有楽町・銀座エリアについておさらい
日比谷駅・銀座駅・東銀座駅、そして有楽町駅という4駅がぎゅっと詰まっているのが今回のエリア。JRのほかに、東京メトロ千代田線・日比谷線・丸ノ内線・銀座線、都営三田線・浅草線という6つの地下鉄路線が絡む範囲だ。
今回は東京国際フォーラムの南側の出口から出発して北から順に攻めていく。東京国際フォーラムの地下が東京駅から続いているという話は、【(2)丸の内・八重洲編】で説明しているので、まだの方はぜひご一読を。
入り組んだ通路があるかと思えば、きらめく装飾に点在するアート、そして日本最古レベルの地下街跡地まで、バラエティに富む見どころで目が回る。人混みに揉まれてボンヤリ歩いてちゃわからない、地下に潜むあれこれを片っ端から拾い上げる実地調査、スタート!
有楽町で見つけた、もっこり傾斜と謎のぽん太
のっけからマニアックな話になるのだけれど、当然この地下通路網は一気にできあがったわけではなく継ぎ接ぎして広がってきた。道路の下を通るときはアンダーパスのようにうっすら下がっていたり、地下鉄の下をくぐるための階段があったりすることは大手町編で触れているが、さらに微妙な高低差も発見。東京国際フォーラムと地下鉄有楽町駅との接続部分には、数十センチ程度、微妙にもっこりと膨らんだ傾斜があるのだ。きっと真っ平にできない理由がこの床の下にあるのだろう。
気を取り直して(?)歩き出す。地下鉄有楽町線の線路に沿って東西方向にのびる通路は、東は交通会館、西は日比谷通りまでつづいている。日比谷通りの方へ向かって進むと、突如視線を感じる一角がある。それが「ぽん太の広場」だ。
信楽焼のたぬきが柵の中にずらりと並び、つぶらなのか虚ろなのか分からない瞳で地下通路を見つめている。「1988年から有楽町駅に住み始めた」という説明書きはあるものの、理由はやんわりとはぐらかされていて不明。下手に動かすと化かされるのかもしれない。
またしてもシュールな話題になっちまった。ここからは日比谷通りに出て、日比谷駅に向かって南下を開始する。
錯視の階段? 複雑怪奇な日比谷交差点
地下鉄日比谷駅は、日比谷通りに沿って走る三田線・千代田線と晴海通りに沿って走る日比谷線の3路線が、日比谷交差点からそれぞれ三方向にホームを構える構図。日比谷交差点は地下でもやはり“交差点”であり要衝なのだが、ここがまた随分と複雑な構造になっている。
日比谷通りを南下していくと、斜めに道が曲がった先に下りの階段が現れる。それを下ると再び上り、晴海通りの南側に出てくる。そこから日比谷線へ向かうには、また別の斜めにのびている階段を上ったり下ったりする必要があって……と、十字路の地上に対して地下はとにかく複雑な交差点になっているのである。立体図にすれば錯視で有名な「ペンローズの階段」の絵みたいになりそうだ。
なんでまたこんなことになっているのかというと、晴海通りのアンダーパスがおそらく関係している。数寄屋橋交差点~日比谷公園あたりまでは車道の地下道(アンダーパス)が通っているから、歩行者用の地下通路はそれを避けて通さなきゃいけなかったのだ。地下バージョンの歩道橋みたいなものか。
ペンローズ交差点を抜けると、日比谷通りの通路はそのまままっすぐ南下、日比谷公園に出る出口が南端だ。その途中には、東京ミッドタウン日比谷への接続点もある。ここは一気に暖色の明かりに包まれて「ようこそ」という声が聞こえてきそう。武骨で薄暗く探検感があったペンローズ交差点とはえらい違いだ。
東京ミッドタウン日比谷からは、隣の東京宝塚ビルや斜向かいの東宝日比谷ビル(日比谷シャンテ)にも接続、そして晴海通りの地下までつながっている。
JR有楽町駅前の充実っぷりも侮れません
