肖像画、静物画、戸外制作と章立てて2人の作品を展示

ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピエロ姿のクロード・ルノワール》1909年 油彩・カンヴァス 『オランジュリー美術館』 (C)GrandPalaisRmn (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF。
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピエロ姿のクロード・ルノワール》1909年 油彩・カンヴァス 『オランジュリー美術館』 (C)GrandPalaisRmn (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF。

20世紀初頭にも並べて論じられることがあったルノワールとセザンヌ。ルノワールとセザンヌは1874年の第1回印象派展に参加したものの、モネのように筆触分割を推し進めて抽象化していくのではなく、形態(かたち)を保ちながらそれぞれの絵画表現を突き詰めていった。

本展では改めて2人に焦点を当て、20世紀美術を主に扱った画商でコレクターのポール・ギヨームが収集した作品を中心に展覧する。ギヨームは印象派・ポスト印象派の作家の中でもこの2人のみを収集し、そのコレクションは彼が43歳で亡くなったあとも、妻のドメニカと再婚相手の建築家で実業家のジャン・ウォルターが収集の継続によって発展した。ドメニカより一部、変更を施された部分はあったが、今でも『オランジュリー美術館』のコレクションの中核として、多くの人々を魅了し続けている。

またルノワールとセザンヌの作品のみならず、2人に影響を受けたピカソの作品も併せて展示し、後世に与えた影響も浮き彫りにしていく内容となっている。

ポール・セザンヌ《3人の浴女》1874-1875年頃 油彩・カンヴァス 『オルセー美術館』 (C)GrandPalaisRmn (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF。
ポール・セザンヌ《3人の浴女》1874-1875年頃 油彩・カンヴァス 『オルセー美術館』 (C)GrandPalaisRmn (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF。
ピエール=オーギュスト・ルノワール《風景の中の裸婦》1883年 油彩・カンヴァス『オランジュリー美術館』(C) GrandPalaisRmn (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF。
ピエール=オーギュスト・ルノワール《風景の中の裸婦》1883年 油彩・カンヴァス『オランジュリー美術館』(C) GrandPalaisRmn (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF。

並べることで浮かび上がる巨匠2人の作品の魅力

ピエール=オーギュスト・ルノワール《花瓶の花》1898年 油彩・カンヴァス 『オランジュリー美術館』(C) GrandPalaisRmn (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF。
ピエール=オーギュスト・ルノワール《花瓶の花》1898年 油彩・カンヴァス 『オランジュリー美術館』(C) GrandPalaisRmn (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF。

ミラノ、マルティニ(スイス)、香港を経て、世界巡回展として日本で唯一開催となる本展。

その大きな見どころとなるのが、パリの『オランジュリー美術館』によるルノワールとセザンヌの2人展だ。『オランジュリー美術館』のコレクションの中でも、特にポール・ギヨームが礎を築いたフランス近代美術の一大コレクションが登場し、「ルノワールとセザンヌ」に初めて焦点を当てる。2人の作品を見比べることができる構成になっている。

また、印象派の殿堂『オルセー美術館』からも作品群が集結。ルノワール《ピアノの前の少女たち》、セザンヌ《画家の息子の肖像》、ピカソ《布をまとう裸婦》らの傑作に加えて、ルノワールとセザンヌによる肖像画、静物画、風景画など、52点の代表的な作品が展示される。モダン・アートへの道を拓いた2人の巨匠に迫るとともに、当時の交流が垣間見られるのも興味深い。

ポール・セザンヌ《青い花瓶》1889-1890年 油彩・カンヴァス『オルセー美術館』 (C)Musée d'Orsay, Dist. GrandPalaisRmn / Patrice Schmidt / distributed by AMF。
ポール・セザンヌ《青い花瓶》1889-1890年 油彩・カンヴァス『オルセー美術館』 (C)Musée d'Orsay, Dist. GrandPalaisRmn / Patrice Schmidt / distributed by AMF。

開催概要

「オランジュリー美術館 オルセー美術館 コレクションより ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠」

開催期間:2025年5月29日(木)~9月7日(日)
開催時間:10:00~18:00(祝を除く金・第2水・8月の土・9月1~7日は~20:00。入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし祝の場合と6月30日・7月28日・8月25日・9月1日は開館)
会場:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)
アクセス:JR東京駅から徒歩5分、地下鉄千代田線二重橋前〈丸の内〉駅から徒歩3分、JR・地下鉄有楽町駅から徒歩6分、地下鉄日比谷駅から徒歩3分、地下鉄丸ノ内線東京駅から徒歩6分
観覧料:一般2500円、大学生1500円、高校生1300円、小・中学生無料
※障害者手帳をお持ちの人は半額、その介護者1名は無料。

【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式HP  https://mimt.jp/ex/renoir-cezanne/

 

取材・文=前田真紀 ※画像提供は主催者