“今日”食べたいものを作る、こだわり定食
清澄白河駅から歩いて数分、センスあふれる専門店や雑貨店が並ぶエリアの一角に『今日』はある。この店が入るビルの名前はリトルトーキョー。いろんな生き方・働き方を伝える求人サイト『日本仕事百貨』が運営している。上の階にはオフィスやイベントスペースもあり、お客さんが来店するきっかけもさまざま。
この店のランチメニューは週替わりの定食のみ。店主の高橋さんが“今日”食べたいものを作るというコンセプトで、ひとつひとつこだわって丁寧に作り上げている。その献立は、肉または魚で作るメイン料理を中心に、季節の小鉢、ご飯、味噌汁、そして自家製のぬか漬けが基本スタイル。小鉢は、味や食感のバランスを考えて組み合わせているそう。
メイン料理が魚の時は、豊洲から仕入れた魚をさばくことからはじまり、1本1本骨を抜くといった細かい手間もいとわない。味噌汁は昆布とかつお節から出汁をひき、自家製の味噌を使用して作る。ぬか床も、オープン当初から育てている。時には食材の生産地を自ら訪ねて仕入れたり、仕事やこの場所を通じて出会った人たちから食材を仕入れたり。高橋さんはそうした背景を手書きの献立や会話にも織りまぜる。
「食の楽しさを見つけるきっかけをつくれたらうれしいです」
夜は、酒処へと変わる。『日本仕事百貨』の代表・中村さんが、創業当初からバーの営業を実現させたいと考えていたこともあり、そこに懸ける想いは熱い。この場所を通して、お客さんが新しい活動のきっかけをつかむこともある。近所の方はもちろん、『日本仕事百貨』の読者など、その客層は様々で、人と人をつなぐ場としての役割も果たしているようだ。料理は、夜の部も週替わりで手の込んだ品が並ぶ。自家製の果実酒や酎ハイなどをはじめ、お酒のラインナップも充実。料理に合う日本酒を近所の酒屋さんと相談しながら選んでいるのも興味深い。
つい先日、3月24日にオープンから3周年を迎えた『今日』。それに合わせてお店の内装や営業スタイルのリニューアルを行った。「目の前のごはんを楽しんでもらいたい」という思いから、店内は、以前の昭和の大衆酒場をイメージした内装からシンプルで落ち着いた装いに。ワークショップや料理教室ができるようなスペースも設け、定期的に食に関するイベントを行っていきたいと話す。また、土日を中心に『茶事』と題して、月替わりの手作り和菓子とそれに合う日本茶のセットを提供する試みも新たにスタートさせるという。
“食”に真摯に向き合いながら、新しいアイデアを実現させていく高橋さん。飽くなき食への探求心を原動力に、店も店主も今後ますます進化するだろう。
『食べたいものをつくる店 今日』店舗詳細
茶事/ 15:00~17:30LO
今晩/ 19:00~22:30LO/定休日:今日/ 月・火・水・木
茶事/ 月・火・水・木・金
今晩/ 月・火・水・土・日/アクセス:地下鉄半蔵門線・大江戸線清澄白河駅から徒歩4分
取材・文・撮影=柿崎真英