MIYABIは、1985年に京都・祇園のパン職人がクロワッサンのようなおいしい食パンができないかと試行錯誤のうえ誕生したデニッシュ食パンだ。
その芳醇な香りと、外はカリっと中はふわっとした食感は「一度食べたら忘れられない」と多くのファンを虜(とりこ)にしている。
『CAFE&BAKERY MIYABI 大森店』でも、プレーンのMサイズだけで1日平均30本、多い時には70本も売り上げたというから人気の高さが伺える。
カリッとふわっと至極のハニートースト
この日は、MIYABIの食パンを豪快に1/2斤使用してつくるハニートースト900円をいただいた。
くり抜かれた食パンの中に、厚くブロック状にカットされたパン。ところどころに見えるこんがりとした焼き色とデニッシュの層が、MIYABIの最高の魅力であるカリッとふわっとした食感を思いださせ、食べる前からテンションが上がる。
軽くトーストしたアツアツの食パンの上には、たっぷりの生クリームと濃厚なバニラアイス。その上から、これでもかとハチミツがかかっている。生クリームは、デニッシュ食パンのバターの風味を邪魔しない控えめな甘さで、バランスが良い。
通常の食パンでつくるハニートーストとの大きな違いは、デニッシュ食パンならではの食感と香りだ。トーストされることでリッチなバターの香りが引き立ち、ハチミツとバニラアイスと共に口の中で溶け出しおいしさが広がっていく。
最初はそのボリュームに驚いたが、デニッシュ生地ならではのふんわりと軽い食感で、パクパク食べられる。トーストされたカリッとした部分が、アクセントになって止まらない。
バニラアイスが少し溶けてきたタイミングも絶品だ。ハチミツと共にデニッシュ食パンに染み込み、なんとも贅沢な味わいに。最初から最後まで楽しめる、まさに至極のハニートーストだ。
溢れるMIYABI愛、虜にする魅力
「実は、まかないもあるのにハニートーストが食べたくなって、自分で注文して食べることがよくあります。焼きたてのデニッシュ食パンに冷たいアイスをのせて、はちみつと一緒に口に入れる、あの瞬間がいいんですよね」と語るのは、自身もMIYABIのハニートーストが大好きだという店長の下川駿さん。
取材に同席していた広報の古村さんも、MIYABIのハニートーストが大好きなのだという。
「本社が近いので、私もよく食べに来ています。あと、祖母の家に行く時にMIYABIの食パンをおみやげにしています」
店長も本社の社員もファンになってしまう、MIYABIの魅力は本物なのだ。
すべて手作り、11時間かけて焼き上げるデニッシュ食パン
MIYABIの食パンは、10〜11時間かけて焼き上げられる。通常の食パンが4〜5時間でできることを考えると、倍の時間をかけていることになる。なぜ、それほど時間がかかるのかといえば、熟練の職人がその日の温度や湿度を考慮しながら、五感を働かせて手作業で作っているためだ。
厳選された材料を絶妙なバランスで配合し、生地を幾重にも織り込み、その生地を1本1本丁寧に三つ編みにする。その妥協のない徹底した作業によって、他の食パンにはない外はサクッと、中はふんわりとしたおいしさを詰め込んだような食感が生まれる。
下川さんに、MIYABIの食パンを最もおいしく食べる秘訣を聞いた。
「店舗では、約3cmにスライスして軽くトーストして提供しています。この3cmというのがおいしさの秘訣です。外がカリッと、中がしっとりふわふわとしたMIYABIの食パンの特徴が最大限に生かせるのが3cmという厚さなんです」
下川さんは、続けて「これは個人的なおすすめの食べ方なんですけど」と前置きして教えてくれた。
「MIYABIの食パンはこのままトーストしてもおいしいのですが、追加でバターをつけていただくと、さらにおいしくなるんです。本当におすすめですよ」
またもやあふれるMIYABI愛。その味を愛して最高の状態で提供したいという思いが伝わってくる。
「私たちが心がけているのは優しい接客、それにつきます。お客様一人一人が、心地良く過ごしていただき、この時間で癒やされていただきたい。それが逆に、僕らの励みになっているんです」
ゆったりとした店内は、和風のインテリアで統一されたシックな雰囲気。気軽に1人で立ち寄りゆっくり過ごせそうだ。丁寧に作られた絶品のデニッシュ食パンと、それを愛する人たちのつくる贅沢なメニューを味わいに行こう。
/定休日:無/アクセス:JR京浜東北線大森駅から徒歩1分
取材・文・撮影=村田幸音