フォーマルだけじゃない、革靴はもっと自由だ!『OTTOMO』【曳舟】

ワニという道具を使って革を木型に合わせていく永澤友浩さん。
ワニという道具を使って革を木型に合わせていく永澤友浩さん。

「“Grazie”しか言えなかった」という当時24歳の永澤さんが飛び込んだのは、フィレンツェの有名靴工房。3年間の修業で伝統技術を習得し、10年間ダンスシューズ会社でさらに腕を磨いた後にブランドを立ち上げた。革靴は完全カスタムメイド。「普段着に合わせてもいい。新しい感覚で履いてもらえたら」と遊びのあるデザインを展開し、履き心地もとことん追求。オーダー主のためだけに仕上げる一足は、職人の愛情がこもった一生モノだ。

築約100年の長屋をアトリエ兼ショップに。
築約100年の長屋をアトリエ兼ショップに。
クラシックな革靴に形や色で遊び心をプラス。「革靴を広めたい」とセミオーダーで4万円~の良心価格。
クラシックな革靴に形や色で遊び心をプラス。「革靴を広めたい」とセミオーダーで4万円~の良心価格。
ダンスシューズをアレンジしたDANCE4万円~と、足袋の木型からできたレザーサンダルINFRADITO 2万5000円~。
ダンスシューズをアレンジしたDANCE4万円~と、足袋の木型からできたレザーサンダルINFRADITO 2万5000円~。
味のある長屋。
味のある長屋。
各国の骨董市で集めた道具。
各国の骨董市で集めた道具。

『OTTOMO』店舗詳細

住所:東京都墨田区東向島3-33-1 /営業時間:営業時間はInstagram参照/アクセス:東武鉄道亀戸線・東武スカイツリーライン曳舟駅から徒歩8分

道具は自分の手だけ。結んで編んで生まれる繊維アート『Life Of Fiber』

過去の作品が集合するアトリエ。これも紐でできているのかと驚くような大作も。
過去の作品が集合するアトリエ。これも紐でできているのかと驚くような大作も。

ファイバーアートとは繊維を使った芸術のこと。紐(ひも)や糸を結んで模様を作るマクラメという技法に出合い、永井さんの作家活動が始まった。「素手で作れるのが良くて。結ぶのを繰り返すことで、平面でも立体でも表現できます」。世界中の紐と技法を組み合わせ作品を制作。マルチストラップなどの商品はイベントを中心に販売している。4年前には国際ファイバーアート協会に参画し、技術の普及にも注力。世界に通じる作家が誕生するかも!

ファイバーアートに使う綿の紐。
ファイバーアートに使う綿の紐。
結ぶ、巻き付けるなどの技法を組み合わせて制作するマルチストラップ。
結ぶ、巻き付けるなどの技法を組み合わせて制作するマルチストラップ。
マルチストラップ8690円。
マルチストラップ8690円。
スマホなどに使えるハンディーフープ6050円。
スマホなどに使えるハンディーフープ6050円。
タフティングという技法を使ったふわふわチャーム4620円~。
タフティングという技法を使ったふわふわチャーム4620円~。

『Life Of Fiber』

●商品の購入は展示会またはHP(lifeoffiber.com/)まで。Instagram:@lifeoffiber

何百年先も楽しめるアート屏風という古のキャンバス『片岡屛風店』【とうきょうスカイツリー】

木枠に和紙を貼りつける下貼りの技術は屏風作りの肝。
木枠に和紙を貼りつける下貼りの技術は屏風作りの肝。

アメリカ留学中に日本の伝統文化への関心が高まった片岡さん。80 年続く家業の屏風店を継ぎ、その価値を世界に伝えようと奮闘中。屏風はいわば古(いにしえ)のキャンバス。国産スギの木枠に和紙を貼り重ね、何百年先も美しい絵を遺(のこ)せる土台を作っていく。アーティストとのコラボ屏風は、ストリートカルチャーに明るい片岡さんならでは。伝統の屏風と現代アートの組み合わせは斬新で、可能性も無限大。海外でも積極的に発信したいと気合い充分だ。

アーティストSOLID BLACKLINEとのコラボ屏風。
アーティストSOLID BLACKLINEとのコラボ屏風。
紙の蝶番(ちょうつがい)は日本独自の発明。屏風を開いた時に真ん中の隙間が なく、一枚絵でみせることができる。
紙の蝶番(ちょうつがい)は日本独自の発明。屏風を開いた時に真ん中の隙間が なく、一枚絵でみせることができる。
屏風が並ぶ1階の展示スペ ース。
屏風が並ぶ1階の展示スペ ース。

『片岡屛風店』店舗詳細

住所:東京都墨田区向島1-31-6 コートK2/営業時間:10:00~17:00/定休日:土・日/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーラインとうきょうスカイツリー駅から徒歩2分

クリエイティブ魂を刺激する変幻自在の真鍮『Brass Mouse 川島工芸所』【押上】

バーナーを使ってパーツを接合する銀ろう付けの作業中の川島悠生さん (通称:ねずみ)。
バーナーを使ってパーツを接合する銀ろう付けの作業中の川島悠生さん (通称:ねずみ)。

真鍮(しんちゅう)製の口金やパーツを製作する、明治35年(1902)創業の川島工芸所。川島さんは2022年に家業に入り、父の元で昔ながらの真鍮加工の技術を習得した。ニックネームの“ねずみ”にちなんで名付けたブランド「Brass Mouse」では、音楽好きの川島さんらしいレコードスタンドやフラワーベースなど多彩なプロダクトを展開中。加工がしやすく経年変化で味が出てくるのが魅力の真鍮を使って「今後は建具も作っていきたい」とアイデアは止まらない。

本やレコードを飾れるスタンド2200円。
本やレコードを飾れるスタンド2200円。
アクセサリーのような栓抜き2500円。
アクセサリーのような栓抜き2500円。
ワンタッチで開く口金の本革コインケース1万3000円。
ワンタッチで開く口金の本革コインケース1万3000円。
がま口の口金に使うのは板状の真鍮。
がま口の口金に使うのは板状の真鍮。
板状の真鍮をカットする機械は昭和に製造されたもの。作業はとてもアナロ グ!
板状の真鍮をカットする機械は昭和に製造されたもの。作業はとてもアナロ グ!
真鍮製のフラワーベース。高さ3cmほどのミニサイズもかわいい。
真鍮製のフラワーベース。高さ3cmほどのミニサイズもかわいい。

『Brass Mouse 川島工芸所』店舗詳細

住所:東京都墨田区横川2-15-5/営業時間:10:00~17:00/定休日:土・日/アクセス:私鉄・地下鉄押上駅から徒歩7分

取材・文=井上麻子 撮影=丸毛透
『散歩の達人』2025年8月号より