就労支援と施設活性化を担う、市役所隣のカフェ
柏駅東口から市役所通りを歩くこと12分。柏市役所に隣接する『ラコルタ柏』の一角に『Sandwich Café PAISIBLE 柏店』はある。
館内は公民館の機能もあり、さまざまなサークル活動のための部屋やキッズスペースなど、誰もが自由に使える場所が広がる。飲食可能なスペースでは、将棋を楽しむ人たちの姿も見られた。
店は3階のフリースペースに隣接しており、市役所との連絡通路を行き来する人も多い。昼時には、持参のお弁当を広げる人や、サークル仲間とコーヒーやパンを囲みながら盛り上がっている姿も見られ、この一角ならではのにぎわいがあった。
一見、おしゃれなカフェだが、この店の大きな特徴は、精神障害や知的障害のあるスタッフが働きながら、仕事のきっかけや職業訓練の場としても機能していることだ。
「彼らが働く楽しさを知ってくれたらうれしいです。実際に、ここで働いていた方が、一般企業に就職したりもしているんですよ」と、うれしそうに話す。
公民館のサークル活動や講習のついでに立ち寄る人が多いが、「このカフェが『ラコルタ柏』に人を呼び込み、障害理解につながる存在になることが目標のひとつです」と、今後の展望を語ってくれた。
姉妹店ベーカリーのパンを使った、ホットサンド中心の店づくり
このカフェを運営する社会福祉法人ワーナーホームでは、ベーカリーの『PAISIBLE 柏店』、スープやグラタンも味わえる『Boulangerie Café PAISIBLE』、そしてここ『Sandwich Café PAISIBLE柏店』と『Sandwich Café PAISIBLE高田店』の4店舗を展開している。
この店では『PAISIBLE 柏店』のパンを使い、特にサンドイッチに力を入れている。
店頭には毎日、ホットサンドのほかに生のサンドイッチや菓子パンが6〜7種類並び、ホットサンドは常時約5種類がそろう。レジ横のカウンターに並ぶ焼き菓子も充実しているから、おやつタイムの利用も便利だ。
商品がもっとも充実するのは午前中から昼過ぎの時間帯で、毎日利用する客も多いため、メニューは3カ月ごとを目安に見直し、飽きがこないよう工夫しているという。価格も、物価高のなかでできるだけ買いやすく設定しているのだとか。
フレンチ出身の店長が、季節感と食材の組み合わせでメニューを組み立てる
この店舗のメニューは、フレンチのシェフだった店長が担う。
食パンやフィセル、抹茶食パンなどサンドイッチの具材ごとにパンの種類を使い分け、旬の食材をメニューに組み込む。「季節感も楽しんでほしい」と話す。
生のサンドイッチもあるが、このカフェの定番はホットサンド。店内で仕込み、注文が入ってから焼くから、出来たてならではの魅力がある。
厨房に入らせていただくと、壁には色鉛筆で描かれた店長直筆のレシピが貼ってあり、誰にでも作り方がわかるよう工夫されている。
この日は、鴨とネギの柚子胡椒風味350円、キャロットラペ350円と2つのホットサンドとホットコーヒーMサイズ350円をオーダー。
筆者はホットサンドメーカーでこんがり焼けたところを見届け、席に戻って待った。
まずは鴨とネギの柚子胡椒風味からひと口。スモークされたカモ肉とネギの香りやシャキシャキ食感がいい。照り焼きソースにマヨネーズと柚子胡椒を合わせるあたりに、フレンチ出身の店長らしい味の工夫がのぞく。
カモのホットサンドはさっくりとしてほんのり甘い食パンだったが、キャロットラペはモチっとしたフィセルを使用。具材のキャロットラペにはデュカスパイスやナッツ、コリアンダーなどを使い、香りに奥行きを出している。一緒にはさんだしっとりした自家製の鶏ハムが甘酸っぱいキャロットラペに合う。
コクがあり味わい深いコーヒーは、東ティモール産のフェアトレードのオーガニックコーヒー豆を使用している。
「紙コップのスタンプは、ひとつずつスタッフが押しているんですよ」と、カップを見せてくれた。愛らしい絵柄に思わずほっこり。
パンやコーヒー、お店づくりの話を聞くほどに、ここには働く人たちの手のぬくもりが伝わってきた。ここのホットサンドがおいしい理由は、素材や組み合わせだけでなく、そんな日々の工夫の積み重ねにあるのだろう。
取材・文・撮影=パンチ広沢






