第1問

正解は……神保町

これはもはや第1問というよりは例題かもしれない。ご存じ、神保町は『書泉グランデ』裏の路地。名店の『ラドリオ』『兵六』があり、月刊『散歩の達人』の神保町特集では過去2回表紙を飾った。

そして“達人”の方はすぐに気づいたかもしれないが、写真は2020年頃に撮影したものでちょっぴり古い。手前に写っている『ミロンガ』は路地を抜けた先に移転し、この場所は別の店になっている。

これ以降はすべて2024年の秋に撮影されたものなのでお見知り置きを。

第2問

ヒント

有名な「お⚫︎⚫︎横丁」の1本北。

正解は……鳥越

鳥越神社の西側にある鳥越本通り商盛会、通称「おかず横丁」。写真は、その1本北側の通りだ。このあたりの地図模様は、大名屋敷があった頃の名残や関東大震災後の区画整理がもとになった碁盤の目状。長屋や看板建築もちらほらと残っていて、かつては町工場が多かったエリアでもある。写り込んでいる判断材料も少なく、難易度が高かったかもしれない。

こちらはおかず横丁。鳥越神社のお祭りの際は、有名な千貫神輿が通る。
こちらはおかず横丁。鳥越神社のお祭りの際は、有名な千貫神輿が通る。

第3問

ヒント

近くにある場所と併せてこの街の二大小路と呼ばれることも。

正解は……大井町

大井町駅の北東側にある東小路飲食店街。大型商業施設がいくつも立ち並ぶ駅南側とは一転、その道はすれ違うのも気を遣うほどの狭さだ。戦後の闇市がそのまま取り残されたような風情で、より東にある平和小路とともに新旧の飲食店が連なっている。

写真はまだこの路地裏が本気を出す前の時間帯に撮ったものだが、陽が暮れると看板が煌々(こうこう)と光りはじめて仕事帰りの飲んべえを手招きする。

線路寄りの入り口。
線路寄りの入り口。

第4問

ヒント

撮影場所は橋の上。

正解は……西新宿

地下鉄西新宿五丁目駅から北に向かって、暗渠化した神田川支流が細い道となって続いている。写真は、その川跡と細い道が交差する地点で柳橋という橋の跡に立って撮っているもの。奥に見える都庁が最大のヒントであることは言わずもがな、暗渠好きならその手前の景色も含めて見覚えのある人が多かったかもしれない。少し歩けば新宿の超高層ビル群に突入するこの界隈では、こうした穏やかな路地の向こうに高層ビルが見える場所も多い。

西新宿五丁目駅の南側にはこんな路地も。
西新宿五丁目駅の南側にはこんな路地も。

第5問

ヒント

路地の入り口には銭湯がある。

正解は……神楽坂

神楽坂の路地といえば石畳が美しい兵庫横丁やかくれんぼ横丁が有名だが、こちらも負けず劣らず! 神楽坂通りの南側にある見番横丁と小栗横丁をつなぐこの道は、途中にクランクもあって一見しただけでは通り抜けられるのかどうか不安になる入り組みよう。映画やドラマのロケ地にもなっていて、「熱海湯階段」やら「芸者小路」やら、いくつか呼び名があるようだ。小栗横丁側の入り口脇には宮造りの銭湯『熱海湯』がある。

歩けば歩くほど、気になる路地が現れる。
歩けば歩くほど、気になる路地が現れる。

第6問

ヒント

そばに神社がある。

正解は……新橋

ニュー新橋ビルの裏手でSL広場からもすぐの烏森宮脇通り。写真は、烏森神社の鳥居前から西側を見た風景だ。付近はどこも酒場の看板がにぎやかな路地だが、なかでもここは割烹や小料理屋が連なるザ・新橋といった雰囲気。

烏森神社の参道も細い小径(こみち)のような趣で、繁華街のど真ん中に神社があり、ほろ酔いで歩いていたら突如鳥居が現れて身が引き締まる立地なのもなんだかおもしろい。

少し引いてみるとこんな景色。右手が烏森神社。
少し引いてみるとこんな景色。右手が烏森神社。

第7問

ヒント

近くには名曲喫茶がある。

正解は……渋谷

渋谷駅西口から道玄坂をのぼり、百軒店(ひゃっけんだな)に分け入ってすぐ左折したところの路地。完全なる裏道で、ヒントになる目印もないので推理が難しかったのではなかろうか。

この近辺の住所は道玄坂で、もう少し神泉駅側へ進むと円山町になるが、もともとは百軒店のあたり一帯も円山町だった。地形図で見てみるとこのあたりは台地の縁の岬のような場所で、ちょっとした小山にも見える。実際にこの路地を歩くと、写真左手はがくんと低くなっているのがわかる。

路地を抜けて振り返るとこんな景色。奥に「スクランブルスクエア」が見える。
路地を抜けて振り返るとこんな景色。奥に「スクランブルスクエア」が見える。

第8問

ヒント

狭くて急な坂を下りてきたところ。

正解は……根津

谷中・根津・千駄木、いわゆる谷根千エリアも趣ある路地裏の宝庫。なかでも根津は下町風情のある景色が多く、家や店が軒先で植物を育てる「路上園芸」がモリモリと繁る道ばかりだ。写真は三浦坂を下ったあたりの道。道の先には『ねづくりや』、付近には動物をかたどったコッペパンの店『Bonjour mojo2』や家族経営の老舗旅館『澤の屋』などお散歩スポット目白押し。全ての道をくまなく歩きいて、お気に入りの路地を探したくなるようなエリアだ。

こちらは三浦坂。道の先が見えないほどの急坂!
こちらは三浦坂。道の先が見えないほどの急坂!

