作家との会話がきっかけとなった
2006年にスタートした「雑司ヶ谷創り市」。19年と歴史が長く、関東で開催される手づくり市の先駆けともいわれている。手づくり市とは出展者が自分で作った作品を直接販売するイベントで、今でこそ同様のイベントが各地で行われているが、「雑司ヶ谷手創り市」が始まった当初は東京ではあまり似たようなイベントが行われていなかった。主催者の名倉哲さんは当時、一軒家のカフェを営んでいて、そこで知り合った作家との対話が開催のきっかけとなった。
「作家にとって個展はハレの舞台ですが、コストもリスクも大きい。コストもリスクも小さく低い場所がないことを知り、だったらそういう場所を作ろうと思ったのがきっかけです」と名倉さん。作り手の裾野を広げることをコンセプトに「雑司ヶ谷手創り市」が始まった。
2026年は20周年記念イヤー!
会場は通常、鬼子母神堂と大鳥神社の2カ所で開催(11月22日は鬼子母神堂のみ)。鬼子母神堂は最大約160軒、大鳥神社は最大約40軒の店が所せましと並び、作家が自分の作品を展示しながら販売する。作品はアクセサリーや洋服、雑貨、食器といったクラフトから、パンやコーヒー、焼き菓子といったフード&ドリンクまで、その時によってさまざま。いつ訪れても一期一会の出合いがあり、ぶらぶら見て回るだけでも十分楽しい。せっかく作り手本人がいるので会話を楽しんだり、作品について尋ねてみたりできるのも醍醐味だ。
2026年には20周年を迎えるが、「これからも作り手の裾野を広げることを目標に、とにかく継続していくことを第一に考えています」と名倉さんは意気込む。作家にとっては自分の作品を気軽に発表できる場であり、さまざまな人に作品を手に取ってもらえる大切な場所だ。また、来場者にとってもお気に入りの作品と出合える場であり、宝物を探すようなワクワクした気持ちを味わうことができる。
「雑司が谷は池袋駅というターミナル駅がそばにありながらも少し路地に入れば喧騒を忘れさせるような街並みがあります。手創り市を楽しんでもらうと同時に、街歩きも楽しんでいただければ」(名倉さん)。のんびりとした空気が流れる雑司ヶ谷の街を散策しながら、手創り市でお気に入りの一品を探そう。「雑司ヶ谷手創り市」は基本、毎月第3日曜の10~16時に開催(月によって変更あり)。詳しくは公式ホームページで確認を。
開催概要
「雑司ヶ谷手創り市」
開催期間:2025年11月22日(土) ※雨天中止
開催時間:10:00~16:00
会場:雑司ヶ谷鬼子母神堂(東京都豊島区雑司が谷3-15-20)
アクセス:地下鉄副都心線雑司が谷駅、都電荒川線鬼子母神前停留所から徒歩5分
【問い合わせ先】
手創り市事務局 [email protected]
URL:https://tezukuriichi.com/home.html
取材・文=香取麻衣子 ※写真は主催者提供
※雑司ヶ谷鬼子母神堂の「鬼」の文字は、正式には一画目の点のない「鬼」が用いられます。





