それぞれの“日常”を内外から見つめ、見えてくるものとは

上原沙也加《眠る木》2018年
上原沙也加《眠る木》2018年

タイトルに含まれる「コレオ=コレオグラフィー(振付)」には、“制度や慣習、社会的規範によって規定される言動と、そうした管理や統御に対する批評的な応答”と“日常を自らの内外から異化し、新たな場と生き方を創出する実践”の両方が、指し示されているという。

家庭(ジェンダー規範に基づく)にはじまり、美術館のような制度的な空間、またムンバイや沖縄などの都市空間にいたるまで、異なる場所での人々の営みや身振りに着目する本展。

作品を通して、人々が日常を織りなす場所に内在する“文化的、政治的、経済的な諸力の相互作用”を掘り下げ、社会構造に組み込まれた“見えない暴力や抑圧の力学”を可視化し、その影響を浮き彫りにする。それとともにそこに生きる人々の経験や記憶、切望にも光を当てていくものとなる。

広報担当者は、「開館30周年を記念し、アジアを中心に15を超える国と地域を拠点に活動するアーティスト約30名/組が一堂に会する国際展です。作品展示のみならず、鑑賞者の参加と対話を伴うパフォーマンスやワークショップも数多く展開しますので、ウェブサイトを確認の上、展示とあわせてお楽しみいただきたいです」と見どころを語る。

ヒーメン・チョン&ルネー・スタール《読まれなかった本のライブラリー》Installation view: Serpentine Pavilion 2024, Archipelagic Void, designed by Minsuk Cho, Mass Studies 撮影:Heman Chong (C)Mass Studies ※参考写真。
ヒーメン・チョン&ルネー・スタール《読まれなかった本のライブラリー》Installation view: Serpentine Pavilion 2024, Archipelagic Void, designed by Minsuk Cho, Mass Studies 撮影:Heman Chong (C)Mass Studies ※参考写真。
出光真子《主婦の一日》1977年 (C)Idemitsu Mako。
出光真子《主婦の一日》1977年 (C)Idemitsu Mako。

「日常」の粋を問いただすパフォーマンスの数々

トランスフィールドスタジオ《Elevation, Stream》2024年 (C)Hyejeong Park ※参考写真。
トランスフィールドスタジオ《Elevation, Stream》2024年 (C)Hyejeong Park ※参考写真。

期間中は、美術館が位置する深川・木場を取り上げたパフォーマンスや東京近郊の移民コミュニティーに関する参加型作品など、新作が多数発表される。

8月23日(土)~11月24日(月・祝)はトランスフィールドスタジオによる新作ツアーパフォーマンス、8月29日(金)は台湾を拠点に活動するFAMEMEによる新作関連パフォーマンスが行われるなど、多彩なアーティストによるパフォーマンスやワークショップが展開されるので、HPにて確認したい。

アーティストと鑑賞者がさまざまなかたちで集い、視点を共有する絶好の機会となりそうだ。

FAMEME《Museum of Dorian: Times Square Performance》(Performa Biennial 2019年)撮影=Eian Kantor ※参考写真。
FAMEME《Museum of Dorian: Times Square Performance》(Performa Biennial 2019年)撮影=Eian Kantor ※参考写真。

開催概要

「開館30周年記念展 日常のコレオ」

開催期間:2025年8月23日(土)~11月24日(月・休)
開催時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)※8・9月の金曜は21:00まで開館
休館日:月(ただし9月15日・10月13日・11月3日・24日は開館)、9月16日(火)・10月14日(火)・11月4日(火)
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/B2ホワイエほか(東京都江東区三好4-1-1)
アクセス:地下鉄半蔵門線清澄白河駅から徒歩9分・地下鉄大江戸線清澄白河駅から徒歩13分
入場料:一般2100円、大学生・専門学校生・65歳以上1100円、中学・高校生500円、ツインチケット3500円
※小学生以下無料。
※9月13日(土)・14日(日)は中高生・専門学校生・大学生は無料。

【問い合わせ先】
東京都現代美術館☏03-5245-4111
公式HP https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/30th-Anniversary/

 

取材・文=前田真紀 画像提供=東京都現代美術館