子どもは大人よりも熱中症のリスクが高い?!その理由とは?

2023年、ことしの夏は東京都心で年間の猛暑日日数が過去最も多くなるなど、記録的な暑さになっています。

健康的な大人でも耐えられないほどですが、一般的に、子どもは大人よりも熱中症になりやすいといわれています。その理由は、幼い子どもには体温を調節する力がまだ十分に備わっていないためです。

私たちの身体は、汗をかくことで体温が約36度になるように保たれますが、子どもは汗をかく機能が未発達で、暑さを感じてから汗をかくまでに時間がかかるため、身体に熱がこもり、体温が上昇しやすいのです。

地面に近いほど危険!強い照り返しにも要注意

よく晴れて日差しが強いとき、大人よりも身長が低い子どもは、熱くなった地面との距離が近いため、より過酷な環境にいることになります。

通常、気温の観測は大人の顔があるくらいの高さ、1.5メートルの位置で行われます。この高さで気温が約32度と観測された場合、身長50センチくらいの子どもの頭の高さではもっと高くなり、35度を超えています。座面の低いベビーカーの場合は、一層暑さの厳しい環境にあるといえます。さらに、真上からの日差しだけでなく、地面からの照り返しの影響も大きく受けます。

出典:環境省 熱中症環境保健マニュアル2022。
出典:環境省 熱中症環境保健マニュアル2022。

暑さに気づかず熱中症に……異変を見逃さないで

子どもは大人と比べて、自分で熱中症を予防することが難しいです。

特に幼い子どもは自分で水分補給をしたり、衣服を調整したりできません。暑くてもはっきりと言葉にしてSOSを出せないこともあります。お散歩やあそびに夢中になって楽しんでいると、気づかないうちに体温が急上昇していた……なんてこともあるかもしれません。

このため、周りの大人が意識して、子どもの様子がいつもと違っていないか確認してあげることがとても大事です。顔色や汗のかき方、泣き方などからも異変がないか、気に掛けてあげてください。「ねむい」や「だるい」という言葉や「機嫌が悪い」「泣き止まない」などといった態度も、熱中症にかかっているサインの可能性があります。特に、我慢強い子やおとなしい性格の子は要注意です。

お散歩に必須!子どもたちの命を守るための熱中症対策

子どもたちを暑さから守ってお散歩を楽しむためには、第一に強い日差しはできるだけ避けることが重要です。厳しい暑さが予想されるときは、日差しの強い時間帯に外に出ることは控える、お散歩するときは必ず帽子をかぶるほか、なるべく日陰を選んで歩くようにしてください。

そして、こまめに休憩を取りながら、同時に水分補給も十分に行いましょう。また、風通しの良い服で、汗をよく吸う肌着を身に着けるなど、服装選びにも工夫が必要です。

熱中症になったときはどうすべき?!

重度の熱中症になってしまうと、意識がなくなり命に危険が及ぶこともあります。もしも、お散歩中に子どもたちが熱中症になってしまったら、意識に問題がある場合はすぐに救急車を呼びましょう。救急車が到着するまでの間は、なるべく涼しい場所に移動して、身体を冷やしてください。太い血管の通っている首や脇の下などを氷で冷やしたり、濡れたタオルで全身を拭いたりすることで、少しでも体温を下げることが大事です。水分をとれる場合は経口補水液やスポーツドリンクなどを少しずつ飲ませてあげてください。

暦の上では秋でも、まだまだ残暑の厳しい日々が続きそうです。夏休みも折り返し地点ですが、熱中症対策を徹底して楽しい思い出を作りましょう。

 

参考

環境省 熱中症環境保健マニュアル2022
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_full.pdf

国立成育医療研究センター
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/heatstroke.html

 

文=片山美紀 写真=片山美紀、写真AC