港都市横須賀に挟まれた横浜には多くの戦争関連遺構が残され、特に横須賀と隣接する市内南部は、横須賀鎮守府一帯に組み込まれ、多くの海軍関連遺構が残存しているという。調査の写真や図面をもとに、今なお身近に存在する遺構について紹介する。
第2会場の3階企画展示室では、「横浜と軍隊の120年」について、横浜と軍隊の関係を正面から捉えた研究の成果を紹介する。江戸時代の開港から明治期、関東大震災や満洲事変などが起きた大正~昭和戦前期、敗戦と接収などによる影響を大きく受けた昭和戦後期など、時代ごとのターニングポイントを捉えながら、横浜と軍隊の関係に迫る。
第3会場の4階常設展示室では「横浜の軍事施設Ⅱ(陸軍編)」と題して、横浜市内で発掘された陸軍の遺跡について展示。横浜の防空関係の陣地であった陸軍施設とともに米軍の上陸作戦に備えて配備された機動兵団の戦車壕や、田奈の弾薬庫など、近年の発掘調査などを中心に最新の研究成果を紹介する。
横浜の地に今なお現存する遺跡から、 “戦争の記憶”が意外と身近にあることに気づかされそうだ。
関連イベントも開催
調査研究員による展示解説
2月8日(日)・3月15日(日)・20日(金・祝)・4月5日(日)・12日(日)各日13時30分~、展覧会を担当した調査研究員による見どころの解説が『横浜都市発展記念館 企画展示室』で行われる。参加費無料(要特別展観覧券)、事前申し込み不要。当日直接会場にて集合。
関連講座『開港都市・横浜と2つの軍事拠点』
2月21日(土)に第1回「巨大軍都・東京と横浜」、3月21日(土) 第2回「軍港都市・横須賀と横浜」、主任担当調査研究員・吉田律人氏による展覧会の内容を深堀りする講座が各回13時30分~『横浜開港資料館 講堂』で開催される。定員各回先着50名、参加費1000円。申し込みは公式HPイベント申し込みページより。
関連講座、記念シンポジウムなども開催
3月7日(土)13時30分~、「戦争の痕跡(遺跡・景観・モニュメント)」を題材に、地域に眠る文化資源の発掘と活用が提示される記念シンポジウム「地域に眠る文化資源の発掘と活用 -横浜市域の“戦争の記憶”を中心に-」が國學院大學横浜たまプラーザキャンパス1号館1503教室で開催される。定員は先着200名、参加費無料。申し込み不要。
開催概要
「戦争の記憶 横浜と軍隊の120年」展
開催期間:2026年1月24日(土)~4月12日(日)
開催時間:9:30~17:00(入館は~16:30)
休館日:月(祝の場合は開館、翌平日休)
会場:横浜都市発展記念館(神奈川県横浜市中区日本大通12)
アクセス:横浜高速鉄道みなとみらい線日本大通り駅すぐ、JR・地下鉄関内駅から徒歩10分
入場料:一般800円、市内65歳以上・小中学生400円
※毎週土曜は小・中学生、高校生無料。
【問い合わせ先】
横浜都市発展記念館☏045-663-2424
公式HP http://www.tohatsu.city.yokohama.jp/feature.html
取材・文=前田真紀 画像提供=横浜都市発展記念館








