フラワーアーティスト ニコライ・バーグマンの心地よさ“ヒュッゲ”を体現した空間

ブランドショップが立ち並ぶ表参道の裏路地に『Nicolai Bergmann Flowers & Design Flagship Store』がある。エントランスから四季折々の花で迎えてくれるのはさすが。

取材に訪れた時は珍しい紫陽花が店頭を飾っていた。
取材に訪れた時は珍しい紫陽花が店頭を飾っていた。

というのも、ここはデンマーク出身のフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマンさんのフラワーショップだから。店内に入ると、上品な百合の香りがした。思いっきり深呼吸をしたらなんだか自分の身体の中がキレイになった気がしてくる。

ニコライ・バーグマンさんといえば箱に花を敷き詰めたフラワーボックスの考案者で、日本のフラワーギフト界に革命を起こした人物。

箱の底に吸水スポンジが敷いてあり、瑞々しい状態を保てるフラワーボックス(Mサイズ)7480円。プレゼントにピッタリだ。
箱の底に吸水スポンジが敷いてあり、瑞々しい状態を保てるフラワーボックス(Mサイズ)7480円。プレゼントにピッタリだ。

1階にはフラワーショップにカフェ『Nicolai Bergmann NOMU』が併設されている。入口で迎えてくれた広報担当者に話を聞いた。

「ニコライが好きな青山でお店が出せる場所を探していたところ、ガラス張りで開放感があるこのビルを見つけました。すごく気に入ったんですが、花屋をやるには広すぎる。それじゃあおいしいものを提供したら人が集まるだろうということで、カフェを併設しようと決めたそうなんです」。

ガラス張りだから店内にたっぷりと自然光が差し込む。オリジナルデザインの有田焼のコーナーにもさりげなく花が飾られている。
ガラス張りだから店内にたっぷりと自然光が差し込む。オリジナルデザインの有田焼のコーナーにもさりげなく花が飾られている。

2010年12月にオープンして以来ここで営業を続けている。あまりお花に興味がなかった人がカフェで過ごすうちにその素晴らしさに気づいたり、フラワーショップでオーダーメイドを待つ間にカフェで過ごす人も多いというから、ニコライさんの読みは当たっていたのだろう。

窓が広く明るい店内は心地よく、天井も高くて開放感がある。テーブルには花瓶が差し込めるようになっており、フレッシュフラワーを愛でながらカフェタイムが楽しめる。

フレッシュフラワーが惜しげもなく飾られ、テーブルにはキャンドルも。
フレッシュフラワーが惜しげもなく飾られ、テーブルにはキャンドルも。

デンマークに“HYGEE(ヒュッゲ)”という言葉がある。これは居心地の良さや小さな幸せを大切にするという、心の持ち方を表す言葉だ。各テーブルに生けられた花や、ゆらめくキャンドルの光はニコライさんらしいヒュッゲ。とても穏やかで、心地よい。

広報担当者から「毎日のように訪れる近隣住民の方もいますし、地方や海外からここを目的にやってくる方もいます」と聞き、たしかにここには惹きつける魅力があると実感した。

シーズナルでさまざまなフラワーボックスが登場。写真はフレッシュフラワーだが、プリザーブドフラワーのボックスもある。
シーズナルでさまざまなフラワーボックスが登場。写真はフレッシュフラワーだが、プリザーブドフラワーのボックスもある。

デンマークのオープンサンドと王室御用達の高貴な紅茶

筆者のなかに溜まっていた日々の疲れやストレスがすっかり浄化されたところで、身体がよろこぶおいしいものを取り入れたい。カフェで何かいただいてみよう。そう思ってレジに向かうと店内で焼くケーキや焼き菓子がズラリ。マフィンやフルーツタルトなどは日替わりで、いつ来ても楽しめそうだ。

レジ前には、店内で焼いているケーキや焼き菓子が並んでいる。
レジ前には、店内で焼いているケーキや焼き菓子が並んでいる。
なかでも筆者の心を射止めたのはNORDIC BANANA CAKE 1ピース880円。
なかでも筆者の心を射止めたのはNORDIC BANANA CAKE 1ピース880円。

