縦長看板「替え玉無料!!」がデカデカと目を引く

特徴のある看板の前で大将の慶造さんをパシャリ。
特徴のある看板の前で大将の慶造さんをパシャリ。

蔵前駅より徒歩10分、隅田川を超えた春日通りに店を構える『博多ラーメン ガツン』。縦長看板にでかでかと書かれた「替え玉無料!!」この文字が見えただけで心が躍る。

現在、墨田区に2店舗(蔵前店、両国店)、江東区に1店舗(扇橋店)の3店舗を展開。ゆくゆくは海外でお店を開きたいというの慶造さんの夢もすぐに実現しそうなほどの人気店だ。 

“屋台”をモチーフにした内装が懐かしい気持ちに……。
“屋台”をモチーフにした内装が懐かしい気持ちに……。

10年以上続く本店は、慶造さんの下積み時代に引き継いだ博多の屋台ラーメンの味だけでなく、内装も屋台風に装飾されており、どこか懐かしい雰囲気を感じる。

アルコール類の提供もしており、メニューもラーメン店では珍しい「茹でたて茶豆」や「大玉たこ焼き」、「やわらか豚足」などまさに“屋台”の味を楽しめる。 

「屋台の味」ならではといえば、やはりスープの濃さ。こってりながらもさらっとしたスープが細麺とよく絡み合い、箸が止まらない。

2種類のラーメンとサイドメニューはコスパ最強。
2種類のラーメンとサイドメニューはコスパ最強。

メインとなるラーメンは2種類、ガツンラーメン(白)と黒ラーメンだ。どちらも下準備に一切の妥協無し。

3日間、骨が粉砕するまで煮込み、灰汁をしっかりと取り除いたまろやかなスープと、細麺に特化した博多粉で作る自家製の低加水麺の相性は抜群。また九州産の細ネギはネギ特有の臭さはなく、チャーシューも3日間塩漬けした後、スープに漬け込み余分な脂を落とし、旨味を凝縮。さらにその後一晩自家製の醤油タレに漬けこむなど、材料と製法へのこだわりが凄い。こうした慶造さんの日々の下準備により、至高の一品が仕上がるのだ。

コスパと味に絶対の自信!国境を越えた人気ラーメン“白”&“黒”

透き通ったスープと細麺が美しいガツンラーメン(白)。
透き通ったスープと細麺が美しいガツンラーメン(白)。

『博多ラーメン ガツン』の看板メニューこそ、ガツンラーメン(白)700円。本場博多の味と古き良き屋台の味を楽しめる一品だが、何といってもコスパが良い。この時代に替え玉一杯無料で700円はどう考えても安い。

故に来店するお客さんの8割が注文するそうだ。あっさりながらもまろやかでコクを感じるスープと自家製の細麺が喉を勢いよく通り、あっという間に替え玉に辿り着く。

焦がしニンニク油(マー油)が病みつきになる“黒ラーメン”。
焦がしニンニク油(マー油)が病みつきになる“黒ラーメン”。

そしてもう1種類、陰ながら異彩な存在感を放つ熊本ラーメン、黒ラーメン800円。

慶造さんが熊本出身ということもあり、どうしても出したかったという黒ラーメン。関東人にとって熊本ラーメンと聞いてもあまりなじみないかもしれないが、病みつきになる濃い味わいに外国人からは絶大な支持があり、筆者も黒ラーメン派だ。ガツンラーメン(白)とは異なり、塩味が強く、焦がしニンニク油(マー油)が香ばしさがあり、コッテリしすぎない絶妙なバランスの一品。生ニンニクや紅生姜トッピングすれば間違いなしの味に仕上がる。

深夜まで営業!どんな人にも届く大将の一杯

やさしい笑顔の大将、慶造さん。
やさしい笑顔の大将、慶造さん。

熊本出身の慶造さん、彼のラーメン創業の背景には幼少期時代に通った屋台ラーメンの存在があった。屋台と言えば温かい料理を低価格で食べられるのが特徴だが、何よりも店主の温もりが感じられることが魅力的。ワンコインで替え玉付き、お腹一杯になれるラーメン店を作りたいという思いを胸に東京へ旅立った慶造さんだが、すぐにホームシックになってしまったそうだ。

そんななか出合ったのが錦糸町にあった、あっさりとしたスープと細麺が魅力の古き良き長浜屋台の味わいが楽しめる博多ラーメン屋。寡黙な親父のお店に10年通い、その味をそのまま引き継いだのが『博多ラーメン ガツン』である。

麺の硬さは6種類から!博多ラーメンならではの選択肢が気になる……。
麺の硬さは6種類から!博多ラーメンならではの選択肢が気になる……。

そんな『博多ラーメン ガツン』の魅力はお客様へのおもてなしだ。深夜(午前0時)まで営業と、仕事終わりのサラリーマンや、夜食を求める観光者にとってはこの上なくありがたい。

また、ラーメンにのせるトッピングも種類豊富で、麺の硬さはなんと6種類も。スープでグダグダに煮込んだ“やわやわ”から麺同士がくっついたほぼ生麺の“粉落とし”まで、自分好みにカスタマイズできる。麺は硬めがいいけどどれにしようか迷う、そんな麺の硬さ選びに迷った人向けに慶造さんおすすめのおいしい食べ方がある。一杯目は自分の好きな硬さ(ふつうかバリ硬を推奨)に、替え玉ではバリ硬を選択だ。麺がスープを吸いきる前に味わう替え玉は、麺本来の風味を強く感じて一杯目よりも遥かにおいしい。

3人しかいないスープ職人は各店舗で腕を振るう店主方。
3人しかいないスープ職人は各店舗で腕を振るう店主方。

都条例により路上販売の規制が強化され、ほとんど見かけなくなった路上での屋台営業。そんな屋台の味を守るべく、福岡産の博多屋台ラーメンの味“白”と病みつきの熊本ラーメンの味“黒”を武器に『博多ラーメン ガツン』は今日もお客様に腕を振るう。蔵前に来た際に是非一度訪れてほしい。

住所:東京都墨田区本所1-20−6/営業時間:11:30~0:30/定休日:無/アクセス:地下鉄浅草線蔵前駅から徒歩10分

取材・文・撮影=押田