からしや調味料のリーディングカンパニー、チヨダ
チヨダは大正6年(1917)に創業した粉からしのリーディングカンパニーだ。からしのほかにきな粉や上新粉の製造販売を始め、昭和34年(1959)に千代田からし本舗として法人化、昭和60年(1985)にはチヨダ株式会社に社名を変更している。
現在は香辛料はもとより、各種たれや調味料など幅広く展開している。よく目にするのは、納豆やお弁当に付属しているからしや中濃ソースだろう。
東京のおでん種専門店ではチヨダの「おでんの味」をよく目にする。鍋にさっと入れるだけで本格的なおでんを作ることができ、長年支持されてきた。また、からしはほぼチヨダの製品を取り扱っているが、和からしの「千代田からし」ではなく「洋からし」が店頭に並んでいる。
チヨダのからしの魅力は、なんといっても香りや風味が豊かなことだ。チューブの練りからしと食べ比べてみればその素晴らしさを感じることができるだろう。
お湯を注いで練り合わせる手間はあるが、つんと鼻に抜ける辛さと香りは料理のおいしさを格段に引き上げてくれる。
実物そっくりのチヨダのマグネット
2023年7月にはチヨダの小分け調味料をモチーフにしたカプセルトイが発売された。マグネットになっており、冷蔵庫など好きな場所にディスプレイできる。
発売元となる「いきもん」のアイテムブランド「アートユニブテクニカラー」のシリーズとなり、正式名称は「ATC チヨダ調味料マグネットコレクション」という。
特筆すべきはその再現度だ。実物と比べてもその違いがわからないくらい本物そっくりに仕上がっている。誤って食べないように注意書きもあり、安全性に十分配慮している。
チヨダを代表する「千代田からし」は実物が大きいため、2分の1程度のサイズとなっている。昔ながらの書体と版画調のデザインが印象的なパッケージだ。Webサイトの説明によると「からしの種子を目の粗い粉状にすることで、からし本来の辛さと香りを風味豊かに味わえる」とのことだ。
おでん種専門店で手に入れた洋からしとの大きさを比較してみた。千代田からしよりも洋からしのほうが少し小さいが、だいたい同じサイズだったと記憶している。千代田からしはあまり見かけることはないが、チヨダのオンラインショップで購入できる。
小分けのからしは納豆に付属するほか、佃忠各店(亀有、向島、田端、池袋)でおでんを購入すると一緒につけてくれる。発色のよい黄色がチャーミングだ。
実物と並べてみると細かな違いはあるものの、ぱっと見は区別がつかない。なお、小分けのからしには粉からしのものも存在し、日本橋の『神茂』でおでん種を購入すると一緒につけてくれる。
からしとセットになっているのは「納豆のたれ」だ。その存在をまったく意識していなくても、味のある書体を見ればすぐに「ああ、これこれ」と思い出すことだろう。
中濃ソースもお弁当に付属することが多いので目にする機会が多い。バラン(ハラン)をモチーフにした鮮やかな緑色のデザインにぴんとくる人も多いのではないだろうか。
餃子のたれもなじみ深い。ラー油もきちんと添えられている。本体の餃子がないのに、見ているだけで唾がわいてくる。
最後はトマトケチャップとマスタードだ。アメリカンドッグなどについてくるもので、遊園地や海水浴、縁日といった懐かしい風景が蘇る。
飾って眺めてみると、あらためてそのデザインの素晴らしさを確認できる。おでんファンとしてはカプセルトイを通じてさらに多くの人たちにチヨダの魅力を知っていただきたいと思っている。
取材・文・撮影=東京おでんだね