◆散歩コース◆

体力度:★☆☆
難易度:★☆☆

  • 登山シーズン 3月~6月、9月~12月
  • 最高地点 1101.8m(三国山)
  • 登山開始地点 728m(箱根町港バス停)
  • 歩行時間 4時間45分
  • 歩行距離 約12km
スタート
箱根町港バス停
箱根町港に近いバス停から国道1号を進み、芦川のほうへ右折。駒形神社を左に見て、その先に街道入口。

箱根旧街道入口
ここから江戸時代の石畳の道になる。風越坂などを過ぎると国道1号へ再び出る、右折して行けば道の駅。

道の駅 箱根峠
反対側の外輪山周廻歩道に入る。十二丁園地の中を何度かアップダウンを繰り返して開けた海ノ平へ出る。

山伏峠
芦ノ湖スカイラインに出ると右手に芦ノ湖の眺望。山伏峠から山を巻きながら上がっていくと三国山へ。

三国山
山頂手前からブナやアセビが多くなる。山頂を過ぎれば下って行く。40分もすれば湖尻峠だ。

湖尻峠
最初は急坂。土道ではなく石畳なので滑りやすい。20分ほどで西岸遊歩道と合流。遊歩道を歩いてゴール。

ゴール
桃源台バス停

アクセス:
[行き]新宿駅から小田急小田原線で小田原駅へ。小田原駅東口から箱根登山バスで箱根町港バス停へ。約2時間45分。
[帰り]箱根桃源台バス停から小田急ハイウェイバスで新宿高速バスターミナルへ。約2時間30分。

桃源台から小田原駅に戻ることも可能だ。箱根登山バス約1時間で小田原駅着。運賃は1250円。

三国山は、相模、駿河、伊豆の三国にまたがる位置にあるので、その名がついたという。もしここに芦ノ湖を巡る車道が通っていなければ、もっと人気のある出かけたい山だったにちがいない。

とくに海ノ平から三国山の手前まで登山道に並行するようにスカイラインがついているのが、返す返すも残念である。この道をつくれば登山客が減少するだろうくらいのことは容易に予測できたろうから、登山客ではなくドライブに来る観光客を大事にしたということか。

それはさておき、出発地点は箱根町港バス停。目の前が芦ノ湖で、この日最初で最後の富士山の先っぽが見えた。近くには観光用の海賊船の発着所もあるので、海賊船も見える。

スタート地点のバス停近くには箱根海賊船の乗船場になる箱根町港がある、海賊船が今まさに出て行くところだ。
スタート地点のバス停近くには箱根海賊船の乗船場になる箱根町港がある、海賊船が今まさに出て行くところだ。

ちなみに今日のゴールの桃源台へは海賊船なら25分、山歩きで行くなら5時間弱かかる。あえて時間をかけるのが山歩きの醍醐味というものだろう。

このルートは芦ノ湖の展望を楽しめるのが魅力のひとつだが、実はもうひとつ。それは箱根旧街道を通れることだ。江戸時代の東海道の一部が残り、当時の石畳もそのまま残されている。

趣ある箱根旧街道を進み、芦ノ湖を望む

車道を終えると旧街道への入り口に。付近には石仏や石塔が多く残る。箱根で最も古い庚申塔や、江戸時代後期に建てられた巡礼供養塔などである。

苔むした石畳は400ⅿほど残り、向坂、赤石坂、釜石坂、風越坂などという名称がついている。道は江戸時代の前期に整備され、坂の両側に杉が植えられ、石畳が敷かれた。歩いていると、当時の面影が感じられる。昔は登山靴ではなく、もちろん草鞋(わらじ)で歩いたのだろうが、そのほうがよほど歩きやすかっただろうと思う。近代の靴は石畳には不向きである。

石畳を終えると国道1号へ出て右へ。「道の駅 箱根峠」の反対側の「外輪山周廻歩道入口」の標識から階段を上がって登山道へと入っていく。森の中が十二丁園地だ。その中を上がっていくと、森が終わり視界が開ける。ここが海ノ平になる。遠くに十国峠の山頂も見える。空は青く、ススキが風にそよぐ。

道の駅の反対側に入り口があり、階段を上がっていくと十二丁園地に。深い森の中を抜けると、ハコネダケの道になり、外輪山に出る。
道の駅の反対側に入り口があり、階段を上がっていくと十二丁園地に。深い森の中を抜けると、ハコネダケの道になり、外輪山に出る。
十二丁園地の森を抜けると展望の開けた海ノ平へ出る。中央の山が鞍掛山だ。右手の奥は十国峠になる。
十二丁園地の森を抜けると展望の開けた海ノ平へ出る。中央の山が鞍掛山だ。右手の奥は十国峠になる。

しばらく進むとスカイラインと登山道が合流する地点に出る。この辺りからの芦ノ湖の眺めが最高である。芦ノ湖の対岸にある二子山や駒ヶ岳が見える格好の展望所となっている。残念なのは、傍らに気軽に車で来て展望を楽しんでいる人たちがいること。ちょっぴりくやしい。

海ノ平の先の風景。気持ちのいい尾根歩きに。前方に芦ノ湖が見えている。この先でスカイラインに合流。
海ノ平の先の風景。気持ちのいい尾根歩きに。前方に芦ノ湖が見えている。この先でスカイラインに合流。
芦ノ湖スカイラインとの合流地点からの眺め。芦ノ湖と周りの山々。左のアンテナの立つ山が上二子山、その右隣は下二子山。
芦ノ湖スカイラインとの合流地点からの眺め。芦ノ湖と周りの山々。左のアンテナの立つ山が上二子山、その右隣は下二子山。

山伏峠の先から山を巻きながら緩やかな登りになる。1時間ほど進むと、どうやら三国山山頂へ着いたようだ。というのも山頂なのかどうか確信が持てなかった。展望もないので通り過ぎてしまいそうなところでもある。

三国山の先はブナの巨木も出てくる森。緩く下って湖尻峠へ。ここから深良(ふから)水門までは一気に下り、西岸遊歩道を歩いて桃源台へ。

三国山の手前からブナの木が多くなるが、なかでもこれは巨大なものだ。
三国山の手前からブナの木が多くなるが、なかでもこれは巨大なものだ。

山歩きメモ

このコースは外輪山コースになっているので、湖尻峠からそのままコースを歩き続けることもできる。丸岳から乙女峠へ出て下山。プラス3時間強。外輪山を1周すると48㎞程度。1日で回るのはもちろん不可能。

アドバイス

とくに危険な箇所はないが、湖尻峠の先の下りが少々滑りやすいので注意したい。このコースは逆に桃源台からスタートするとわりと後半が楽に歩ける。最初に苦労して後で楽をするということであるが。

箱根旧街道

江戸時代の風情が色濃く残る石畳の道

旧東海道の石畳が400mほど残っている。
旧東海道の石畳が400mほど残っている。

箱根八里といわれた箱根の旧東海道は、この周辺に何箇所か残っている。石畳ではないが、芦ノ湖畔にある土道沿いの杉並木などは江戸時代の初め(1618年)頃に植えられたもので、すでに400年の樹齢を誇る。現在でも412本くらいの巨木が残っている。芦川の旧街道には、当時の石畳が残っている。箱根峠までの400mほどの石畳は現在の靴では滑って歩きにくいが、当時は水はけのよい近代的な道だった。もちろん草鞋で歩くから滑らない。

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ 低山をきわめる!』より