画家、彫刻家、絵本作家……多彩な活躍をみせた生涯に迫る

レオ・レオーニ『マシューのゆめ』原画 Matthew's Dream (C)1991 by Leo Lionni/Knopf Works by Leo Lionni,On Loan By The Lionni Family。
レオ・レオーニ『マシューのゆめ』原画 Matthew's Dream (C)1991 by Leo Lionni/Knopf Works by Leo Lionni,On Loan By The Lionni Family。

小さなさかなのお話『スイミー』で、今も子供たちを夢中にさせている作家レオ・レオーニ(1910-1999)。アムステルダム近郊で生まれたレオーニは、幼い時からヨーロッパ各地を転々としながら育った。1930年代半ばからはミラノでグラフィックデザインの仕事を始めるが、イタリアで差別的な人種法が制定されたことをきっかけに、1939年に渡米。ニューヨークを中心に、オリヴェッティ社やMoMAの広告、ビジネス誌『フォーチュン』のアートディレクションなどを手掛けて成功した。

本展では、イタリアでブルーノ・ムナーリ(1907-1998)をはじめとする多くのアーティストや文化人と交流した青年期や、イタリアとアメリカを往来しながら画家、彫刻家、絵本作家として才能を発揮した後半生の制作活動など、レオーニの生涯の制作活動を貴重な資料でをたどっていく。

レオ・レオーニ『製菓会社モッタ新聞広告ミラノからヴェネツィアへ直行』1935年頃 板橋区立美術館蔵(Gift of the Leo Lionni Family, 2021)。
レオ・レオーニ『製菓会社モッタ新聞広告ミラノからヴェネツィアへ直行』1935年頃 板橋区立美術館蔵(Gift of the Leo Lionni Family, 2021)。
レオ・レオーニ『ユネスコ ポスターWorld on view(世界を見わたす)』1952年 板橋区立美術館蔵(Gift of the Leo Lionni Family, 2021)。
レオ・レオーニ『ユネスコ ポスターWorld on view(世界を見わたす)』1952年 板橋区立美術館蔵(Gift of the Leo Lionni Family, 2021)。

交流があったからこそ実現した充実の内容

『板橋区立美術館』はレオーニ本人の協力により、1996年に日本初のレオ・レオーニ展を開催した。氏の逝去後も遺族との交流は続き、それが2020年「だれも知らないレオ・レオーニ展」での多数の初公開作品の紹介につながった。後に約70点もの作品を寄贈されている。

3度目のレオ・レオーニ展となる本展では、これまでの交流の積み重ねや長年にわたる調査研究を通して明らかになったレオーニの活動の全貌を、20世紀の文化史の大きな流れの中から検証していく。

広報担当者の村内みれいさんは、「『スイミー』や『フレデリック』などの絵本で知られるレオ・レオーニ。本展では、20世紀のイタリアやアメリカにおいて、絵画、デザイン、絵本など多彩な分野で活躍したレオーニの生涯にわたる制作活動と、影響関係にあったアーティストたちの作品や資料を併せて紹介します」と見どころを語ってくれた。

チャーミングな作風の絵本作家としての活動にとどまらない、幅広い作品にふれられる絶好の機会となりそうだ。

レオ・レオーニ『黒いテーブル 植物学』1991年 Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family。
レオ・レオーニ『黒いテーブル 植物学』1991年 Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family。
レオ・レオーニ『フレデリック』原画Frederick (C)1967, renewed 1995by Leo Lionni/PantheoWorks by Leo Lionni,On Loan By The Lionni Family。
レオ・レオーニ『フレデリック』原画Frederick (C)1967, renewed 1995by Leo Lionni/PantheoWorks by Leo Lionni,On Loan By The Lionni Family。

関連イベントはいずれも参加無料

レオーニをもっとよく知る講演会が開催

「レオ・レオーニ:根っこと枝 -レオーニ絵本を中心に」
開催日時:11月10日(日)14:00~15:30
講師:レナード・マーカス氏(児童書歴史研究家・キュレーター)

「レオ・レオーニと仲間たち」
開催日時:11月16日(土)14:00~15:30
講師:森泉文美氏(本展企画者)

※定員各60名(事前申込制)。申し込みは公式HPの申込フォームより。

11月17日(日)シンポジウム「未来派とレオーニ」

研究者、専門家らによるシンポジウム「未来派とレオーニ」が開催。発表は千葉大学非常勤講師・太田岳人氏による「レオ・レオーニの自己形成とイタリア未来派」、東京成徳大学子ども学部准教授・藤田寿伸氏による「似ている?違う?同じ時代を生きたレオーニとムナーリ」、編集者の室賀清徳氏による「グラフィックデザイナーとしてのレオーニ」。開催日時:11月17日(日)13:00~16:00

※定員60名(事前申込制)、申し込みは公式HPの申込フォームより。

開催概要

「レオ・レオーニと仲間たち」

開催期間:2024年11月9日(土)~2025年1月13日(月・祝)
開催時間:9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし1月13日は開館)・12月29日(日)~1月3日(金)
会場:板橋区立美術館(東京都板橋区赤塚5-34-27)
アクセス:地下鉄三田線西高島平駅から徒歩14分
入場料:一般650円、高校生・大学生450円、小・中学生200円
※65歳以上は半額(年齢を証明できるものが必要)、土曜は小・中・高校生は無料。障害者手帳をお持ちの方は半額、引率者1名のみ無料。

【問い合わせ先】
板橋区立美術館☏03-3979-3251
公式HP https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/4000016/4001836/4001852.html

 

取材・文=前田真紀 画像提供=板橋区立美術館