台湾の人気豆乳チェーン店『二吉軒』が監修した豆乳・豆花専門店

吉祥寺駅北口から繁華街を抜け、『東急百貨店 吉祥寺店』の横を通って大正通りに入った。小さなカフェや雑貨店をはじめ、絵本やおもちゃ、オーガニック食品が揃う『クレヨンハウス』や、デンマーク生まれのポップな雑貨店『フライングタイガー コペンハーゲン』など大型店もあり、散歩していても楽しい。

キョロキョロしながら歩いていると、自家製豆乳が味わえる人気のカフェ『二吉軒監修 豆漿日和』の前にたどり着いた。ガラス窓から大きな機械が見え、ここで豆乳を作っているのかと思うとゴクリと喉が鳴る。

コンクリート打ちっぱなしのおしゃれな店内。入り口右側はテイクアウト用だ。
コンクリート打ちっぱなしのおしゃれな店内。入り口右側はテイクアウト用だ。

『二吉軒監修 豆漿日和』は、都内でタピオカ店を経営しているオーナーの嘉納俊輔さんが、2023年12月にオープンした豆乳や豆花の専門店だ。店内にはカフェが併設されており、豆乳はもちろん、それを使った軽食やデザート類を提供している。

台湾の人気豆乳チェーン店『二吉軒』が監修した豆乳と豆花がいただける。
台湾の人気豆乳チェーン店『二吉軒』が監修した豆乳と豆花がいただける。

「仕入れなどで海外に行くとアジア圏には豆乳専門店がたくさんあるので、いろんな店の豆乳を飲んでいました。新しい事業を始めたいと思った時に、日本でも豆乳はなじみがあるのに専門店が少なく、時代的にも健康志向が高まっていたのでニーズがあるのではないかと思ったんです。いろんな店があるなかで台湾の『二吉軒』の豆乳がいちばんおいしいと思い、この味を日本のみなさんに届けたいと思いました」と嘉納さんは話す。

入り口からすぐのところにカウンターがあり、タイミングがよければ豆乳の製造風景も見られる。
入り口からすぐのところにカウンターがあり、タイミングがよければ豆乳の製造風景も見られる。

『二吉軒』の味を再現すべく同じ豆乳製造機器を仕入れて試作を重ねたものの同じ味にはならず、オーナー鄭自成(チェン・ズ・チェン)さんらを開店前の店に招き、1カ月以上かけてレシピを作ったのだという。

奥にはゆったりとくつろげるテーブル席がある。
奥にはゆったりとくつろげるテーブル席がある。

「台湾と日本では使用する水や大豆が違うので、味を再現するのにすごく苦労しました。おかげで、『二吉軒』らしい大豆の味が濃くて飲み口はサラッとしたおいしい豆乳ができました」

おお、それでは奥のカフェスペースでさっそくいただいてみたいですね。

台湾の定番朝食が思う存分味わえる鹹豆漿セット

メニューを見ると自慢の豆乳を使った鹹豆漿(シェントウジャン)と蛋餅(ダンピン)、ミニ豆花のセット1200円を見つけたのですぐさまオーダーした。

鹹豆漿や蛋餅は台湾の朝食の定番メニューで、忙しい朝にサクッと屋台で食べて仕事に出かけるのが台湾人の日常だ。スタッフさんが手早く盛り付けをする姿を見ていると、なんだか台湾に来たみたいな気分になってくるなぁ。

豆花のトッピングには甘く煮たピーナッツと仙草ゼリー。単品だと好きな6トッピングが選べる。
豆花のトッピングには甘く煮たピーナッツと仙草ゼリー。単品だと好きな6トッピングが選べる。

店内の奥にある厨房からホワワ〜ンとごま油の香ばしい香りがしてきた。その正体は蛋餅(ダンピン)で、オーダーが入ってから焼きたてを提供してくれるそう。

左から温かい豆乳スープの鹹豆漿(シェントウジャン)、ひんやりスイーツの豆花(トウファ)、卵入りのクレープ、蛋餅(ダンピン)。
左から温かい豆乳スープの鹹豆漿(シェントウジャン)、ひんやりスイーツの豆花(トウファ)、卵入りのクレープ、蛋餅(ダンピン)。

まずは鹹豆漿からいただいてみよう。豆乳に酢を加えることでゆるーく固まり、まるでおぼろ豆腐のようなフルッフルの食感。大豆の甘みや香りがぎゅっと濃縮されていてこのままでもおいしいが、ごま油やラー油、刻んだザーサイや干しエビなども加わり風味豊かだ。トッピングに配されたカリッ&フワッ食感の揚げパン・油條(ヨウティアオ)は、豆乳に浸して食べると食感が楽しい。

