アートとサイエンスの領域から世界を考察

落合陽一《リキッドユニバースII》 2024年。
落合陽一《リキッドユニバースII》 2024年。

2025年に開催された大阪・関西万博で、次世代へ向けて「量子的なセンス」の重要性について問いかけた「エンタングル・モーメント―[量子・海・宇宙]×芸術」展。その試みをふまえ、宇宙開発による「物理的宇宙」の探求のみならず、多元宇宙や量子宇宙の世界観を作品や技術・資料を通して紹介し、我々をとりまく世界をアートとサイエンス領域から考察する本展。

国産の「量子コンピュータ」による初のアート作品が展示され、「時と空間」が不思議なふるまいを見せる「量子」の領域に取り組むのをはじめ、科学者らによる宇宙研究と、アーティストによる宇宙をテーマとした作品群が続々と紹介される。

やがて宇宙への旅が日常となり、量子研究が次の100年へと向かう今、表現の可能性の領域を拡張しようとする作家たちの多様な試みに注目したい。

平川紀道《datum》 2016/2025年。
平川紀道《datum》 2016/2025年。

メタバースやXR展示から宇宙を感じる試みも

古澤 龍《Mid Tide #3》 2024年。
古澤 龍《Mid Tide #3》 2024年。

本展では空間全体で表現するリアルインスタレーションに加え、現実世界と仮想世界を融合させ、新たな体験を創造するXRやメタバース上に展開される重層的な展示がなされる。宇宙や量子の研究に基づくデータ可視化・可聴化の試みが、ダイナミックな映像インスタレーションとして展示されるのも見どころだ。

流転を続けるインフィニティ空間や、宇宙から届くミューオンやニュートリノを身近に感じさせる作品も登場する。

会期中には、参加アーティストや協力機関の研究者・開発者らが、アートとサイエンス/テクノロジーについて、量子的な概念に基づく創造的思考について語り合うトークイベントなども開催される。内容・参加方法などの詳細はHPにて順次公開予定だ。

【参加作家・機関】

久保田晃弘+QIQB、平川紀道、ARTSAT プロジェクト(久保田晃弘|平川紀道|稲福孝信)、逢坂卓郎、落合陽一、江渡浩一郎+アラレグミ、安藤英由樹+田中成典、古澤 龍、森脇裕之、片岡純也+岩竹理恵、藤本由紀夫+永原康史、田中ゆり+有賀昭貴+パヴレ・ディヌロヴィッチ、吉本英樹、JAXA 宇宙科学研究所(ISAS)/天文仮想研究所(VSP) / 東京藝術大学、アンリアレイジ、Useless Prototyping Studio、種子島宇宙芸術祭実行委員会、量子芸術祭実行委員会 他

理化学研究所《量子コンピュータXR》(制作:ライノスタジオ) 2025年。
理化学研究所《量子コンピュータXR》(制作:ライノスタジオ) 2025年。

開催概要

「ミッション∞インフィニティ|宇宙+量子+芸術」

展覧会メインビジュアル デザイン:永原康史。
展覧会メインビジュアル デザイン:永原康史。

開催期間:2026年1月31日(土)~5月6日(水・休)
開催時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし2月23日・5月4日は開館)・2月24日(火)
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2、ホワイエ他(東京都江東区三好4-1-1)
アクセス:地下鉄半蔵門線清澄白河駅から徒歩9分・地下鉄大江戸線清澄白河駅から徒歩13分
入場料:一般1800円、学生・65歳以上1260円、中学生・高校生720円
※小学生以下無料
※2月21日(土)~23日(月・祝)は中高生・専門学校生・大学生は無料(チケットカウンターで学生証を提示)
※3月1日(日) ~4月5日(日)は18歳以下無料(年齢を確認できる証明書を提示)

【問い合わせ先】
東京都現代美術館☏03-5245-4111(代表)
公式HP https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mission-infinity/

 

取材・文=前田真紀 画像提供=東京都現代美術館