【コースガイド】
最高地点 : 標高855m(陣馬山)
歩行時間 : 6時間10分
歩行距離 : 約13 ㎞
体力度 : ★★★
難易度 : ★☆☆
和田峠から陣馬山までの登りさえ頑張れば、あとは比較的楽な尾根歩きとなる。ただし長いコースなので、体力と時間は十分に確保しておきたい。疲れたら、景信山からでも小仏峠からでも下山が可能。雨の後などはぬかるみやすい道なので注意を。
アクセス
[行き] JR・私鉄・地下鉄新宿駅からJR中央線約1時間で高尾駅。高尾駅北口から西東京バス「陣馬高原下」行き約40分の終点下車。
[帰り] 「千木良」から神奈川中央交通バス「相模湖駅」行き9分の終点下車。相模湖駅からJR中央本線約10分の高尾駅乗り換え、JR中央線約1時間で新宿駅。
陣馬山山頂の展望は360度
裏高尾といえば縦走だ。標高が低いから長い遠足だという説もあるが、陣馬、景信、城山と絶景の山頂を3つも越すのだから、立派な縦走だろう。しかもそれぞれのピークにご褒美の茶屋まである。ということで、高尾駅からバスで山道を上がった終点から出発。
陣馬街道をたどった先の和田峠からの登りが頑張りどころだ。階段状になった道をどこまでもどこまでも上がる。これで終わりかと思うと、また階段が出てきて挫(くじ)けそうになるが、やがて頭上の空が広がってくる。
やった! 陣馬山の山頂だ!
遮るもののない山頂からの展望は360度。正面にうっすらと雪をかぶった富士山が見え、その左側には丹沢山塊。反対側に目を転じれば笹尾根の山々が近く、さらにその奥には大菩薩方面の眺めが広がっている。
絶景ピークの茶屋を横目で眺めつつ前進
近くを見れば広い山頂には立派な茶屋が3つも。日当たりのいいテラスにベンチやテーブルが並んでいて、この山頂で絶景を見ながら、ずっとのんびりしていたい! が、今日は縦走が目的なので、涙をのんで断念。白馬像に別れを告げたら出発だ。
アップダウンの後、道はなだらかになり、ほどなくして奈良子峠。そのあたりまで来ると、鈴の音を響かせて軽快な足取りで走ってくる人に会う。おっと、また追い抜かれた。幅広い尾根道には、トレイルランのランナーが多いのだ。その背中を見送りつつ、ゆっくり歩みを進める。
大展望の山頂にある茶屋で過ごす贅沢な時間
明王峠の茶屋は閉まっていたが、正面に富士山が大きく見えるので、ひと休み。まだ先は長い。次の底沢峠の標識に「小仏峠4.5㎞」とあるのを見て、ちょっとビビる。
堂所(どうどころ)山などを巻き道でやり過ごし、急な斜面を登れば、ようやく景信山の山頂だ。ここにも巻き道はあったが、さすがにこの山頂は外せない。上がれば、まず東側の都内の展望が開ける。山頂の標識から一段下ると、南側に相模湖が見下ろせる展望広場。景信山にも茶屋が2軒あり、甘酒・うどん・なめこ汁……とそそられるメニューが並ぶが、再び縦走路へ。縦走とは、我慢の連続なのだ。
赤土の滑りやすい道を下れば小仏峠。ここから最後のピーク、小仏城山へは、もうひと息。山頂のアンテナ群を見上げつつ、坂道を登りきる。
大きく広がった空を背景に、富士山と相模湖と山頂の茶屋が、よく頑張ったねと迎えてくれた。
【別コース】小仏城山から高尾山へ
小仏城山から進路を東に転じれば、高尾山への縦走路となる。南側が開けた展望のいい尾根道で、「関東ふれあいの道」の一部でもある。春には一丁平周辺のサクラが楽しめる。高尾山頂まで約1時間。
【山麓酒場】 かどや食堂
食べてよし飲んでよし駅前の王道食堂で一献
山から下りて来ると駅前で迎えてくれるお店がこちら。なにしろ昼から通し営業をしているので、早い時間に着いても大丈夫。定食類もおつまみも充実していて、ありがたい。吹き抜け天井の明るい店内で飲んでいると、時が経つのを忘れそう。
『かどや食堂』店舗詳細
取材・文=高橋 輝 撮影=清野編集工房
『散歩の達人』2021年3月号より