住宅街に何やら人だかり……

温かみを感じるウッディな店構え。
温かみを感じるウッディな店構え。

2012年にオープンしたという『コトリパン』。店長・辻由香里(つじゆかり)さんと、パートナーの大川泰功(おおかわやすのり)さんが中心となってパンを製造している。

二人は、門前仲町でハード系を得意とするパン屋で働いていた元同僚。店の閉店が決まった時、この店での仕事を通じて「地域のお年寄りや子供に親しまれるようなパンを作りたい」と一念発起し、オープンすることになった。

店をもつにあたっては、やはり同じような地域で開きたいとリサーチしていたとのこと。今の場所に決めたのは、以前勤めていたパン屋に来ていたお客さんの情報もあり、近隣の会社員の社食のように利用してもらえたら、と思ったからだという。今では口コミで評判が広がり人気店となった。

辻さん(左)と大川さん(右)。
辻さん(左)と大川さん(右)。

種類の豊富さに驚き!

売り切れ次第閉店のため、売れ行きをSNSでライブ中継している。
売り切れ次第閉店のため、売れ行きをSNSでライブ中継している。

小さな店内は、2~3人のお客さんが入ればいっぱいになるほど。壁一面に作り付けられた棚には、総菜パンから菓子パン、ハード系まで100種類はあるというパンがぎっしりと並べられ、見ているだけでウキウキとうれしい気持ちになる。

大川さんは、「あんパンやカレーパンなどの庶民に馴染みのあるパンを、手頃な価格で皆さんに楽しんでいただきたいと思っています」と話す。種類の充実度は、選ぶ楽しさも感じてほしいという店主の思いの表れだ。

店員もイチオシの4種類

左から、セーグル/アレザン 大380円、サーモンとクリームチーズ パン・ド・ミトースト180円、抹茶入りお茶あんぱん120円、エビとアボカドのサンド200円。
左から、セーグル/アレザン 大380円、サーモンとクリームチーズ パン・ド・ミトースト180円、抹茶入りお茶あんぱん120円、エビとアボカドのサンド200円。

今回は、数ある商品の中から4種類を紹介しよう。ハード系のセーグル/アレザンは、生地を埋め尽くすレーズンとクルミ、クランベリーがたっぷり入り、何もつけずにそのまま味わいたい。甘みや酸味があり、クルミのコリコリという食感がたまらない。

サーモンとクリームチーズ パン・ド・ミトーストは、店でも販売しているパンドミを使っており、サーモンとクリームチーズの組み合わせは上品な味わい。

抹茶入りお茶あんぱんは、この店のウリでもある変わり種あんパンの一つ。抹茶の苦みと餡の甘さが絶妙なバランスで、お餅が入って、食べごたえもある。あんパンは、ラムネ味や梅、レモン味なども並ぶことがあるので、食べ比べてみたい。

エビとアボカドのサンドは、クリーミーなアボカド、サクッと揚がった小エビを挟んだもので、女性ならこれ一つで昼食も足りるかも…。

甘い系担当は辻さん。ちょうどあんぱんを作っているとき。
甘い系担当は辻さん。ちょうどあんぱんを作っているとき。

地域に根ざした街のパン屋

ラスク各250円も6種類ほど販売。店名の小鳥があしらわれたパッケージもかわいい。
ラスク各250円も6種類ほど販売。店名の小鳥があしらわれたパッケージもかわいい。

最近は、焼き菓子類にも力をいれているとのことで、レジ脇にはケーキやラスク、シュークリームなどが並ぶ。

大川さんは、「清澄白河はパン屋が多く、他店に負けないよう切磋琢磨の日々です。当店の味を知っていただくためにも、パンはもちろんですが、それ以外でも勝負したいと思って焼き菓子を始めました。元パティシエの方も入って、作っていただいています」と話す。

新しい食材の組み合わせやスタッフのアイデアなども取り入れながら、新しいパンを考え、追究し続ける『コトリパン』。店主の思いが詰まったパンは、たちまち地域の人をファンにさせてしまう、そんな魅力も練り込まれている。

住所:東京都江東区福住2-7-21/営業時間:8:00~売り切れ次第閉店/定休日:月/アクセス:地下鉄大江戸線・半蔵門線清澄白河駅から徒歩10分

取材・文・撮影=千葉香苗