綱島サワーってなんなんだ?
私が初めて綱島サワーに出合ったのは学芸大学の居酒屋を訪ねた時だった。遠くからメニューを読んだせいで、うっかり“網島(あみしま)サワー”と読み間違えてしまったくらい、全く知らなかった。
「綱島(つなしま)サワーっていうんですよ。大葉のピクルスが入ってるんです」
そう店主に教えられ、もの珍しさに注文してみると……、う、うまい!もう一杯!!
爽やかにシソが香り、ピクルスの酸味でゴクッといける。大葉のピクルスをおつまみがわりに食べながら飲む、飲んべえの完全食タイプ。ガッチリと心を掴まれてしまった。
綱島サワーは焼酎に大葉のピクルスを加え、炭酸水で割ったもの。横浜にある綱島エリアで生まれたサワーで、5年ほど前に町おこしの一環として開発された。綱島周辺で大葉が名産だったわけではなく、このドリンクのために大葉を周辺で作るようになったのだそうだ。その美味しさと珍しさから、今では綱島のみならず三軒茶屋、学芸大学の酒場でもメニューに採用する店が増え、じわじわと綱島サワーの裾野が広がりつつある。
サワーの新星、綱島サワー。あらゆるドリンクを割材として「全てをハイにする」私としては、自宅でも作ってみたいじゃないか!
そもそも「全てをハイにする」とは??
「全てをハイにする」は、自粛期間中の“買い出し”を楽しむために思いついた遊びだ。「何に焼酎を入れると美味しいか」を考えながら、スーパーやコンビニへ行き、オリジナルの「〇〇ハイ」を作る。この遊びによって少し視点を変えるだけで、いつもの売り場が輝いて見え、どこへ行くのも立派な散歩。身も心もハイになれるのだ。
「全てをハイにする」の基本ルールは以下。
ルール①焼酎に入れたら美味しそうなもので割って飲んでみる
ルール②食べ物を粗末にしない
綱島サワーを作ってみよう
まずは大葉のピクルスを作る。酢と水、砂糖、塩を鍋で煮立てたピクルス液にお好みで鷹の爪やハーブを少し。ここに大葉を半日ほど漬けておくだけだ。面倒くさがりの人はスーパーで売っているできあいのピクルス液を使ってもいいと思う。
ピクルス液に漬け込みすぎると大葉のシャキシャキ感が損なわれるので、漬け込み時間はほどほどに。お好みで調整してほしい。
ピクルスが完成したら、サワーを作るステップに入る。焼酎の入ったグラスに、ほどよく漬かった大葉のピクルスを数枚、ピクルス液を少し加えて炭酸水を注ぐ。
できた!
大葉のピクルスっていうとおしゃれな感じがするけれど、大衆酒場にあっても違和感のないビジュアルと味わい。爽やかな大葉のおかげで、揚げ物とかやきとんにもぴったり合うんだよなぁ。
アレンジに挑戦。夏に飲みたい「綱島金魚サワー」
大葉を使っているのだから、大葉と唐辛子で作る金魚サワー風にアレンジしても美味しいのではないかと思い立ち、試してみる。こうしたアレンジが試せるのは自宅ならではの楽しみだ。
悪くない。もともとピクルス液にも唐辛子が入っているのだから、当然か。時間が経つごとに唐辛子がきいてきて、喉を通る辛味が心地よい。夏場に飲むのに良さそうなアレンジだ。
疲れが吹っ飛ぶ酸っぱさ「梅干し入り綱島サワー」
和の食材、漬物つながりで、梅干しの追加にもチャレンジしてみる。酸味の要素が強すぎたのか、漬物をそのまま飲み物にしたサワーが誕生してしまった。梅干しとピクルスの酸味で、目が冴える。クエン酸! 疲れが吹き飛ぶ味わいだったが、繰り返し飲みたいほどの完成度には到達しなかった。無念。
サワーには無限の可能性が眠っている
飲み口爽やかで、料理にも合い、何杯でも飲めてしまう綱島サワー。作るときの手順の簡単さを含め、他のエリアの酒場に広がってもおかしくないと感じた。なんなら、これが5年前に生まれたとは思えん。
ムムム、と考えながら達した結論は、やはりサワーには可能性が詰まっているということだ。まだまだ、身近な食材で試していない美味しいサワーが眠っている可能性がある。私は、綱島サワーの美味しさに感動しながら、サワーの将来性に胸がドキドキした。
皆さんもスーパーでピクルス液と大葉をゲットするだけで、サワーの未来を感じられるぞ。ぜひ試してみてほしい。
撮影・文=福井 晶