東京の地下がとんでもないことになっている
東京駅周辺の地下歩行者ネットワーク、活用してますか?
かくいう筆者は青空が大好きで、光合成して養分を生成する植物体質。散歩も移動も歩くのは地上ばかりで、ちっとも地下通路を利用してこなかった。しかし、編集部が「東京の地下はスゴいんだゾ」とのたまう。さらに「地下通路を完全網羅したマップを作ってほしい」との御指令! やってやろうじゃないかと慣れない地底に飛び込んだのが運の尽き、その世界が広大すぎてなかなか地上に戻ってこられなかった。早速、苦労して完成させた地下マップをご覧に入れよう。
マップには、地下鉄の通路や公道としての地下通路のほかに、それと接続するビルの地下も記載している。ただし、ビルの地下は曜日や時間帯によっては通行できないこともあるほか、建て替えなどで状況はみるみる変わる。2026年9月の調査時点の情報として、大目に見てくださいませ。
ざっくり構造を3エリアに分けて解説
マップを見て「げっ、なんだコレわけわからん!」と思ったそこのあなた、ご安心あれ。どの曲がり角を右だ左だと言う前に、全体を大まかに把握した方が歩きやすいのは地上も地下も同じ。というわけで、それぞれのエリアの構造を簡単に解説してみる。各回の記事をまだお読みでない方は、ぜひともそちらもチェックされたし。
(1)大手町エリア
大手町エリアの地下の構造は、当然のことながら大手町駅が中心。とはいえ、地下鉄の4路線あり、それぞれ別の場所にホームがあるもんだから、その時点ですでに複雑だ。
ロの字の形に配置された駅ホームと改札があり、そこから各ビルの地下につながっているというのが基本構造。いつの間にかビル地下の商業施設に入り込んでいたり、当てにしていたビル地下の通り道が週末は閉まっていたり……なんてトラップがある点には要注意だ。
より深く知りたい方は【(1)大手町編】をどうぞ。
(2)丸の内・八重洲エリア
JR東京駅の西(丸の内)は、駅前広場・行幸通り・日比谷通りの地下にあたる部分の通路が核。さらに駅前広場から北(東西線大手町駅)と南(JR京葉線ホーム)へ延びる通路もある。それ以外は基本的にビルの地下どうしがつながっているオマケ小道だと思えば分かりやすい。
一方の東(八重洲)は、外堀通り・八重洲通りの地下に広がるヤエチカが大半。そこからちょびちょびと周辺の施設にも直結している。ヤエチカ北側から大丸~東京駅一番街にかけては、とにかく混雑していることが多いので難所といえば難所だ。
より深く知りたい方は【(2)丸の内・八重洲編】をどうぞ。
(3)有楽町・銀座エリア
ぽん太通り(筆者命名。有楽町線に沿って走る通路)と、日比谷通り地下、そして晴海通り地下という3本が基本になる。有楽町駅、日比谷駅、銀座駅、東銀座駅という4駅が絡むエリアではあるものの、「ビルの地下を渡り歩いて別の通路に出られる」という大手町や丸の内にありがちな場所はJR有楽町駅の駅前だけで、案外シンプルな構造だ。
より深く知りたい方は【(3)有楽町・銀座編】をどうぞ。
地下満喫散歩コースを考えてみました
最長距離を目指すチャレンジコース
「ひたすら地下だけを歩きたい。地下を歩く時間が長ければ長いほどいい」とおっしゃるモグラあるいは地底人のみなさまには、ぜひとも地下オンリーでの最長距離を体感してもらいたい。この地下世界の最北端である大手町駅のC2b出口から最南端となる東銀座駅の6番出口までは、地下通路だけを使って約2.5km。さらに、ビルの地下も駆使しつつ同じ道は通らないように遠回りして歩けば、約12kmにもなる。
本気のよくばりデートコース
「地下だけでおでかけを完結させたい。太陽光は絶対に浴びたくない」という吸血鬼カップルにおすすめなのは、地下直結の店や施設をめぐるコース。駅のパブリックアート前で集合、GINZA SIXでハイブランドを冷やかし、東京ミッドタウン日比谷のTOHOで映画鑑賞、三菱一号館美術館で名画に唸り、ヤエチカでランチを済ませつつ、東京ミッドタウン八重洲にも寄ってハシゴタウン。開業したてのトフロムもチェックしたあとは、大丸のデパ地下で高級フルーツを買って帰るもよし、はたまた丸ビルのディナーで締めるもよし、もちろんパレスホテルまで行っちゃったっていい……!
『散歩の達人』的、じわじわ楽しい注目ポイント
地下の楽しみ方は「長い」だの「便利」だのという話だけではない。【(1)大手町編】や【(2)有楽町・銀座編】でも触れたが、地下通路の継ぎ目には高低差があったり、頭上の障害物を避けるための階段があったりと、その造りに注目すると興味深いことこの上ない。
さらに、開通した時期が古い地下通路には、見るからに年季の入った看板が残っていることも多い。ニッチな路上観察者の方々にとってはネタの宝庫でもある。
広大かつ緻密な地下世界を活用すべし
地下初心者だった筆者がこの地図を作っていて実感したのは、とにかく「どこへでも行ける」「どこまでも行ける」ということだ。あっちもこっちもつながっていて、それが丁寧に案内されているからこそ、ナメてはいけない。全部つないで「友達の友達は友達♪」状態になっているけれど、それに騙されて思いがけず何kmも歩かされるであろう上京したての田舎っペには同情する。東京を隅々まで楽しむには、それ相応の健脚が必要なのかもしれない。
とはいえ、移動手段としてのメリットはあまりに大きい。天候に左右されないし、信号待ちの時間もないばかりかショートカットできることすらある。比較的きれいな公衆トイレが多いのも地味に助かるし、「ここはあそこの地下で……」と重層的に位置関係を理解できて土地勘も養われる(気がする)。
2028年には、呉服橋交差点のところで日本橋駅・茅場町駅と直結、さらに京橋駅もつながり、国内最多の10駅連結を果たす予定。そうなると、日比谷線は途中の築地駅をすっ飛ばして茅場町駅と東銀座駅~日比谷駅がつながる、というワケわからん事態になる。今から楽しみで仕方がないぜ!
取材・文・撮影=中村こより







