東京駅とその東西についておさらい
改めて説明するまでもないが、この果てしない地下世界の根源は東京駅だ。皇居の正面に中央停車場としてつくられた、正真正銘“東京の玄関口”。地下鉄もワラワラと集結し、地下道がじわじわ発達、遅れてヨッコラセと乗り入れた京葉線も東京駅を名乗るもんだから、あまりに巨大なターミナル空間に膨れ上がったってわけ。
広大な空間でその貫禄を見せつけてくる丸の内と、文字通り網目のように地下街が広がる八重洲。駅の東西をつなぐ連絡通路のほかにも、双方を行き来できるルートが実はあるとかないとか……。行きつ戻りつ右往左往する実地調査へ、いざ!
地上に負けず劣らず広い! 丸の内の駅前広場
まずは丸の内側から歩き出す。JR東京駅の駅舎前に広がる空間の北側(新丸の内ビルの東側)には、JR側と丸ノ内線側をつなぐ東西方向の通路が3つ並んでいる。どの道がどれなんだか分かりづらくて、正直「たどり着けりゃいいか」と人の波に乗って歩いてしまうけれど、真ん中の通路には階段があるというのが一つの見分けポイント。両脇にバリアフリーの選択肢を用意しているってことなのかしら。
JR丸の内地下南口改札のそばには、大きな3つの車輪。これは戦後活躍した蒸気機関車の動輪で、国鉄が100周年を迎えた1972年に東京地下駅開業を記念して設置されたもの。以前は丸の内地下北口にあったが、2014年に現在地に移された。待ち合わせ場所でもあるはずだし、移設当初は迷子が大量発生したんじゃなかろうかと今更ながら心配になる。
駅前に大きな広場があり、そこから皇居方面に向かう通路がのびているというのは地上も地下も同じ。地上の行幸通りは、まんま地下にもある。ここはもともと地下2階層の駐車場として整備された空間で、その上の層を歩行者用に開放したんだそうだ。そのためなのか、広場から行幸通りに入る際は一層分の段差を上がる必要がある。
約1.8kmの通路のほかにも南北ルート多数
行幸通りを皇居方面へ進むと、日比谷通りの地下、三田線・千代田線の線路の上を走る通りに突き当たる。大手町から日比谷公園までつながるこの通路は全長およそ1800mと、競馬のレースもできちゃいそうな長さだ。
一方、駅前広場の南方面には、京葉線ホームにつながる通路がある。地下深くを走る総武本線・横須賀線の線路に沿って走る道で、大名小路の地下にあたり、東側の壁がレンガになっていて「アートロード」なる名前がついている。途中、西方面への分岐があり、丸の内パークビルディングや明治安田生命ビルの地下を経由して競馬レース通り(日比谷通りの地下)にもつながっている。
また、駅前広場から京葉線ホームまで向かうなら、KITTEや東京ビルディングの地下を渡り歩いて京葉線ホームへ向かうという手もある。
京葉線ホームの上にはまあまあ広い通路が東西方向に走っているが、これはかつて計画されていた新幹線用のホームを京葉線が活用しているためだと思われる。床が白く、大名小路から改札に向かってゆるやかな下り坂。ここを人がぽつりぽつりと下りてくる時間帯はなんだかスキー場のように見えるので、筆者は勝手にゲレンデと呼んでいる。
ゲレンデの西側は、新東京ビルや丸の内二重橋ビルの地下をたどって競馬レース通りまで行くことが可能。ゲレンデの南は東京国際フォーラムの地下に直結、そのままさらに有楽町駅へつながっている。ここからさらに南の話は、この後配信の【(3)有楽町・銀座編】でどうぞ。
丸の内と八重洲を行き来する方法は?
さらに、ゲレンデの東側には、ちゃっかり八重洲まで行けちゃう道筋がある……というわけで、このあたりでJR東京駅の東西を行き来できるルートを整理しておこう。
改札外で丸の内・八重洲をつなぐ地下の道は3つある。1つ目は、【(1)大手町編】の記事で触れた大手町駅と呉服橋付近をつなぐ通路。先ほどの駅前の広場から北へ向かう通路を進めば、そのまま大手町駅~呉服橋をつなぐ東西方向の通路にぶつかる。丸の内オアゾの地下を経由して同様の方角に向かうことも可能だ。
2つ目は、東京駅構内の北寄りを通る「北地下自由通路」という名の東西連絡通路。丸の内地下北口改札付近から、八重洲側は黒塀横丁や東京キャラクターストリートにつながっている。ちなみに地上にも同じ位置に「北自由通路」があり、うっかりしているとZ軸の現在地を見失いそうになるので要注意。
そして3つ目が、ゲレンデの東側。京葉線の改札脇をすり抜け、ビルの地下を渡り歩いていく方法だ。八重洲側(と言いつつ住所はまだ丸の内)で地上に向かう階段の踊り場がパシフィックセンチュリープレイス丸の内に接続していて、そこからお隣のグラントウキョウサウスタワーの地下につながり、さらに北へ進むとヤエチカに出るのである。
さらに、駅構内の南側にも、北と同様の東西自由通路を通す計画がある。2022年からすでに工事が始まっているようで、2029年ごろには使用開始予定だとか。
ヤエチカは開業ホヤホヤ施設にももちろん直結
いよいよ最後はヤエチカ、八重洲地下街に突入だ。幾筋もの通路が交差し縦横に街区が広がっていて、その名の通り“地下の街”。東京駅前を南北に通る外堀通りと東西に走る八重洲通りの地下部分をメインに広がっている。外堀通りはその名の通りかつて外濠川が流れていたところだが、今や休日は人波が押し寄せる道に。ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず……。
地下街の南側は、2023年にオープンした東京ミッドタウン八重洲。ヤエチカとは3カ所の通路でつながっていて、地下2階はバスターミナルになっている。さらに、ミッドタウンからは隣のYANMAR TOKYO、同じミッドタウンの別棟・八重洲セントラルスクエアにも地下で直結し、それぞれからまた八重洲通りのヤエチカに接続する。
東京ミッドダウン八重洲のさらに南にも、YAESU COREなる施設が2029年に竣工予定。当然この施設の地下もヤエチカと直結すると思われる。
地下街の北側は、2026年9月にTOFROM YAESU(トフロム八重洲)がオープン。こちらも地下はバスターミナルになっていて、当然ヤエチカ直結。
さらに、地下街の北西は大丸の地下階や東京キャラクターストリートとつながり、その先を北へと進めば、先述の大手町駅と呉服橋付近をつなぐ通路に出る。そこから先は大手町駅に通じている。
丸の内・八重洲の地下マップはこうなりました
丸の内と八重洲エリアの探索は以上! JR東京駅を反時計回りにぐるりとまわりこんだ形になった。地図にして見てみると、駅東西の様相の違いが反映されているのがおもしろい。建設中の施設や通路も多く、向こう5~6年でさらにこの網目が広がることは確実だ。地下空間の中心部とあって、いまだ成長中のエリアといえるだろう。
マップには、地下鉄の通路や公道としての地下通路のほかに、それと接続するビルの地下も記載している。ただし、ビルの地下は曜日や時間帯によっては通行できないこともあるほか、建て替えなどで状況はみるみる変わる。2026年9月の調査時点の情報として、大目に見てくださいませ。
当然、この範囲の南北にも地下はまだまだつながっている。ビルの地下同士がつながりまくる北は【(1)大手町編】として、南は【(3)有楽町・銀座編】として探索しているので、ぜひそちらもチェックされたし。
取材・文・撮影=中村こより