レジ横にも惹かれたが、ランチメニューに変わった形のサンドイッチがある。春の花壇みたいにキレイだからこれを食べてみたい! 「デンマークでは一般的なスモーブローというオープンサンドイッチです。ファストフード的に手軽に食べる場合もありますが、ここでは味も盛り付けもこだわっています」と広報担当者。

好きなスモーブローを2つ選べるランチは2300円から。飲み物により値段が変わる。
好きなスモーブローを2つ選べるランチは2300円から。飲み物により値段が変わる。

というわけで、スモーブローは国産ジン風味のグラブラックスサーモンとエッグサラダ、シュリンプとエッグとフェタチーズを選び、ドリンクは紅茶がティーポットで提供される2800円のランチをオーダーした。

フェタチーズをたっぷりすりおろす。
フェタチーズをたっぷりすりおろす。

ほどなくして卓上に供された本日のランチは、おしゃれすぎる一皿! お行儀よくしなくてはと、急に背筋が伸びる。ナイフとフォークを構えたものの、美しいからしばらく眺めていたくなる。

青山の洗練された雰囲気になじむオープンサンドのランチ。食器はロイヤルコペンハーゲンで統一されている。
青山の洗練された雰囲気になじむオープンサンドのランチ。食器はロイヤルコペンハーゲンで統一されている。

写真手前がデンマーク風種子入りライブレッドを使用した国産ジン風味のグラブラックスサーモンとエッグサラダ、奥はタイムとナツメグ風味のブリオッシュを使用したシュリンプとエッグとフェタチーズだ。

サーモンの上に乗っているオレンジ色のものは、日本でいうからすみみたいなものだそう。
サーモンの上に乗っているオレンジ色のものは、日本でいうからすみみたいなものだそう。

ナイフで一口大に切って口に運ぼうとしたら、思った以上にずっしりとしている。香りのいいパンと風味のいいサーモンやエッグのサラダが調和し、ハーブやスパイスがふんわりと香る。味わいまでおっしゃれ〜。

スモーブローといただく紅茶は“王妃のブレンド”。その名の通り、かの麗しきデンマーク王妃・マルグレーテII世のために生まれたものだ。セイロンベースの香り豊かなアールグレイと中国グリーンティーで有名なガンパウダーを配合している。

食後にゆっくりと紅茶をいただく。
食後にゆっくりと紅茶をいただく。

う〜ん、高貴な香り。ポットで提供してくれるので、食後にもう1杯いただける。王妃の気分でゆっくり味わった。

ニコライさんにも学べる2階のフラワースクール

2階のトイレに行こうとしたら、フラワースクールの案内を目にした。ふだんは花より団子の筆者だが、カフェのテーブルに飾られたお花はため息が出るほどキレイですっかり魅了されてしまった。

こちらではフラワーアレンジメントの基礎を身につけながら、ニコライさんならではのカラーリングや花の組み合わせ方などが身につけられるそうだ。

ニコライさんから直接学べるプログラムもありWEBで申し込みが可能。初心者コースは花材代込みで7700円から。
ニコライさんから直接学べるプログラムもありWEBで申し込みが可能。初心者コースは花材代込みで7700円から。

「生徒さんのなかには初心者からプロを目指す方までさまざまです。長年ニコライの元で学んだシニアトレーナーたちが指導を担当しますが、直接ニコライの指導が受けられるコースもあります。入会金もなく、1回のレッスンから気軽に参加できますよ」と広報担当者が説明してくれた。

お花の勉強なんて格式が高そうな気もするが、1回だけならやってみたいかも。ニコライさんみたいなフラワーアレンジができるようになったら、筆者のズボラな生活が一変しちゃったりして。そんな大袈裟な!? と思うかもしれないけど、ここのお花にはそのくらいのパワーがあるんだってば! 今度はお花と無縁の友人を連れて来て驚かせてみよう。

打ちっぱなしの壁に夏限定のフラワーボックスが。ニコライさんらしいカラーグラデーションが美しい。
打ちっぱなしの壁に夏限定のフラワーボックスが。ニコライさんらしいカラーグラデーションが美しい。

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