まずは動物モチーフの人形みくじ

各地の寺社で人形みくじが多く見られる時期、それは初詣の期間である。十二支の動物を象った人形みくじが頒布されるためだ。

サル年の初詣で入手した猿みくじ。神谷町の栄閑院猿寺だったので、もしかすると通年頒布しているのかも知れない。
サル年の初詣で入手した猿みくじ。神谷町の栄閑院猿寺だったので、もしかすると通年頒布しているのかも知れない。
イノシシ年のイノシシみくじ。こうなったら十二支揃えたい。
イノシシ年のイノシシみくじ。こうなったら十二支揃えたい。

一方、特定の動物を眷属や神使としている寺社の場合、通年でその人形みくじが頒布されている。

代表的なのが稲荷神社で、神の使いであるキツネのおみくじがよく見られる。

新宿・花園神社はそもそも稲荷神社であったため、キツネみくじが頒布されている。前掛けには神社名が入り、宝珠と巻物をくわえたキツネが対になっている。
新宿・花園神社はそもそも稲荷神社であったため、キツネみくじが頒布されている。前掛けには神社名が入り、宝珠と巻物をくわえたキツネが対になっている。
館林の尾曳稲荷神社で入手したキツネ。顔かたちなどは花園神社のものとよく似ている。
館林の尾曳稲荷神社で入手したキツネ。顔かたちなどは花園神社のものとよく似ている。

神使までとはいかずとも、その寺社にゆかりの深い動物がおみくじになっている場合も多い。たとえば府中の大國魂神社では、扇ぐと害虫駆除・病気平癒のご利益があるという「からす扇・からす団扇」の信仰が伝わり、それにちなんだカラスみくじが頒布されている。

実際のカラスは怖いイメージがあるが、こちらはノホホンとしたかわいい作り。
実際のカラスは怖いイメージがあるが、こちらはノホホンとしたかわいい作り。

分福茶釜の寺として知られる茂林寺では、参道の土産物店でたぬきみくじ、

茂林寺参道の土産物店のタヌキ。全国のタヌキ名所にもあるのだろうか。
茂林寺参道の土産物店のタヌキ。全国のタヌキ名所にもあるのだろうか。

広島護國神社では鯉みくじ、

広島護國神社は鯉城と呼ばれる広島城址公園内にあるため、鯉にゆかりがあると言える。むろんカープファンも多く訪れる。
広島護國神社は鯉城と呼ばれる広島城址公園内にあるため、鯉にゆかりがあると言える。むろんカープファンも多く訪れる。

筑波山ではカエルみくじ

こちらは友人の筑波山土産。お腹に「つくば山」と書いてあるのがかわいい。
こちらは友人の筑波山土産。お腹に「つくば山」と書いてあるのがかわいい。

などなど、バリエーション豊かである。

動物モチーフじゃない人形みくじもある

以前友人のお土産にしたが、今度は自分が欲しくなってしまい、善光寺に行くという職場の方に頼んで入手してもらった閻魔様。
以前友人のお土産にしたが、今度は自分が欲しくなってしまい、善光寺に行くという職場の方に頼んで入手してもらった閻魔様。

モチーフとなるのは動物ばかりではない。善光寺の閻魔大王おみくじ、小布施・岩松院の仁王さん人形みくじなど、境内の仏像に由来するおみくじもある。

こちらも友人のお土産。最終的には私が吽形を、友人が阿形を選んだ。
こちらも友人のお土産。最終的には私が吽形を、友人が阿形を選んだ。

更には東松山の箭弓(やきゅう)稲荷神社では、その名前から近年では野球に関わる参拝者が増え、ボール型の一球入魂みくじが頒布されているのである。

おみくじの他にも、バット型やグローブ型のお守りなどが頒布されていた。
おみくじの他にも、バット型やグローブ型のお守りなどが頒布されていた。

もはやかわいければ何でもアリ、という様相を呈してきている。

人形みくじは寺社だけのものでもない

ところで野球とおみくじで思い出すのが、以前ロッテマリーンズの本拠地・ZOZOマリンスタジアムで入手したマスコットのマーくんみくじである。

球場でおみくじが売られているのが意外だったが、かわいい。
球場でおみくじが売られているのが意外だったが、かわいい。

つまり人形みくじは寺社に限らず、様々な場所で販売されているのだ。雑貨を扱う中川政七商店では、ご当地の鹿みくじなどもあるが、

奈良で鹿みくじといえば春日大社が有名だが、こちらもかわいい作りになっている。
奈良で鹿みくじといえば春日大社が有名だが、こちらもかわいい作りになっている。

Suicaのペンギンやドラえもんなど、キャラクターを象った人形みくじが多数販売されている。

たくさん並んで売られている姿がかわいいペンギン。
たくさん並んで売られている姿がかわいいペンギン。
ダルマのようなデフォルメがされたドラえもん。
ダルマのようなデフォルメがされたドラえもん。

深大寺の参道にある鬼太郎茶屋でも鬼太郎みくじが販売されていたが、こちらも深大寺ゆかりの、というよりは水木しげる先生ゆかりのキャラクターみくじである。

水木しげる先生と調布・深大寺との関わりの深さを考えれば、これも一種の「寺社ゆかりの人形みくじ」としても良いのかも。
水木しげる先生と調布・深大寺との関わりの深さを考えれば、これも一種の「寺社ゆかりの人形みくじ」としても良いのかも。
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このように商品として販売されているとなると、気になるのはおみくじの内容である。普通に寺社で引くおみくじが辛辣な内容なのに比べて、人形みくじは優しくなっているのではないだろうか……?

そこで現在手元にある人形みくじのうち、中身の残っている10個について調べてみた。すると大吉5、中吉1、小吉1、吉1、末吉1、その他1という結果になり、偶然かも知れないが、凶は一つも出なかったのである。

前述の善光寺の閻魔みくじの中身。「浄玻璃の鏡」にちなみ、鏡に映して読む鏡文字になっている。
前述の善光寺の閻魔みくじの中身。「浄玻璃の鏡」にちなみ、鏡に映して読む鏡文字になっている。
ドラえもんみくじの中身。ドラえもんの名言が書かれていてためになる。
ドラえもんみくじの中身。ドラえもんの名言が書かれていてためになる。

やはり、かわいい人形から厳しい内容のおみくじが出てきた時の衝撃を考えて、幾分手心が加えられているのではないかと推測してしまうのだった。打たれ弱い性格の私は、恐らく今後も優しい言葉を求めて人形みくじを選んでしまうことだろう。

イラスト・文・写真=オギリマサホ