鮮度が違う!丸鶏の自家解体がこだわり
「朝じめして24時間以内に届く、新鮮な丸鶏を店内で解体しているのがこだわりです」と店長の中本さん。新鮮な鳥取県産の丸鶏を仕入れ、店内で捌くのだから鮮度は抜群、なにより部位ごとに仕入れるより安い。
また、通常のもも肉よりもカットを大きくするなど、変化に富んだ捌き方ができるのが大きなメリットだという。
「焼き鳥」ではない。「鶏焼」だ!
鶏焼やレバー焼をオーダーすると、ちょっと時間がかかるとのこと。なんでだろう?と不思議に思いながら焼くのを見ていると、炭火と網が15cm以上離れていて、これもまた不思議。
「遠火の強火でじっくり塊の鶏肉を焼く。牛肉と同じ考え方です」と中本さん。
時間はかかるが遠火で中までしっとりと火を通し、強火が表面を香ばしくパリパリにする。独自の火加減が鶏肉の旨味をさらに引き出す。
そして塊のまま焼くことで、肉汁をぎゅっと閉じ込め、噛みごたえも楽しめる。なるほど、たしかにこれは「焼き鳥」ではなく「鶏焼」だ!
「お一人様一本限り」と「一組一皿限り」は、最初にオーダーすべき人気メニュー
「お一人様一本限り」のもも正肉串焼は『とり吉』自慢の名物メニューだ。1羽から少量しか取れないという極上のもも肉が、大きめなカットで串に刺さっている。
焼きたてをひと口。表面はパリッとしていて、中からはジューシーな肉汁が溢れ出た。厚みと大きさがたっぷり、そして「肉を食べている」という実感がすごい。プリプリとした食感は鮮度の良さの証拠だ。
そのままの塩味でも十分おいしいが、紅芯大根のおろしのポン酢がけをつけると、肉汁とポン酢のさっぱりがミックスされ、また違った味わいが楽しめた。
「一組一皿限り」は極上純レバー焼。白い皿に盛りつけ、ソースでデコレーションしているのため、まるでフランス料理かと思うような仕上がりだ。これで580円!とは本当に驚き。終了してしまうことも多いので、最初にオーダーしよう。
豚の網脂で包んだレバーの塊を作り、それを炭火で10分程度じっくりと焼く。あとは少し休ませて、余熱で火を通すため、ぱさつかず、中まできちんと火が通る。
味の濃厚さは言うまでもない。しっとりと、そしてねっとりと舌の上でなめらかにとろけていく。赤ワインとたまり醤油をベースにしたソースにより、さらにコクが増すようだ。周りに散らした黒七味山椒のアクセントもとてもいいし、わさびを乗せても楽しみたい。
荻窪で楽しむ、京風の味付け
京都の町家を思わせる外観。そして、レバー焼のソースで使っているたまり醤油や九条ねぎのメニューなど、そこかしこに京都の香りがある。それというのも、オーナーが京都出身で、かねてより東京で店を出すなら荻窪で、と思っていたという。
荻窪は都会とローカルのバランス感や人との距離がちょうどいい。街に品がある。というのが理由だとか。なぜか京都の人にほめられると、ちょっと誇らしくなる。
京都人のさりげない洒落っ気が感じられ、とても上品なのにリーズナブル。さまざまなシーンで利用したい。
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ、(※)は支給画像