大手町駅とエリアの概要をおさらい

大手町駅は、東京メトロ丸ノ内線、東西線、千代田線、半蔵門線、さらに都営三田線の5つの路線が通る駅。東京の地下鉄駅のなかでは、乗り入れ路線が最も多い駅になるそうだ。各線のホームが絶妙に離れているもんだから、駅としての範囲だけでいえばJR東京駅並みに巨大なのである。

本稿で調査する範囲は、地下鉄大手町駅を中心とした大手町エリア。
本稿で調査する範囲は、地下鉄大手町駅を中心とした大手町エリア。

そんな大手町の街はといえば、オフィスビルが林立するビジネス街。その地中では各ビルの地下階がそれぞれ直結し、存在を知らなければ素通りしてしまいそうな抜け道もある。いったいどこまでつながっているんだか、とにもかくにも歩いてみるしかない! 地底をさまよう果てしない実地調査の始まりだ。

「首塚」の地下にも念のためお参りを

東京駅から地下でつながっている出口のなかで最も北に位置するのはC2b出口がある日比谷通り沿いの経団連会館。まずはここから調査スタート……と思いきや、経団連会館からさらに西側のJAビルまで地下はつながっていた。厳密な最北端は、出口よりもさらに先にあるってわけ。

飲食店街になっているJAビルの地下、最北端の行き止まりを望む。
飲食店街になっているJAビルの地下、最北端の行き止まりを望む。

最北端からまずは南へ下ってみる。南北方向につづく通路は日比谷通りの真下にあたり、三田線・千代田線の線路がさらにその下を通っている。まっすぐ日比谷公園まで続いているけれど、とはいえ完全な1本道というわけではもちろんなく、早速西への分岐を発見。進んでみるとOtemachi Oneタワーの地下に入り、飲食店街をぐるりと回り込んで今度は、将門塚付近のC5出口までつながっていた。

将門塚、別名「首塚」は、Otemachi Oneタワーの南側にある史跡。平安京で討ち取られた平将門の首が故郷の関東に向かってぶっ飛んだという伝説が有名だが、その首が祀られているのがここ。神田明神の創建の地でもあり、江戸の“開発”をビシバシ進めていた家康も神田明神は遷座させたけれど塚は残した。関東大震災で塚そのものは壊れたそうだが、現在は広場になっていて石碑が立っている。

将門塚。大蔵省の仮庁舎が建ったり駐車場になりかけたりしたけれど、そのたびに不審な死が続いたとか……。
将門塚。大蔵省の仮庁舎が建ったり駐車場になりかけたりしたけれど、そのたびに不審な死が続いたとか……。
地下のほぼ同じ地点から、将門塚の真下と思われる壁の向こうを拝む。祟られませんように!
地下のほぼ同じ地点から、将門塚の真下と思われる壁の向こうを拝む。祟られませんように!

知らなきゃ使いこなせない抜け道がある?

もう1本、南北方向に走る大名小路の方も地下でつながっている。こちらには日比谷通りのような地下通路ではないのだが、ビルからビルへ、そのまた隣のビルへと、飛び石を渡るように地下の道がつづいているのだ。

丸ノ内線の鎌倉橋方面改札からすぐ、大手町フィナンシャルシティサウスタワーに直結する入り口のそばでは、なにやら通路の脇へ人が吸い込まれていく。後を追ってみれば、曲がり角の先には通路へとつづくエスカレーターが! そのまま南のビルへつながり、さらに先は半蔵門線などにも通じている。あぶない、重要な抜け道を見逃すところだったぜ。

はじめは気づかず通り過ぎていたが、覗(のぞ)き込んでみると……
はじめは気づかず通り過ぎていたが、覗(のぞ)き込んでみると……
エスカレーターが出現。下った先には通路がつづく。
エスカレーターが出現。下った先には通路がつづく。

丸ノ内線と半蔵門線が交わる場所から南下するなら、選択肢が2つある。一つは大名小路の西側で、大手町タワーの地下を通る道。地下はオーテモリなる商業施設になっていて一部が吹き抜けだから、地下とは思えない開放感がある。もう一つは大名小路の東側、大成大手町ビルの地下を通る道で、こちらは真っ白かつ一本道。距離は大差ないけれど景色があまりに対照的、気分次第でお好きな方をどうぞ。

オーテモリでは、ビル群の谷間につくられた緑地「大手町の森」が見える。
オーテモリでは、ビル群の谷間につくられた緑地「大手町の森」が見える。
大成大手町ビルの、すっきりとした地下らしい地下。
大成大手町ビルの、すっきりとした地下らしい地下。