大豆本来の旨味が濃縮されている。シンプルながらいつまででも食べていたくなるほんのりした甘みがある。
大豆本来の旨味が濃縮されている。シンプルながらいつまででも食べていたくなるほんのりした甘みがある。

蛋餅は小麦粉などの生地と卵を薄く伸ばして焼いたクレープ風の料理。ごま油で焼いているから表面はカリカリで、中はもっちり。甘じょっぱい台湾醤油がかかっていて鹹豆漿との相性もピッタリだ。

焼きたてだから表面はカリッと香ばしい!
焼きたてだから表面はカリッと香ばしい!

鹹豆漿と蛋餅でおなかが温まったところでお次はひんやりスイーツの豆花へ手をのばした。

器にはなみなみと黒糖シロップが注がれており、“ミニサイズ”でありながら、豆花(絹豆腐に似た食感のデザート)がたっぷり。すっきりとした甘さのシロップと豆花が相まって、大豆本来の香りや甘みがダイレクトに伝わる。

煮豆のように甘く味つけられたピーナッツはホロホロ、もちっとした仙草ゼリーはクセがなく食感が楽しい。
煮豆のように甘く味つけられたピーナッツはホロホロ、もちっとした仙草ゼリーはクセがなく食感が楽しい。

筆者の感覚では豆腐を1人で一丁(およそ400g程度)食べるのはなかなか大変なのだが、今日は同量をペロリと完食してしまった気がする。台湾に行ったら本場の『二吉軒』でもいただいてみたくなった。

さまざまなフレーバーが楽しめる濃厚だけど飲みやすい豆乳を提供

鹹豆漿、蛋餅、ミニ豆花のセットをペロリと平らげられたのはやはり豆乳そのものがおいしいからだろう。

「豆乳を日常的に飲んでいる人に聞いてみると、おいしいからというより牛乳の代わりに置き換えているとか、健康のために飲むという回答が返ってくるんです。ある人はジュースみたいなイチゴ味がいちばんおいしい豆乳だと。うーん、これは『二吉軒』の大豆の含有量が高い豆乳のおいしさをみなさんに知っていただかなければ、と思いましたね」

豆乳は全部で14種(季節により変動あり)。フルーツ、ナッツ、野菜などを使ったさまざまなフレーバーがそろう。
豆乳は全部で14種(季節により変動あり)。フルーツ、ナッツ、野菜などを使ったさまざまなフレーバーがそろう。

ちなみに『豆漿日和』の豆乳は大豆固形分は約15%。筆者がスーパーでよく見る大手メーカーの豆乳は3〜9%のため、いかに濃厚かわかる。

大豆の味わいをダイレクトに感じられる無糖豆乳をはじめ14種が揃う。ボトルもおしゃれ! Mサイズ620円〜、Lサイズ880円〜。
大豆の味わいをダイレクトに感じられる無糖豆乳をはじめ14種が揃う。ボトルもおしゃれ! Mサイズ620円〜、Lサイズ880円〜。

「うちの豆乳は、大豆の旨味は濃いままにサラッと飲めるよう加工をしています。そのために専門の豆乳製造機が必要なんですよ」

レジ前で豆乳の試飲も行っている。
レジ前で豆乳の試飲も行っている。

原料の大豆は脂質、タンパク質などの量を見て、これだったらお豆腐に、または豆乳に最適だと思うものを選んでいるのだとか。またフレーバーをつけた豆乳には、香料やシロップではなくて、フレッシュな野菜や果物を使っている。たとえばきゅうり豆乳はボトル1本につききゅうり1本分が入っていたり、かぼちゃも店内で蒸したものを使うなど丁寧に作られているのだ。

店内では飲む用、お豆腐用など用途に合わせて4、5種類ほどの豆乳を作っていて1日の総生産量はおよそ200Ⅼ。
店内では飲む用、お豆腐用など用途に合わせて4、5種類ほどの豆乳を作っていて1日の総生産量はおよそ200Ⅼ。

おいしくてカラダに良いなら毎日飲み続けられそう! テイクアウトもできるから帰りに豆乳やソフトクリームを買っていこうかな。

住所:東京都武蔵野市本町2-15-4/営業時間:8:00〜20:00/定休日:無/アクセス:JR中央線・京王電鉄井の頭線吉祥寺駅から徒歩7分

取材・文・撮影=パンチ広沢