320年以上の歴史を誇る超老舗

店内が見えませんが勇気を出してGO!
店内が見えませんが勇気を出してGO!

お店があるのは、都営新宿線小川町駅から徒歩3分、JR御茶ノ水駅から徒歩6分の場所。この界隈は皇居までは約1.5kmほど。つまり、かつて江戸城のお膝元としてにぎわっていました。

そうした場所は大手町や有楽町なども同様ではありますが、明治~令和にかけてのいくつもの開発によって、現代的な風景へと様変わりしています。一方、この周辺はまだ開発されていない場所も多く、歴史的な建造物や風景がチラホラ見られるため、散歩するのも楽しい場所です。

そんな町に『笹巻けぬきすし総本店(ささまき けぬきすし)』の看板が出ています。

創業は元禄15年(1702年)なので、320年以上もの歴史を積み重ねたお店。

おみやげやお持たせ用のお寿司として、テイクアウトのお客さんが多いのですが、実は店内での食事も可能なのです!

その名の通り笹で巻かれたビジュアル

一般的なお寿司とは一線を画すビジュアル。
一般的なお寿司とは一線を画すビジュアル。

店内には持ち帰り注文用のカウンターしかないので、イートインの際もこちらで注文。五貫・七貫・十貫など、お寿司の量が選べます。

ランチタイムには日替わりの丼も登場するので、店頭のメニューは要チェックです!

この日は平日12時半という、ランチタイムど真ん中に来店しましたが、先客は1人。オフィスや大学の立ち並ぶ中にありながら、このお店は「持ち帰り店」としておなじみなので、ランチとしては穴場なんです。

さらに、平日の営業時間は10時~18時半。ランチの時間がズレてしまった日にも助かります!

筆者が注文したのは笹巻けぬきすし5個 1134円。持ち帰りのお寿司にはない、お吸い物がついているのもイートインだけのサービスです。お寿司の前にいただくと、出汁はあっさりしていますが、白身魚のすき身が入っているので満足感もたっぷり!

中にはぎっしりネタとシャリ。
中にはぎっしりネタとシャリ。

「笹巻けぬきすし」という、あまり聞きなれない名前。

「けぬき」という言葉の由来は、「毛抜きを使って丁寧に魚の骨を取り除いていたから」や「美味しくて『気が抜ける』から」など諸説あります。

江戸前寿司には三つの派閥があると言われており、その中でも最も歴史が古いのがこの毛抜鮓(けぬきすし)なのです!

さらに、毛抜鮓の中でも現存する最古のお店がこちらということで、サイコメグラーのアンテナにかかったというわけです。

最古の江戸前寿司のルーツとは

押し寿司のようなフォルム。
押し寿司のようなフォルム。

鮮やかな笹をめくると、お寿司が登場!

笹に巻いてあるのは戦国時代の兵糧食だった名残。冷蔵庫のない時代に戦地で持ち歩くため、殺菌作用の高い笹の葉で巻いたものがはじまりといわれます。

五貫は、日替わりの光り物と白身・鯛・海老・玉子のラインナップ。

酢と塩がしっかり効いている(これも元は殺菌作用を狙ったもの)ので、醤油にはつけずにいただくのも特徴です。

もちろん、醤油がなくても物足りないなんてことはなく、酸味と塩味がはっきりと感じられます。それでいて、魚の風味と美味しさを邪魔しないのも、歴史のなせる技でしょうか。

筆者お気に入りの白身。
筆者お気に入りの白身。

個人的に好みだったのは白身魚。

魚の味わいにまろやかさがあって、噛んだ瞬間に口の中に磯の香りがふわっと広がります。シャリはしっかり握られていて、押し寿司のように詰まっているので食べ応え十分!

イートインのみのサービスも

煮物は無料サービスでも絶品。
煮物は無料サービスでも絶品。

また、イートイン限定でお得なサービスもついてきます!

食事の途中に、店員さんが「これもどうぞ」とイートインだけのサービス「煮物」を持って来てくれます。薄めの味付けに魚の出汁のきいた上品な味。根菜がたっぷり入っていて噛むほどにジュワッと出汁のおいしさがあふれます。

筆者は普段、比較的食べる量が多い方ですが、お寿司五貫とお吸い物に煮物まで付いてくるので、大満足できました!

静かな店内で、一人でじっくりいただくのもいいですし、テイクアウトして「最古の江戸前寿司」という話とともに、家族や仲間と楽しむのも楽しみ方の一つです!

住所:東京都神田小川町2-12 宇田川ビル 1F/営業時間:9:00~19:00/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄小川町から徒歩3分

写真・文=Mr.tsubaking