線路や道路の下をくぐるアンダーパス

オーテモリと大成大手町ビル、どちらを通って南下しても出るのは同じ道。東西方向(東西線の線路に沿った方向)に走っている通路なのだが、その中間あたりに一度下ってまた上る階段がある。運動不足の現代人にとっては腹立たしいことこの上ないけれど、もちろんイジワルしているわけではない。ここはちょうど丸ノ内線と東西線が交わる場所で、頭上を通る丸ノ内線の線路の下をくぐるための階段なのだ。

ガラスケースの中にはマーキュリー像。反対側にも対になるように展示されている。
ガラスケースの中にはマーキュリー像。反対側にも対になるように展示されている。

ここまで大掛かりではないにしろ、似たような高低差のある場所はあちこちで出くわした。特にビルとビルの間や道路の下をくぐっていると思われる場所では、床が微妙に低くなっていることが多い。地下通路をつなげるための試行錯誤が窺(うかがえ)える。

大手町交差点の地下、『パレスホテル東京』方面へ向かう通路の微妙な高低差。
大手町交差点の地下、『パレスホテル東京』方面へ向かう通路の微妙な高低差。

歩けば歩くほど雰囲気もどんどん変わる

東西線に沿って走る通路は、西は『パレスホテル東京』、東はJRの線路を越えて呉服橋交差点の近くまでつながっている。改札付近では行き交うビジネスパーソンたちに爛々と目配せするデジタルサイネージ広告が並ぶ一方、パレスホテルに向かう通路は一気に高級感を醸していて、どちらにも縁のない筆者は少々居心地が悪い。

大手町交差点の地下にあたる地点。
大手町交差点の地下にあたる地点。
『パレスホテル東京』へ直通する通路。すでにパレスホテル感あり。
『パレスホテル東京』へ直通する通路。すでにパレスホテル感あり。

温度差で風邪をひきそうな場所はそそくさと離れ、ぐんぐんと東へ進んで今度は通路の東端へ。呉服橋交差点の手前では、TOKYO TORCHの常盤橋タワーに接続している。この隣で建設中なのが、2028年竣工予定で日本一の高さになるTORCHタワーだ。

TOKYO TORCH(写真奥)につながる部分はちょっとした広場になっていた(2026年9月時点)。
TOKYO TORCH(写真奥)につながる部分はちょっとした広場になっていた(2026年9月時点)。

地下通路はここまでだが、ここから100mちょい東には地下鉄日本橋駅がある。一帯は呉服橋プロジェクトなる再開発が進んでいて、こちらも2028年には直結する予定。そうなれば、東京駅を中心とする地下ネットワークに日本橋駅・茅場町駅・京橋駅も加わることになり、日本国内最多となる10駅連結を果たすんだそうだ。いやはや、その時はまた実地調査してマップを更新しなくちゃ。

呉服橋手前の行き止まり。2028年にはこの壁が消えて通路がつながるのかな?
呉服橋手前の行き止まり。2028年にはこの壁が消えて通路がつながるのかな?

大手町駅付近まで戻って、再び南下。東西線よりも南は丸の内エリアに突入する。丸の内仲通りの西側に並ぶ3棟は1本の地下通路でつながっていて、三菱UFJ信託銀行本店ビルからは丸の内仲通りをくぐってみずほ丸の内タワーにも直結。地上では、みずほ丸の内タワーの脇に和田倉小径なる小道が整備されているが、その地下にあたると思われる地下通路もなかなか凝った内装だった。

丸の内仲通りをくぐる地点もアンダーパス!
丸の内仲通りをくぐる地点もアンダーパス!
三菱UFJ信託銀行本店ビルは一部吹き抜け。
三菱UFJ信託銀行本店ビルは一部吹き抜け。
みずほ丸の内タワーの地下通路。日比谷通りに向かって下り坂。
みずほ丸の内タワーの地下通路。日比谷通りに向かって下り坂。

大手町の地下マップはこうなりました

さて、大手町編の探索はここまで。マップにしてみると、色も相まって毛細血管のように見えてきた。この中を血液が流れるように人間たちが日々せっせと動き回っているわけだ。

地下通路完全網羅マップ【大手町編】。
地下通路完全網羅マップ【大手町編】。

マップには、地下鉄の通路や公道としての地下通路のほかに、それと接続するビルの地下も記載している。ただし、ビルの地下は曜日や時間帯によっては通行できないこともあるほか、建て替えなどで状況はみるみる変わる。2026年9月の調査時点の情報として、大目に見てくださいませ。

オマケ。みずほ丸の内タワーから見た三田線大手町駅の改札。
オマケ。みずほ丸の内タワーから見た三田線大手町駅の改札。

さらに南へ進めば、丸の内に広がる東京駅前地下広場や八重洲地下街、それらをつなぐ連絡通路、そしてさらに日比谷駅や有楽町駅につづき、銀座エリアまで達する。探索のつづきが気になる方は続く【(2)丸の内・八重洲編】や【(3)有楽町・銀座編】をどうぞ。

取材・文・撮影=中村こより