妖怪に幽霊も! 浮世絵の中からさまざまなお化けが集まる

歌川国芳『相馬の古内裏』 個人蔵 後期展示。
歌川国芳『相馬の古内裏』 個人蔵 後期展示。

荒れ果てた屋敷に巣くう不気味な妖怪や、怨みを晴らそうと恐ろしい形相でにらみつける幽霊など、浮世絵に幾度となく登場してきたお化けたち。

本展は、妖怪や幽霊を描いた浮世絵約170 点(前後期で全点展示替え)が集まる“お化け展覧会”である。

お化けたちのラインアップも豪華。歌川国芳の代表作である『相馬の古内裏』をはじめ、歌川国貞や月岡芳年ら人気浮世絵師たちが手掛けた、妖怪やおどろおどろしい幽霊が大集合する。

一方、怖いだけでなく、楽しそうに踊る猫又や、人間のような表情をした河童、ゆるキャラのような不思議なフォルムをした謎の妖怪たちなど、かわいらしいお化けたちの姿も。観るほどに浮世絵の奥深さにふれることができる。

歌川国貞『見立三十六歌撰之内 藤原敏行朝臣 累の亡魂』 太田記念美術館蔵 前期展示。
歌川国貞『見立三十六歌撰之内 藤原敏行朝臣 累の亡魂』 太田記念美術館蔵 前期展示。
月岡芳年『新形三十六怪撰 おもゐつつら』 個人蔵 前期展示。
月岡芳年『新形三十六怪撰 おもゐつつら』 個人蔵 前期展示。
歌川芳藤『髪切の奇談』太田記念美術館蔵 前期展示。
歌川芳藤『髪切の奇談』太田記念美術館蔵 前期展示。
歌川国芳『五十三駅 岡崎』 太田記念美術館蔵 後期展示。
歌川国芳『五十三駅 岡崎』 太田記念美術館蔵 後期展示。

新たに収蔵された初公開作品38点もお目見え

歌川国芳『当三升四谷聞書』 太田記念美術館蔵 後期展示。
歌川国芳『当三升四谷聞書』 太田記念美術館蔵 後期展示。

これまでも妖怪や幽霊を題材とした浮世絵を紹介してきた『太田記念美術館』だが、本展では、新たに収蔵された作品38 点を初公開! 訪れたことがある人にとっても、新しいお化けたちに出会う楽しみがありそうだ。

『太田記念美術館』主席学芸員の日野原健司さんは、「お岩さんやお菊さんといった女性の幽霊や、河童や天狗といった妖怪など、皆さんがご存じのお化けがたくさん登場します。不気味な絵もたくさんありますが、浮世絵に登場するお化けたちはどこか愛嬌があります。気軽に楽しんでいただける『お化け屋敷』ですので、怖いのが苦手という方もぜひお気軽に。また、歌川国芳や月岡芳年といった、近年人気の浮世絵師たちの代表作もたくさん展示していますので、浮世絵好きの方にとっても見ごたえたっぷりです。」と、語ってくれた。

この夏、お化け屋敷と化した『太田記念美術館』に足を運んでみてはいかがだろう。

歌川芳艶『丹波国山中は数千年越し蜘蛛あまたの人なやますと聞源頼光四天王お召つれ遂にたいししたまふ図』 太田記念美術館蔵 後期展示。
歌川芳艶『丹波国山中は数千年越し蜘蛛あまたの人なやますと聞源頼光四天王お召つれ遂にたいししたまふ図』 太田記念美術館蔵 後期展示。

開催概要

「浮世絵お化け屋敷」

開催期間:2024年8月3日(土)~9月29日(日)※前期8月3日(土)~9月1日(日)、後期9月6日(金)~29日(日)
開催時間:10:30~17:30(入館は~17:00)
休館日:月(祝・休の場合は開館、翌休)・展示替え期間9月2日(月)~9月5日(木)
会場:太田記念美術館(東京都渋谷区神宮前1-10-10)
アクセス:JR山手線原宿駅から徒歩5分、地下鉄千代田線・副都心線明治神宮前駅から徒歩3分
入場料:一般1200円、高校・大学生800円、中学生以下無料

【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式HP http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/obakeyashiki/

 

取材・文=前田真紀 画像提供=太田記念美術館