晴海通りをそのまま南東方向へ進むと、有楽町マリオンに直結する分岐が現れる。有楽町マリオンから先はまた地下通路がつながり、JR有楽町駅前の広場へ、さらにその先は東京交通会館へ、そしてその向こうは「ぽん太の広場」があった通路へ……とつづく。
有楽町マリオンと有楽町イトシアを通る道路の下にも地下通路があり、外堀通りの方へとつながる。ここは天井の照明部分にルーバーが施されていて、筆者は勝手にルーバー通りと呼んでいる。
このルーバー通りには一部天井が低い部分があり、そこだけ天井に合わせて床も低くしてある。その結果、昔プールの入り口に設置されていた腰洗い槽、通称“地獄風呂”状態になっているのだ。近年、腰洗い槽はすっかり廃止されているらしいが、ここの腰洗い槽も2026年9月現在は通行禁止になってしまっていた。
キラキラアートからディープな地下街の跡地まで
外堀通りから先はいよいよ銀座エリア。JR有楽町駅の南側では、外堀通りに沿う様に丸ノ内線の線路が走っていて駅もある。晴海通りと外堀通りが交わる地点は地上だと数寄屋橋スクランブル交差点だが、地下も常に人が行き交っていて地上に負けず劣らずスクランブリングだ。
この銀座駅は2020年にリニューアルしていて、通路の内装にもどことなく銀座の矜持を感じずにはいられない。柱が各路線カラーに光っていたり、天井に幾何学模様が広がっていたり、パブリックアートもあちこちにある。
晴海通りと中央通りが交わる銀座4丁目交差点は、銀座線と日比谷線が交わる部分。松屋銀座あたりまでコンコースがあってそのまま接続しているのだが、その松屋銀座の入り口手前には、銀座共同溝を覗ける窓がある。中央通り沿いの施設につながる電気・ガス・水道の管路がまとまっている部分で、両側の歩道地下にあわせて約2kmあるのだそうだ。
晴海通りをさらに東へ進めば、銀座エリアで最大規模の商業施設、GINZA SIXへの入り口が現れる。GINZA SIXが立つ銀座6丁目は晴海通りよりもひと区画離れているけれど、その間をつなぐ通路があるのだ。
その先では、通路の壁が突如水色になるところがある。なんだか怪しいぞ!と地図を照らし合わせて見てみると、ちょうど地上に三原橋があった地点だった。
三原橋とは、もともとここを流れていた水路・三十間堀に架かっていた橋。水路が戦後に埋め立てられた後、橋の下に三原橋地下街が開業。日本最古レベルの歴史を持つ地下街で、「銀座シネパトス」などが入っていたことでもおなじみのディープスポットだったが、2014年に閉鎖・解体された。
三原橋を越えると、東銀座駅。通路と同じ高さを浅草線が通っているので、さらに先へ進むには一度階段を下りて線路をくぐる。浅草線の先では歌舞伎座の地下・木挽町広場にも直結、その先は万年橋交差点の手前で地下通路は終了。ここが、東京駅から地下だけを歩いてたどりつける最南端だ。
有楽町・銀座の地下マップはこうなりました
有楽町・銀座の調査完了! 近年開業した商業施設との直結で煌(きら)びやかな場所があるのはもちろんのこと、歴史を感じられるポイントも多かった。
マップには、地下鉄の通路や公道としての地下通路のほかに、それと接続するビルの地下も記載している。ただし、ビルの地下は曜日や時間帯によっては通行できないこともあるほか、建て替えなどで状況はみるみる変わる。2026年9月の調査時点の情報として、大目に見てくださいませ。
東京国際フォーラムを抜ければ丸の内やヤエチカにつながるし、日比谷通りを北上すれば大手町まで続いている。ほかのエリアも気になる方はぜひ、【(1)大手町編】と【(2)丸の内・八重洲編】をどうぞ。
取材・文・撮影=中村こより