第9問

ヒント

名物ストリートから見た景色。

正解は……月島

明治25年(1892)に「月島一号地」として造成された月島は、かつて石川島造船所(現IHI)に関連する鉄工所や町工場が数多くあり、その名残で今も格子状の町割と長屋や細い路地が残っている。タワマンがそびえ立つ印象も強いかもしれないが、漁師の島だった佃とあわせて下町の香りが残る地域だ。写真は「月島もんじゃストリート」そばの路地で、観光地然としたにぎやかな通りから入り込むと、その風情にますますシビれる。

「月島もんじゃストリート」から見た景色でした。
「月島もんじゃストリート」から見た景色でした。

第10問

ヒント

かつての宿場町。

正解は……北千住

北千住駅の西口は、日光街道の千住宿としてにぎわった歴史の名残りを残す、活気ある商店街や横丁が連なるエリア。なかでも「飲み屋横丁」と呼ばれる通りの近辺はよき路地の宝庫で、名酒場と名高い飲食店がひしめき合う。写真は大正時代の蔵をリノベした『喫茶 蔵』につながる通りだ。

この一角で30年ほど前から商いを続ける店の店主いわく「当時はもっと薄暗くて怪しい通りで、こんなに若い人がたくさん歩いてなかった」。昼も夜も活気あるエリアだが、うねうねと絶妙に折れ曲がった通りの様子にはディープな雰囲気も色濃く残っている。

もう1本駅に近い通りはこんな感じ。
もう1本駅に近い通りはこんな感じ。
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全10問、完了。おつかれさまでした。

判断材料が極端に少ないイジワルな写真もあったが、改めて振り返ると路地裏にもそれぞれ個性があると感じたのは筆者だけだろうか。

勝手知ったる街でも、実はまだ通ったことがない道が案外あったりするもの。筆者は谷中に住んで2年目のときに、カメラマンが何気なく撮ってきてくれた路地の写真を見て「これどこ⁉」と大いに焦った経験がある。慌てて現地に赴いてみると、散々うろついていた場所なのにたまたま入ったことがない道だった。今ではすっかりお気に入りの場所だ。

今回のクイズが全然わからなかったよ!という方は、路地裏の誘惑に積極的に屈していくといいかもね。

文・撮影=中村こより

たとえば「原宿」、そう言われて最初に思い浮かべるのは? 竹下通りの人混みや、神宮橋の交差点、表参道のケヤキ並木が浮かんだ人も多いはず。街の名前から連想することは人それぞれだ。でも、最初に思い浮べる風景といえばやはり駅前、駅を出てすぐの街の風景ではなかろうか。つまり、駅前の景色は街の顔。ならば、顔だけを見てどこの駅なのかを当てられるよね? というわけで、腕試しのご提案。その名も「この写真、どこの駅前でしょう?」クイズ!「どこだそりゃ」「降りたことねーよ!」となるとつまらないので、出題するのはすべて東京都にあるJRの駅、なかでも乗降者数ランキングが上位の大きな駅ばかりだ。辺鄙な地域ではないぶん、ロータリーや商業ビルなどぱっと見の雰囲気が似ている駅も多い。とはいえ、必ず各駅の特徴があるから、それを見落とさずに全問正解を目指してくれたまえ。なお、各出題画像のすぐ下にヒント、さらにその後矢印の下に解答・解説を記載している。勢い余って答えが見えちゃうことのないよう、ゆっくりとスクロールしながら挑戦されたし。では、行ってらっしゃい!
東京は“水の都”だった、とはよくいわれる話。埋め立てや暗渠化によってその面影は減ってしまっているものの、水辺ならではの景色はそこかしこにある。そのひとつが「橋」。重要なインフラであることはもちろん、ランドマークでもあり、物語の舞台にもなりうる。そんな「橋から見た景色」の写真が一体どこなのかを当てるクイズでございます。同シリーズの「この写真、どこの駅前でしょう」クイズは、赤点ギリギリ!という挑戦者が多かった模様。今回は駅前に比べて特徴があることに加え、出題範囲は東京23区内のかなりメジャーな場所。難易度は低いが、駅前のように万人が歩く場所ではないという落とし穴もある。「知っているかどうか」ではなく、写り込んでいるすべての要素から考察する過程を楽しむべし。【ご注意!】各出題画像のすぐ下にヒント、さらにその後矢印の下に解答・解説を記載している。勢い余って答えが見えちゃうことのないよう、ゆっくりとスクロールしながら挑戦されたし。では、行ってらっしゃい!