ランチタイムの数量限定!体に優しい日替わりグラタン
『た喜ち』のランチは、パスタや魚料理、肉料理などのイタリアンはもちろん、ハンバーグやカレーなど洋食風のメニューも並ぶ。とりわけ人気なのは、ソースから手作りしているペンネグラタンだ。
アツアツのペンネグラタン980円の中身は日替わりで、この日いただいたのは生ハム、じゃがいも、玉子のペンネグラタン。ペンネ、ジャガイモ、ブロッコリーにベシャメルソースがたっぷりのせられており、さらにトマトソース、玉子がのせられ、焼き目が付いたチーズの上には生ハムと粉チーズがトッピングされている。
スプーンでひとすくいすると、モッツァレラチーズがよく伸び食欲をそそられるビジュアル。生ハムの塩味と優しいベシャメルソースの味が混ざり、トマトソースのおかげで酸味も加わるため食べる手が止まらない。なめらかなグラタンの中にほくほくのジャガイモが時々現れ、食感の違いも楽しい。
丁寧に作る飽きのこない味
グラタンの仕込みは前日から始める。ベシャメルソースは一から丁寧に作り、牛乳と小麦粉、バターなどを使用して、シンプルかつ伝統的なベシャメルの作り方を守ったものだ。ナツメグで香りづけも忘れない。材料は添加物や化学調味料を使っていないものを選ぶことで、ソフトな風味に仕上げている。ベシャメルの上にかかるフレッシュなトマトソースとブロッコリーにもよく合う、あっさりとして飽きのこない味だ。
ペンネはイタリア輸入のセモリナ粉を使用したもので、食べやすいように短く切られている。
ソースの中にはペンネやじゃがいもなどを敷き、その上には、そのときどきでおいしい旬のものや大島さんの好きな具材をのせる。塩麹と豚肉を使用した和風なものもあれば、ズッキーニとマヨネーズを使用したものなど、さまざまな組み合わせが登場するので毎日のメニューが楽しみだ。
グラタンというと見た目がシンプルなものも多いが、こちらのグラタンは、生ハムや玉子などのっていて豪華で印象的だ。隙間に見える野菜も彩りを添えている。トッピングにそれらをのせているのは、もちろん味がおいしいというのもあるが、見た目の色彩バランス良くしたいという思いも。「見た目がきれいで、香りも良く、食べたらおいしいものがパーフェクト」。第一印象で良く思ってもらえて、五感で味わえるものを提供したい、と大島さんは話す。
さらに全ての料理でプロトン水を使用していることも、こだわりのひとつだ。プロトン水とはアルカリ性の水で、生成機を導入し、デトックスウォーターや料理など、提供するもの全てに使用しているそうだ。
「食べれば健康になるものを提供したい」
オーナーの大島さんは、カフェやピザ屋、そば屋などさまざまなジャンルの料理店を経験したうえでイタリア料理の道一本でやっていくことを決めた。そのきっかけはアーリオオーリオというパスタ料理だ。
アーリオオーリオは、オリーブオイル、にんにく、唐辛子などを使用して作るスパゲッティ。イタリア料理の中でも最もシンプルだと言っても過言ではないものだ。しかし、納得できるものを作るのに何年もの時間がかかり、その分イタリアンに傾倒していった。
一筋縄ではいかず、究めたくて練習していくうちに、火加減、具材などたくさんの時間と工夫を重ねることになり、他のパスタも上達していったとのこと。「一番時間のかかった料理がイタリアン」だと大島さんは笑う。その分、イタリアンに対する情熱も深いのだろう。
健康意識の高い大島さんは、調理でなるべく添加物などを使わないようにしている。そんな大島さんが健康を意識した料理を作るきっかけとなったのが、かつて吉祥寺のイタリアンで働いていたときに出会った栄養士を目指す学生アルバイトたちの存在だ。
カボチャなどの野菜を使用したタルトやケーキなど、彼らが考案したデザートはどれも低カロリーで無添加。すると、お客さんからの反応がずば抜けてよかったそう。2010年ごろの健康ブームもあいまって、「食べるものは全部体になっていくものだから、食べれば健康になるものを提供したい」と考えるようになり、調べたり勉強したりと、試行錯誤しながら提供し始めた。「さまざまな飲食店を経験したことが、今のお店に生きています」と、大島さんは語る。
そして本郷三丁目という土地柄、東大生や教授など、東大関係者の来店が多い。店内には、彼らからのイタリアみやげの絵が飾られている。
また、お客さんの間では、食べた翌日の体調の良さが話題になっているそうだ。「ここに来ると調子がいいと気づいてほしいです。自然派ワインを飲んだ次の日になんとなく調子がいいと感じるように、ここの料理を食べるようになったら、なんか元気だなとか。積み重ねで微妙に気づいてもらえることを大切にしたいです」という大島さんの思いがお客さんに伝わっている。
体にやさしい食事を食べたくなったときは、トラットリア『た喜ち』にぜひ足を運んでみよう。
取材・文・撮影=千乃あいみ