どこからツッコめばいいのやら!
グリーンストライプのテントに緑の提灯。看板を見上げれば、店名はかすれて消えかけなのに、インスタへの誘導文言はくっきり。入り口付近には青々と茂る草花……と思いきや、「そこらへんの草」の商品札。もうね、入る前から濃い口すぎるのよ。
「両親が創業した頃は、普通のスーパーだったんですよ。総菜も売っていなかった」とは、総菜部部長兼広報担当の河内みどりさん。8人姉弟の長女で、次女の良子さん、長男の朗さんとともに店を引き継いだ。14年前、界隈にスーパーが建ったことで危機感を抱き、総菜売り場を設置。映画『翔んで埼玉』の有名なセリフをオマージュした「そこらへんの草天丼」がSNSを中心に話題を呼んだ。
「高齢のお客さまが多かったから受け入れられるか不安だったんですけど、面白がってくれる人が多くて」
これでタガが外れたみどりさん。商品開発も店づくりも「面白さ」に全振り。「そこらへん」と「草」が至る所に散りばめられた、今の形になったわけ。
では、魔窟のごとき店内を見て回ろう。総菜売り場に立ち寄ると、「ぷりぷりケツぷりんパン」や「地下神殿クリームパン」など、個性強すぎる品々がズラリ。串に刺さった団子がのった「みたらしクリームパン」なんて、どうやって食べたらいいんだ。
「食べやすさより面白さ優先っす」
客への配慮がねえ! でも口に含めばみたらしの甘じょっぱさとクリームのコクが相性バッチリ。ちゃんと開発してるじゃん……。
鮮魚売り場もスゴイ。この道40年。目利きのアキラと称される社長・朗さんが毎朝仕入れる魚介が所狭しと並ぶ。一尾がでかい。そして安い。
「海なし県だから、魚食べてもらいたくて。原価ギリギリで出してます」
もう他の店で魚買えないよ……。
店内を埋め尽くす子供たちの習字やイラスト。なぜか柱に貼られた駅看板。もはや見どころが多すぎて語り尽くせない。情報過多の店内に大草原不可避!
【1】商品のクセ半端なくて草!
そこらへんの草天丼310円をはじめ、プリプリけつぷりんパン345円、草燃えて赤い彗ハンバーグ315円など、ビジュアルもネーミングもぶっ飛んだ商品に圧巻のひと言!
【2】店内が派手すぎて草!
書道の品書きや手書きPOP、草を模した装飾などがそこかしこに。全部見てたら時間が溶ける。もはや美術作品と言っていいんじゃないかな。
【3】スタッフが個性豊かで草!
左から目利き(社長兼鮮魚担当)の朗さん、草長(総菜・広報担当)のみどりさん、大蔵大臣(経理担当)の良子さん。スーパーを引き継いだ三姉弟だ。ノリが良くてフレンドリー。
【4】大人には思いつかなくて草!
店内に貼られる書道や草モンスターの絵、自由研究などは、ほとんどが近隣の小学生が書いたもの。ハッとさせられる、秀逸な作品もあったりする。みどりさんいわく「草育」なんだって。
【5】海なし県に海持ってきて草!
でっかい切り身や蒸したてのサザエ。殻を剥いたカニなどが破壊級の価格で並び、あっという間に売り切れる。常連はこれを求めているんだ! 某宇宙戦艦パロの船盛りPOPもいい味出している。
【6】学校も巻き込んで草!
天井を見上げれば、子供たちの自由研究を発見。近隣小学校対抗で「どの研究が一番か」と、コンテストを開いているそう。先生たちの方がアツくなってるんだって。大人もアツくなっちゃうよなあ。
【7】書道の圧強すぎて草!
スーパーや草、埼玉へのあふれる愛がしたためられている。特にテレビでスーパーについて語った俳優の高橋文哉さんへのリスペクトを込めた「高橋文哉しか勝たん」が発する圧ときたら……。
【8】さりげに素材良すぎて草!
仕入れた魚のアラを使った味噌汁・本日の謎汁。どんな魚が入っているかは日替わりだ。日によってはなかなかの高級魚のアラが入ることもあり、日々試飲する子供たちの舌が、どんどん肥えていってるんだそうな。
【9】ガチもんの駅看板で草!
柱には東武アーバンパークライン各駅の看板が。どうやら常連からもらったらしい。「ガチの駅職員さんに『なんであるの?』と聞かれたこともある」と、みどりさん。そりゃ驚きますわ。
だが、商品はどれも良くて、財布に優しい価格設定。なにより買い物してる皆さんが楽しそう。おふざけに見え隠れする真心に、脳がバグる。これが、みどりスーパーからしか得られない栄養か。やみつきだ。きっとまた、足を運んでしまうのだろうな……。
『みどりスーパー』詳細
/営業時間:10:00~19:00
/定休日:日/アクセス:東武鉄道東武アーバンパークライン南桜井駅から徒歩10分
取材・文=どてらい堂 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2026年3月号より






