たけのこの種類と選び方
たけのこは竹の若芽で、食用のものは孟宗竹(もうそうちく)が流通している。えぐみが少なくほんのりとした甘さが特徴で、全国各地で親しまれている。旬は地方によって異なるが、3月から5月初旬までとなる。また、皮がおにぎりなどの包装に使われる真竹(まだけ)も一般的だ。
ほかにもさまざまな種類がある。細い形状の淡竹(はちく)はあまり市場に出回っていないが、非常に美味しいといわれている。山菜として扱われる姫竹(根曲がり竹)は笹の仲間で仙台などの東北ではおでん種として親しまれている。
おでん種専門店でたけのこをおでん種にするお店は少ないが、杉並区堀ノ内の丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店では「たけのこ入り」という揚げ蒲鉾を作っている。たけのこのほかに桜海老やごぼう、人参などが入っていて、唐辛子がアクセントとなっている。
おでん料理店では旬の具材として提供する場合が多く、浅草の大多福や大阪道頓堀のたこ梅などで取り扱っている。
たけのこの選び方
たけのこは鮮度が重要で、時間が経つごとにえぐみが増すため購入したらすぐに下茹でするといい。
穂先は緑よりも黄色いもの、皮の色が薄いもの、皮が開いていないもの、根元の粒が少ないものが鮮度がよい証だ。また、断面は楕円のほうが柔らかく煮えるともいわれている。小さいほうが柔らかいとされるが、可食部が少ない。
たけのこの下茹で(アク抜き)方法
ここからはたけのこの下茹で方法を解説していこう。下茹ですることによってアクを抜き、えぐみを取り除いていく。
必要なものは米ぬかと唐辛子(鷹の爪)だ。たけのこ250gあたり米ぬか1カップ、唐辛子は1本用意する。あらかじめ米ぬかに唐辛子の粉を混ぜた市販品も販売しているので、そちらを利用してもいいだろう。一緒に茹でても辛味は移らないので安心して使うといい。
最初にたけのこの表面についた泥を払う。さらにたわしを使いながら、水で綺麗に洗い流す。
たけのこの先端を斜めに切り取り、側面両側に包丁を縦に入れる。中身の形を想像しながら、皮だけを切断するように切るといい。おそらくは包丁越しに柔らかさの違いを感じ取れるはずだ。切れ目を入れることで火が通りやすくなり、アクも抜けやすくなる。
たけのこは2、3枚ほど皮をむき、米ぬかと唐辛子と一緒に鍋に入れる。たけのこがかぶるくらいの水を注いだら、中火で沸騰するまで茹でる。
沸騰したら弱火にして1時間ほど茹で続ける。アクが出てくるのでこまめに取り除き、水量が足りなくなったら適度に水を加えよう。このとき、落とし蓋をすると効率的に火が入る。
水面が沸々とするように火加減を調整し、吹きこぼれないように様子を見る。時間が来たら根元に串を刺し、すっと通ったら火を止める。
茹で汁に漬けたまま粗熱を取り、一晩程度冷蔵庫に置いておく。冷ましている間もアクは抜け、うまみがたけのこに戻っていく。
皮は1枚ずつはがしてもいいが、根元を押さえながら片方の手で本体をぐるりと絞ると綺麗に皮がむける。
穂先より上の「姫皮」と呼ばれる柔らかい皮は食べることができる。重なり合った皮を十二単に見立てたのが名前の由来といわれている。上の写真の1番上が姫皮だ。先端は固いので、包丁で取り除いて利用しよう。
産毛のついた外側の皮も根元あたりは食べられるので、包丁で切り分けるといい。細切りにして和物や味噌汁に使うと美味しく味わえる。どの辺りまで食べられるかはその場で味見して判断するといいだろう。
たけのこは可食部が少ないと感じるかもしれないが、皮を含めると意外に食べられる部分が多いことに気付く。時間に余裕がある場合はぜひ皮まで切り分けるといいだろう。
皮をむいたたけのこは穂先、中程、根元に切断する。小さいものは真ん中でふたつに切り分ける。穂先は柔らかいので繊維に沿って縦に切り、中程と根元は繊維を断ち切るようにイチョウ切りや輪切りにする。
すぐに調理しない場合は水に浸して冷蔵しておくことで4日ほど保存できる。毎日水を取り替えるのを忘れずに。
余ったたけのこはおでんだけでなく、炊き込みご飯やおひたし、煮物などにするといいだろう。春キャベツなど旬のものと合わせることで、季節の味を存分に味わうことができる。
おでんのたけのこを調理する
おでんには穂先、中程、根元のどの部位も使えるので好みで選ぶといい。調理方法はほかのおでん種と同じく、おでん汁で煮るだけだ。
穂先は香りがよく柔らかいのでさっと温める程度、中程はおでん汁で10分から20分程度煮て、しばらく冷ますと味がよく染みる。根元はさらに一晩ほどおいてもいいだろう。
食べる際は木の芽や鰹節をかけて上品に盛り付けると雰囲気が出る。春らしいおでんが完成するが、新玉ねぎや山菜など旬のものをいっしょに入れてもいいだろう。
たけのこは下茹でに時間がかかるが、難しい工程は一切ないので失敗せずに調理できる。春にしか味わえないものなので、時間の余裕があるときにぜひ挑戦してもらいたい。
取材・文・撮影=東京おでんだね