新歌舞伎座の意匠を継承
日本を代表する建築家・故村野藤吾が設計した旧新歌舞伎座の跡地に建つこのホテルは、東京の歌舞伎座や新国立競技場を手がけた隈研吾が設計。特徴的な外観は、唐破風(からはふ)が連なる新歌舞伎座の意匠を継承したものとなっている。それ以外にも、館内5階の廊下に新歌舞伎座で使われていた懸魚(げぎょ)が飾られていたり、2階レストラン「ユラユラ」にも実際に使われていた金具が展示されていたり、長らくミナミの顔として親しまれた新歌舞伎座を随所に感じることができる。
確かにこれはミュージアム
館内には、ロビーや廊下、エレベーターホールなどのパブリックスペースと客室に計100点以上のアート作品が展示されている。東京芸術大学の特任教授・伊東順二がキュレーターを務め、草間彌生や小松美羽、デイル・チーフリなど国内外29作家の作品は見ごたえ十分で、まさに「ミュージアムホテル」の看板に偽りなしだ。
また、レストランやカフェも充実しており、宿泊以外の利用でも作品を楽しめる機会が多そうだ。20階にあるバーラウンジ「雲雲~KUMOKUMO~」は夜景も一見の価値あり。
その立地も「さんたつ」的には◎
地下鉄なんば駅直結という便利さもうれしいが、ホテルの裏は新歌舞伎座の裏あたりということで“座裏”と呼ばれる、最近大阪で注目されている飲み屋街になっている。かつて新歌舞伎座があったころは、ハードルの高そうなディープな路地裏だったが、近年はそれだけではなく、昔からある人気店に新しい店も加わって賑わいを見せている。ホテルからは目と鼻の先、ぜひ泊まってゆっくり探索してみて欲しい。
取材・文=伊藤真一(編集部)