『透明書店』自分に合う働き方を模索する[蔵前]
個人事業主や小規模事業者などのスモールビジネスを、より深く知るための本を揃える。業種ごとに、始め方、現場の実情、ノウハウなどの本が、エッセイから実用書まで硬軟織り交ぜて分類されているので、自分が目指すものを見つけやすい。また約40社の小規模出版社の本を版元ごとに並べていて、これまでとは違った視点が生まれるだろう。働くことを再考し、より良く生きるためのヒントがある。

『透明書店』店舗詳細
『書肆スーベニア』古書と新刊が互いに補い合う空間[浅草橋]
2022年10月に向島から移転。店内も広くなり、小説、歴史、芸能から漫画まで、扱う古本のジャンルも充実した。通勤途中や昼休みに文庫や新書を買ったり、親子で絵本を探したり、地域の人が気軽に立ち寄っていく。入り口すぐの新刊コーナーは「かなり自分の趣味が反映されています」と店主の酒井隆さんは話すが、長く読み継がれていく質の良い人文書が並ぶ。街に一軒あると安心できる店だ。

『書肆スーベニア』店舗詳細
『古書みつけ』雑多な品揃えは街の活力の証し[浅草橋]
古民家の2階が編集プロダクション、1階は古書店。地域メディアとして取材を始めたことをきっかけに街とつながりが生まれ、開店に至った経緯はエネルギッシュだ。並ぶ本は地元の人からの寄贈だが、柳橋周辺を舞台にした小説、芥川賞受賞作、海外文学、オカルト、ノンフィクションとコーナーごとに主張があり、見応えがある。本を媒介にして、地域コミュニティがゆるやかに回っている。

『古書みつけ』店舗詳細
『Frobergue(フローベルグ)』唯一無二の空間で世界の絵本を[蔵前]
扉を開けると外の喧噪が遠ざかる。扱うのは主に海外の絵本で、アメリカ、フランス、ドイツとの取引が多い。絵本は、国や時代によって印刷・造本技術の違いが大きく、絵の力だけでなく、紙の手触りまでを含めた作品であることに気づく。一方で、店外には均一本、入り口には和書の新刊、奥には文芸や人文、生活文化なども揃い、街の気さくな書店の一面も。静かにじっくり本と向き合える空間だ。

『Frobergue』店舗詳細
『YATO』1冊1冊を長く売っていく[両国]
細長い店内の壁に沿って立つ本棚には、新刊書がぎっしり詰まっている。建築、デザイン、ファッション、料理と、ゆるやかなグラデーションでジャンルがうつろうのを追うのが楽しい。選書の視点は店主の佐々木友紀さんがいいと思うものではあるが、お客さんの好みも加味されていて、「書店の棚は街のみんなとつくっていくもの」と話す。訪れる人は、棚を見ることで店主と対話しているのだろう。

『YATO』店舗詳細
取材・文=屋敷直子 撮影=丸毛 透(透明書店、書肆スーベニア、古書みつけ)、井上洋平(Frobergue、YATO)
『散歩の達人』2024年2月号より