動物を愛する2人のオーナーがこだわりにこだわり抜いた素材たち
お店に入ると、出迎えてくれたのは店内に流れるハワイアンな音楽と、「キャン!」というワンちゃんの声。
そう。ここは小型犬を連れて入ることのできる、トイドッグカフェなのだ。
『プウホヌア』が小型犬と入れるカフェとなったのは2023年10月。今泉さんと本間さんがオーナーとなってからだ。
2人は元々、小中学校の同級生。その頃は互いを認識していなかったそうだが、40代のときに中学校の同窓会が行われ、そこで再会したのが、このお店のオーナーとなるきっかけだった。
お互いに保護犬・保護猫を引き取る活動をしていたこともあり、「市川ってワンちゃんと一緒に入れるカフェないね、いつかそういうカフェを作ってみたいね」と意気投合。『プウホヌア』の元オーナーがお店を2人に譲る形で、現在のスタイルとなったのだ。
オーナー2人の動物たちへの愛は深く温かい。今泉さんは3匹の保護猫を、本間さんは7匹の保護猫と3匹の保護犬を、施設から引き取って一緒に暮らしている。
もちろん、その愛はメニューの内容にも表れており、ワンちゃんたちのためのメニューも当然存在している。温野菜に使われている野菜は、着色料や農薬が低減されたもの。その手間と努力の甲斐があり、他のお店では野菜を食べないワンちゃんや、野菜を食べるとお腹を壊してしまうワンちゃんも、『プウホヌア』ではもりもり野菜を食べるそう。
人間用のメニューも同様に気遣いが溢れている。ハンバーグはグルテンフリー。水は浄水器で一度浄化したものを再浄化して塩素を抜いている。
「利益は全部、新しい保護猫・保護犬たちのために使いたいんだよね」と語る2人らしい、徹底した努力だ。
ワンちゃんと人間の食育についての勉強会も現在計画中だそうなので、犬を飼っている方や、食育に興味のある方は行ってみてはいかがだろうか。
絵本に出てくるようなふわとろパンケーキはカロリーゼロ!?
にぎやかに楽しそうに立ち働くお二人から、筆者が注文したのは『プウホヌア』こだわりのパンケーキとカフェラテ。
カフェラテのミルクは甘みが濃く、非常に優しい味わい。パンケーキの味を邪魔しないコーヒーの味も心地よい。
そしてお待ちかねのパンケーキ!
筆者は生クリームエスプーマと、ピスタチオアイスをトッピングした。黄色みの強い見た目が食欲をそそる。専用の黄身の黄色が強い種類の卵を使っているそうで、この卵でなければ黄色が出せないとのことだ。
ナイフを滑り入れると、その柔らかさに思わず目を見はる。まるで存在しないかのように軽く切れてしまう生地。口に入れてもふわりと軽い。すぐに溶けて消えていってしまう。
「こんなふうに、口の中に消えていってしまうならもうカロリーゼロがいいわよね」と2人が語るほどだ。
そして口の中に残るのは卵のやさしい風味。卵がたっぷり入ったパンケーキを食べるうちに、まるで自分が絵本の世界にいるような気分になってくる。
パンケーキはシンプルであとを引くうまさ。生クリームはふわふわでキメが細かく、本間さんいわく「洗顔料にしたいくらい」。今泉さんが「アリが寄ってきちゃう!」とツッコミを入れ、大笑いする姿から、2人のお茶目さと仲の良さが強く伝わってくる。
アイスの冷たさも心地よい。知り合いのイタリアンのシェフが選んだというピスタチオアイスは、濃厚な上にピスタチオの実が至る所に散りばめられていて食感も楽しかった。
ハワイのゆるやかな雰囲気の中で癒しの時間を
店内にある階段は、なんとディズニーリゾートの建築にも関わった方が手掛けたもの。どことなくディズニーっぽい雰囲気があるようにも思う。お店の統一感のあるハワイアンな雰囲気と、ドッグカフェらしいワンちゃんたちへの愛に溢れた装飾が絶妙なマッチをしており、そこも『プウホヌア』の特徴だ。
階段を登った先にあるロフトでは、定期的に色々なワークショップが行われている。筆者が伺ったときには、カーヴィングのワークショップが行われていた。
他にも、ウクレレ教室やハワイアン・レイ(花輪)づくり、オーナー主催の醗酵ドリンク教室など、様々なワークショップが行われており、現在もスペース貸しを行っているそう。講師をやってみたい方は一度連絡してみても良いかもしれない。
そして、夜は定期的にライブが行われている。ハワイの演奏家によるものが中心で、時にはお客さんもウクレレを持って参加したりするそう。フォークソングやフラダンスのライブもあるそうで、一度行ったら忘れられない夜になりそうだ。
店内の調度品だけでなく、器もハワイのお店・デュークスから取り寄せた素敵なものばかり。オーナーのお二人はハワイの器でパフェを提供することを画策しているそう。どれももう買うことのできない貴重なものばかり。ぜひお店に行ったら器も楽しんでほしい。
『プウホヌア』とはハワイ語で“逃れの地”“聖域”という意味。ハワイのミュージシャン、ウェルドン・ケカウオハ氏につけてもらった名前だそうだ。忙しく険しい日常生活から“逃れて”、『プウホヌア』でワンちゃんたちと癒やしの時間を過ごすのはどうだろうか。
取材・文・撮影=HOKU