まずは動物モチーフの人形みくじ
各地の寺社で人形みくじが多く見られる時期、それは初詣の期間である。十二支の動物を象った人形みくじが頒布されるためだ。
一方、特定の動物を眷属や神使としている寺社の場合、通年でその人形みくじが頒布されている。
代表的なのが稲荷神社で、神の使いであるキツネのおみくじがよく見られる。
神使までとはいかずとも、その寺社にゆかりの深い動物がおみくじになっている場合も多い。たとえば府中の大國魂神社では、扇ぐと害虫駆除・病気平癒のご利益があるという「からす扇・からす団扇」の信仰が伝わり、それにちなんだカラスみくじが頒布されている。
分福茶釜の寺として知られる茂林寺では、参道の土産物店でたぬきみくじ、
広島護國神社では鯉みくじ、
筑波山ではカエルみくじ
などなど、バリエーション豊かである。
動物モチーフじゃない人形みくじもある
モチーフとなるのは動物ばかりではない。善光寺の閻魔大王おみくじ、小布施・岩松院の仁王さん人形みくじなど、境内の仏像に由来するおみくじもある。
更には東松山の箭弓(やきゅう)稲荷神社では、その名前から近年では野球に関わる参拝者が増え、ボール型の一球入魂みくじが頒布されているのである。
もはやかわいければ何でもアリ、という様相を呈してきている。
人形みくじは寺社だけのものでもない
ところで野球とおみくじで思い出すのが、以前ロッテマリーンズの本拠地・ZOZOマリンスタジアムで入手したマスコットのマーくんみくじである。
つまり人形みくじは寺社に限らず、様々な場所で販売されているのだ。雑貨を扱う中川政七商店では、ご当地の鹿みくじなどもあるが、
Suicaのペンギンやドラえもんなど、キャラクターを象った人形みくじが多数販売されている。
深大寺の参道にある鬼太郎茶屋でも鬼太郎みくじが販売されていたが、こちらも深大寺ゆかりの、というよりは水木しげる先生ゆかりのキャラクターみくじである。
このように商品として販売されているとなると、気になるのはおみくじの内容である。普通に寺社で引くおみくじが辛辣な内容なのに比べて、人形みくじは優しくなっているのではないだろうか……?
そこで現在手元にある人形みくじのうち、中身の残っている10個について調べてみた。すると大吉5、中吉1、小吉1、吉1、末吉1、その他1という結果になり、偶然かも知れないが、凶は一つも出なかったのである。
やはり、かわいい人形から厳しい内容のおみくじが出てきた時の衝撃を考えて、幾分手心が加えられているのではないかと推測してしまうのだった。打たれ弱い性格の私は、恐らく今後も優しい言葉を求めて人形みくじを選んでしまうことだろう。
イラスト・文・写真=オギリマサホ