地下のおしゃれな炭火焼き鳥店
立川駅の北口から約7分歩くと、白塗りの入り口と、花火のイラストと共に「炭火焼き花火」と書かれた看板が見える。外から店内の様子は見えないので、少しドキドキしながらも地下へと続く階段を下りよう。
階段を下りた先には、レンガ調の壁と黒で統一されたインテリアが配された、おしゃれな空間が待っていた。広々とした店内には人数やシーンに合わせて利用できるカウンター席とテーブル席、個室を完備。大衆系のイメージがある炭火焼き鳥店のイメージとは離れた、まるでイタリアンレストランのような雰囲気の内装は女性人気も高い。
最大で60人ほどまで利用が可能で、宴会やパーティーのためワンフロアを貸し切れるのも魅力だ。要望に合わせてレイアウトを柔軟に変えてくれるので、新年会や結婚式の二次会など利用用途は自由自在!
出入り口の近くには、スタッフたちが飾り付けたツリーがあるので注目してみよう。クリスマスシーズンだけではなく、季節によって装飾を変えて年中飾っているそう(取材時はハロウィンの飾り付けだった)。お客さんに喜んでもらいたいという気持ちのこもった装飾は、眺めているだけで心が温まってくる。
花火のように「また来ようね」という会話が生まれる店に
店主の武田直人さんは、立川の『煮込み専門店マルミヤ』で店長を務めるなど、居酒屋や焼き鳥の店を中心に腕を磨いてきた。もともと自分の店持ちたいという気持ちがあり、コロナ禍が落ち着いてきた2023年に、自身の強みを生かせる焼き鳥がメインの『炭火焼き 花火』をオープンした。
店名の由来を聞いてみると「花火を見ている時って、みんなで集中して同じものを見ていますよね。そして終わったら“きれいだったね。また来年も見たいね”という会話が生まれると思うんです。そんな感じで、このお店に来ている間は居心地よく楽しんでもらえて、帰るときに“いいお店だったからまた来ようね”と言ってもらえる店にしたいと思いました」。
自慢の炭火焼は、国産の食材を備長炭でじっくりと焼き上げることにこだわっている。焼き鳥は新鮮な「信玄どり」を仕込み、巧みな職人技で部位ごとに火入れを調整。鳥よりも肉々しさがある豚は塩加減を強くするなど、食材が最もおいしくなるよう味付けも抜かりない。ちなみに、武田さんのおすすめはレバー。フレッシュでクセのないレバーは、苦手な人からも好評だ。
盛り付けにもこだわった個性豊かな串
メニューは串焼きをメインに、30種類程の一品料理が揃う。定番メニューのほか、季節ごとにメニューが入れ替わるのも楽しい。
注文に迷ったら、まず頼んでおいて間違いないのが串焼きのおまかせ5種(種類は日によって変わる)。鳥も豚も味わえるバラエティに富んだ5種類は、みんなでシェアして食べるのにぴったり。串に添えられた風味豊かな生七味も良いアクセントをくれるだろう。
この店では、味付けと同じくらい大切に考えているのが盛り付けだ。武田さんは「お客さんが写真に撮ってSNSにアップしたくなる盛り付けを目指しています。イタリアンなど違うジャンルのお店に行って研究をすることもありますね。味だけではなく目でも楽しんでもらえるよう試行錯誤しています」と笑う。
マストで食べておきたい同店の名物メニューが、提灯花火 牛ちょうちん串だ。肉寿司のようなイメージで、牛肉の中にキンカンと酢飯が包まれたオリジナルの一品。自家製のタレを絡めてこんがりと焼き上げた牛肉は、歯切れがよく、口に入れた途端に牛肉の旨味がどっと押し寄せる。さらにプチプチと口の中で弾けるキンカンの食感と、まろやかな酢飯が合わさった、食感も味わいも楽しい一皿だ。
そして数量限定メニューだが絶大な人気を誇るのがちょうちん。キンカンとひもと呼ばれる部位を一緒に串に刺し、名前の通り“ちょうちん”のような見た目にした風変わりな見た目の串だ。キンカンをプチッと歯で割ると、卵の黄身よりもさらに濃厚な身があふれ出してくる。とろりとしたキンカン、コリコリとしたヒモの相反する食感がやみつきになる。なかなかお目にかかれない希少部位なので、早めに注文するのがおすすめだ。
そんな串と一緒に飲みたいのが、個性豊かな日本酒。常時約5種類を揃え、10日程のペースで種類が入れ替わる。日本酒好きのスタッフが、おしゃれで目を引くラベルの日本酒を厳選。たとえば、全員メガネの職人が造り上げたメガネ専用の日本酒(写真右)など、実にユニークなラインアップだ。日本酒のほかにも、ビールやサワー、ワインなどさまざまなお酒を楽しめる。
味よし、雰囲気よしの『炭火焼き 花火』は人に紹介すれば「センスがいいね!」と褒められるかも?
取材・文・撮影=稲垣恵美