開店当時から変わらない人気のパスタランチ

イタリアの国旗が目をひく店舗入り口。
イタリアの国旗が目をひく店舗入り口。

地下鉄丸ノ内線本郷三丁目駅から徒歩4分。イタリアの国旗と看板が目をひく建物が『ピアンタモッチ』だ。地下へ続く階段を降りると、懐かしい雰囲気に包まれた居心地のよい空間が広がっていた。

『ピアンタモッチ』のランチパスタメニューは全8種類。毎日食べても飽きないようにと、個性の違うメニューが用意されている。一番人気は、チリカルボナーラ1100円。トマトクリーム仕立てのピリ辛カルボナーラだ。

カルボナーラなのにピリ辛? しかもトマトクリーム? 味のイメージが浮かばないまま、最初の一口を口に運んだ。優しくまろやかな味わいだが、あとからピリっとした辛味がじんわりと広がる。これははじめての体験だ。

チリカルボナーラ1100円。パスタランチはプラス300円でスープバーとサラダバーがつく。
チリカルボナーラ1100円。パスタランチはプラス300円でスープバーとサラダバーがつく。

シンプルなイメージのペペロンチーノも、『ピアンタモッチ』は一味違う。魚介の出汁と白ワインの隠し味が効いている。ペペロンチーノと聞くと、にんにくの香りが気になってランチで食べるのを躊躇してしまう人も多いかもしれない。

だが、安心してほしい。『ピアンタモッチ』では、ハーブのエキスに漬け込んだハーブにんにくを使用している。ニオイが残りにくく、食後のニンニク臭が気にならない。

このペペロンチーノをベースに、具材に海の幸をプラスした漁師風ガーリックソース950円は、隠れファンの多い一品だ。奥深い風味と濃縮された魚介の旨味がダブルとなり、シンプルながらも深い味わいが楽しめる。

漁師風ガーリックソース。中太の麺が旨味たっぷりのソースによく絡む。
漁師風ガーリックソース。中太の麺が旨味たっぷりのソースによく絡む。

筆者のおすすめは渡り蟹のスパイシースープスパ1100円だ。渡り蟹の旨味がたっぷり溶け出したスープ、鮮やかな野菜、しっかりとスープが絡む太めの麺、見た目も味も絶品だ。

身の詰まった渡り蟹もしっかりと盛り付けられていて、「これで1100円?」と思わず声が出る。

コスパの良さに驚く渡り蟹のスパイシースープスパ。
コスパの良さに驚く渡り蟹のスパイシースープスパ。

パスタランチは、すべてのメニューにドリンクバーとパンがついている。同じく本郷三丁目にある人気の系列店舗『本郷ベーカリー』の焼きたてパンだ。このパンを、渡り蟹の旨味の詰まったスープにひたして食べればなんとも贅沢な気分になる。

パスタの他にも日替わりメニューや数量限定メニューがあるので、まさに「毎日来ても飽きない」ランチである。

地元で愛され長く続くお店に

代表取締役の天野恵太(あまのけいた)さんは、1999年、『ピアンタモッチ』の近所にある本店『ピアンタ本郷』をオープンした。もとはフランス料理のシェフだった天野さんが、フレンチではなくイタリアンを選んだのには理由がある。

「アットホームなお店をつくりたかったんです。1週間に1回とか、なんならもう毎日でも食べに来ていただけるようなお店をつくりたいと思いました」

当時のフランス料理は特別な時に食べに行くところというイメージだった。そこで注目したのが、その頃人気が出はじめていたイタリアンである。

昔は料理人がお客さんを見ないのが当たり前だったが、それではダメだと当時ではめずらしいオープンキッチンにした。ホールのスタッフだけでなく、キッチンスタッフも料理を運びお客さんと対話する。地域密着型の長く続くお店にしたいと、お客さん目線の店舗を目指した。

店長の藤野宏美(ふじのひろみ)さんも、オープン当初から働くメンバーだ。
店長の藤野宏美(ふじのひろみ)さんも、オープン当初から働くメンバーだ。

アットホームなのは働く人たちも同じだ。現在、働いている社員のほとんどが、オープン当時にバイトやパートで働いていたメンバーだという。

当時から働いている社員のお子さんが大人になり、職場体験で店舗に来たこともあるそうだ。赤ちゃんの頃にベビーカーに乗って来店したお客さんが、成長してアルバイトとして働いたこともあるという。まさに地域密着、『ピアンタモッチ』は働く人もお客さんも、ずっと居続けたくなる心地よい良い空間のようだ。

ちいさなこだわりが随所に

店舗ではオリジナル商品も販売している。
店舗ではオリジナル商品も販売している。

『ピアンタモッチ』には、ちいさなこだわりが随所にあふれている。

チリカルボナーラをさらに辛くする、オリジナルの「うま辛調味料」がある。まるでいちごシロップのような美しい色が印象的だ。唐辛子だけではこの色は出せないと試行錯誤し、パプリカパウダーを使うことで透明度の高い美しい赤を実現したのだという。

サラダバーのコーナーに置かれている自家製のドレッシングは、たっぷりの野菜とハーブにんにくが使われている。どちらも店舗で購入が可能だ。

どこか懐かしい雰囲気の店内は、オープン時に天野さん自らがスポンジでエイジング加工を施したのだそうだ。地元で愛され続けるこの店には、店内にもメニューにもさりげないこだわりが詰まっている。気軽に立ち寄れるリーズナブルな絶品ランチを、心地よい空間で味わってみてはいかがだろう。

木の温もりを感じるインテリアとギンガムチェックのテーブルクロスがかわいらしい店内。
木の温もりを感じるインテリアとギンガムチェックのテーブルクロスがかわいらしい店内。
住所:東京都文京区本郷3-19-7 三宝ビルB1/営業時間:11:00〜15:00・17:00〜21:30LO(日・祝は17:00〜21:00LO)
/定休日:無
/アクセス:地下鉄丸ノ内線・大江戸線本郷三丁目駅から徒歩4分

取材・文・撮影=村田幸音