北区で唯一シガーを置いている
赤羽の住宅街に立つ洋館2階にあるバー。1階は世界のビール約100種類と食事を楽しめ、2階はグッと高級感あふれるオーセンティックなバーになっている。特徴はシガーを置いていること。店主でバーテンダーの大山暁さんは「北区では唯一、シガーを置いているバーです。普段の生活ではなかなか馴染みのないシガーですが『自分へのご褒美』のように吸っていかれる方も多いです」と話す。
とはいえ、バーでシガーを試すのは勇気がいる。そんな初心者でも楽しめる、おすすめの一本や一杯を聞いてみた。
キューバ産のシガーをくゆらせ、至極のひと時を
まずシガーは、モンテクリスト メディア コロナスという短めの1本。「30分くらいで吸える気軽でデイリーなシガーです。シガーは長ければ長いほど吸う時間も伸び、長いものでは1時間ぐらいです。じっくり時間をかけてお酒と一緒に楽しむ嗜好品なんです」と大山さん。
煙草の感覚で考えると驚くほど長い。モンテクリスト社は、シガーの三大メーカーのひとつで、葉はもちろんキューバ産だ。社名はアレクサンドル・デュマの小説『モンテクリスト伯』から。お酒やシガーは元々、貴族の嗜みだったそうで、名前も名城や貴族の名を冠したものが多い。シガーをくゆらせ、雑事を忘れて贅沢な気分に浸りたい。
上質なウイスキーと薬草酒のカクテルと
ウイスキーはウィルソン&モーガン社のシェリーカスクがおすすめ。華やかで優しいマイルドな味のウイスキーで、初心者でも上級者でも幅広い層に好まれる一本とのこと。「ウイスキーは樽出しのアルコール60%から、加水して40%程度に抑えたものまで幅広い度数があるお酒です。その中でも、このウイスキーは豊かな風味を残しつつ、加水して43%に抑えた飲みやすいお酒です」と大山さん。
カクテルは、ライチやマンゴーなど、アジアンなフルーツを使ったオリジナル1000円がメニューに並ぶ。ほかにも、シャルトリューズというリキュールを数滴垂らしたスペシャルジントニック1000円もおすすめ。シャルトリューズとはフランスの修道院で作られている、数十種類のハーブをブレンドした薬草酒で、ジントニックに1・2滴垂らしただけで鮮烈でスパイシーな香りが広がる。多くのバーが扱っているポピュラーなリキュールだが、RRではジントニックに加えて、独特な苦味のあるカクテルに仕上げている。
マスターは20歳からバーテンダーの道へ
マスターの大山さんは赤羽出身。バーテンダーの世界へ足を踏み入れたのは20歳の時だそう。主に都心のバーで経験を重ねてきた。そんなバーの世界に魅せられてからもう20年以上、この世界に身を置いてきたという。今では近隣のバーの内装などのプロデュースも手がけている。ここに店を構えた理由は、赤羽が地元だからというよりも、やはりバーが好きだったから。
「ここに来たら忙しい日常を忘れて、ひと時の非日常を味わってほしいですね。1日の疲れを上質なお酒と葉巻で癒やしていただきたいと思います」。
取材・文・撮影=新井鏡子