街道沿いでひと際目を引く黄色に朱文字テント
『成蹊前ラーメン』は五日市街道沿いにあり、黄色い日除けテントには赤文字で店名が分かれている。店舗を訪れたのはラストオーダー近くだったが、数名が入店待ちをしていた。これを見ても人気店であることがわかる。
しばらく待った後に店内に入って券売機へ。各ラーメンごとにプチ100g・小150g・中200g・大300gと、細かく麺の量が書かれている。後に店主の佐々木さんにうかがったところ「券売機にはありませんが、プラス料金で最大800gまで麺を増量できます」と教えてくれた。
この中から中ラーメン730円を購入することにした。券売機の上にあるホワイトボードには、「今日のラインナップ」とあり、本日の焼きチーズ・本日のspecialたまご、本日の秘密兵器と書かれている。ちょっと気になったので、本日のspecialたまご100円も購入。
食べる前から心躍るパフォーマンス
ラーメンの提供直前にトッピングを聞かれる。ヤサイ・ニンニク・アブラといったものに加え、ほかでは見られない唐辛子の文字が。
佐々木さんは「以前にあった二郎インスパイア系のお店が、卓上にトウガラシを置かずにトッピングにしていたので、それを引き継いでいます。カウンターが狭いこともあるのですがね」と笑って教えてくれた。
他店ではあまり見られないが、ヤサイは注文を受けてから茹でる。この方が野菜の旨味やみずみずしさを感じられるので、開店時から続けているという。
チャーシューを丼に入れると、佐々木さんはおもむろにバーナーでチャーシューを炙った。「炙ることで香ばしくなり旨味が増します。このほうが豪快に見えるでしょ」と佐々木さん。ちなみに、日替わりの本日の焼きチーズ60円の食券を購入すれば、チーズもバーナーで炙るそうだ。
パンチのあるスープと極太の自家製麺、炙ったチャーシューもいい
ついにお待ちかねのラーメンが着丼。
大盛りの野菜をかき分けて、まずはスープを。毎日注ぎ足して、火を加えてじっくりと煮込んだスープは、豚のエキスが出ていて旨味がたっぷり。強烈なパンチがあるが、飲んでもしつこさを感じない。
合わせる麺は、かなりの極太。佐々木さんは「麺は自家製で、小麦とかん水、水だけで作っています。もともと太めで食べごたえはあったのですが、お客様の要望を聞いているうちにどんどん太くなり、現在のこの太さになってしまいました」と話してくれた。
スープが絡みついた麺は、見た目通りにガシガシとした歯ごたえだが、モッチリとした食感もある。麺がどんどん進んでいくが、ヤサイをひと口。ただでさえおいしいスープに、シャッキリとしたヤサイの食感と旨みが加わる。これならマシマシでも食べられたかもしれない。
炙ったチャーシューも絶品。低温調理されているので、とろけるような柔らかさがあり、香ばしさが加わった旨さが広がる。
リーズナブルに楽しめる日替わりの卵
本日のspecialたまごは、「濃厚チリソース卵」。生卵とチリソース、フライドガーリック、チャーシューが入り、たっぷりのコショウが振りかけてある。
これをよく混ぜて、麺につけて食べれば、麺に絡みついた濃厚なスープと、まろやかな甘辛い卵の風味が加わって、究極の味変を楽しめる。これで100円? 安い! 佐々木さんに尋ねると「お客様が楽しんでくれるのが一番ですから、この値段を維持していこうと考えています。ポン酢卵やゴマダレ卵など、日替わりとなります。季節や旬を盛り込んだ本日のspecialたまごも登場しますので、楽しんでいただければうれしいです」と話してくれた。
さらに、本日の秘密兵器は無料だという。この日は四川ラー油だった。気になった秘密兵器があればトッピングを伝える際に一緒に注文しよう。
初めての二郎インスパイア系に最適
ラーメンも含めて、こんなにリーズナブルでいいのか佐々木さんにうかがうと「地域貢献じゃないですけれどもお客様が満足してくれるのが一番です。ラーメンと人が好きなので、私自身、毎日楽しんでいます」と話してくれた。
おいしいだけでなく、リーズナブル。麺の量が100gから選べるということもあってか、女性の比率が高いという。今まで「二郎インスパイア系は量があってちょっと……」と敬遠していた人もぜひ食べてみることをオススメしたい。
取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン