油彩約60点、水彩、素描、版画など約50点を中心に、代表作など一挙公開

北川民次 1949年 撮影=松谷錦二郎。
北川民次 1949年 撮影=松谷錦二郎。

20歳で渡米し、働きながら絵を学んだのち、革命後の壁画運動に沸く1920年代のメキシコで新進画家、教育者としてキャリアをスタートさせた北川民次(1894-1989)。昭和11年(1936)に帰国した後は、晩年まで精力的に作品や著作を発表した。「メキシコから日本へ」という特異な歩みのなかで氏が見出し、追求したものとは何だったのか。

本展では、メキシコ時代から一貫してみられる、市井の人々への温かなまなざしと鋭い社会批判をはらむ代表作に加え、未来の社会をつくる子供に向けた絵本や美術教育の仕事、また1955年のメキシコ再訪を経て取り組んだ念願の壁画にも注目する。

油彩約60点、水彩、素描、版画など約50点に、1920~30年代のメキシコの多様な芸術動向に関する資料、当時交流した芸術家たちの作品を加えた約180点によって彼の軌跡を辿る回顧展。北川民次の表現を多角的に見つめることができる機会となりそうだ。

『ロバ』1928年 『愛媛県美術館』。
『ロバ』1928年 『愛媛県美術館』。
『トラルパム霊園のお祭り』1930年 『名古屋市美術館』。
『トラルパム霊園のお祭り』1930年 『名古屋市美術館』。
『アメリカ婦人とメキシコ女』1935年(1958年補筆) 『名古屋市美術館』。
『アメリカ婦人とメキシコ女』1935年(1958年補筆) 『名古屋市美術館』。
『農漁の図』1943年 『東京都現代美術館』。
『農漁の図』1943年 『東京都現代美術館』。

北川作品の魅力と本展の見どころに迫る関連イベントも多数開催

10月12日(土)レクチャー「北川民次の歩んだ道」(手話通訳付き)

展覧会の構成や見どころに加え、1920~30年代のメキシコの多様な芸術動向や野外美術学院、また戦後日本の公共空間の壁画など、北川の表現の背景に迫るレクチャー「北川民次の歩んだ道」が10月12日(土)15時~16時30分に『世田谷美術館』講堂で開催。定員先着140名、聴講無料。当日14時より講堂前にて整理券を配布。

10月26日(土)トーク①「戦後日本の美術教育と北川民次」(手話通訳付き)

ゲストに元『美育文化』編集長・穴澤秀隆氏を迎え、「美術教育」を掘り下げるトーク「戦後日本の美術教育と北川民次」が10月26日(土)15時~16時30分に『世田谷美術館』講堂で開催。定員先着140名、聴講無料。当日14時より講堂前で整理券配布。

 

11月9日(土)トーク②「現代メキシコで生まれている壁画と版画―人々の声と表現」(手話通訳付き)

ゲストにカルチュラルワーカーの清水チナツ氏を迎え、「壁画」「野外美術学校」を現代につなげるトーク「現代メキシコで生まれている壁画と版画―人々の声と表現」が11月9日(土)15時~16時30分に『世田谷美術館』講堂で開催。定員先着140名、聴講無料。当日14時より美術館エントランスで整理券配布。

11月16日(土)ミニレクチャー「30分でよくわかる! 北川民次展のポイント」(手話通訳付き)

北川民次作品に初めて出会う人、展覧会の構成や見どころを短時間で知りたい人に向け、担当学芸員がミニレクチャーを行う「30分でよくわかる! 北川民次展のポイント」が11月16日(土)15時~15時30分に『世田谷美術館』講堂で開催。定員先着140名、聴講無料。当日14時より講堂前で整理券を配布。

開催概要

「生誕130年記念 北川民次展―メキシコから日本へ」

開催期間:2024年9月21日(土)~11月17日(日)※水彩・版画など一部の作品の展示替えがあり。前期9月21日(土)~10月20日(日)、 後期10月22日(火)~11月17日(日)
開催時間:10:00~18:00(入館は~17:30)
休館日:月・9月24日(火)・10月15日(火)・11月5日(火)※9月23日(月・休)・10月14日(月・祝)・11月4日(月・休)は開館。
会場:世田谷美術館(東京都世田谷区砧公園1-2)
アクセス:東急電鉄田園都市線用賀駅から徒歩17分または東急バス「美術館」行き終点下車歩3分。
入場料:一般1400円、大学生・専門学校生・高校生800円、65歳以上1200円、中学生・小学生500円。
※身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方500円、ただし小・中・高・大・専門学校生の障害者の方とその付添いの方(1名まで)無料。未就学児無料。

【問い合わせ先】
世田谷美術館☏ 03-3415-6011
公式HP  https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00220

 

取材・文=前田真紀  ※画像は主催者提供