熊本城のお膝元・桜の馬場城彩苑
熊本城南門から歩いてすぐ。ひと際にぎやかな観光施設が、歩き旅コースの最初の舞台!
まだ戦国の気風強く、戦に備えて軍馬を飼いならしておった時代。熊本城では、城の南側に馬を飼育する「馬場」を置いておりました。
その場所が、今では「桜の馬場城彩苑(さくらのばば・じょうさいえん)」なる土産処として、観光客の皆さまを出迎えておりまする。
熊本の三大名物「馬刺し」「辛子蓮根」「いきなり団子」の専門店をはじめ、多くの土産処・食事処が集まっておりまするので、ここに来れば満足すること間違いなし!
また、苑内にある「熊本城ミュージアムわくわく座」も外せませぬ。
ここは、小さなお子様から大人の方まで、楽しく遊び、体験しながら熊本城の歴史を学んでいただける歴史体験施設でございまする。
1階では、駕籠乗り体験や、熊本にまつわる偉人達とクイズ対決、熊本地震における熊本城の被災状況を視覚的に体感できる「熊本城被災復旧プロジェクションマッピング」などが目玉。
2階には、「ものがたり御殿」というステージがしつらえられており、時間ごとにVRツアーや、映像と芝居が融合した「痛快カラクリ展劇」などが楽しめまする。
さらに、わくわく座では、忍者や町娘の恰好になれる「なりきり体験」もご用意!熊本城とわくわく座を両方楽しめるお得な2館共通券を使い、時代衣装での熊本城散策もおすすめじゃ。
ちなみに、城彩苑内にある、水で囲まれた舞台「親水空間(しんすいくうかん)」で、我ら熊本城おもてなし武将隊が、毎日午前11時30分から演舞をご披露。これも、熊本城観光の目玉ですので、ぜひ観に来てくださりませ!
いち早く復興を遂げた重要文化財
城彩苑を出ると、左手に「坪井川(つぼいがわ)」が見えてまいりまする。熊本城をぐるりと取り囲み、天然の堀として整備された川じゃ。
この坪井川に沿うように作られた「長塀通り(ながべいどおり)」が、歩き旅にぴったり!たもとに加藤清正の有名な銅像が立ち、季節ごとに様々な表情を見せてくれまする。
また、川の対岸には、全長242メートルにもなる国指定重要文化財「長塀」が、圧巻の風格を漂わせておりまする。
長塀は、2015年の台風15号と2016年の熊本地震で、相次いで被災。広範囲にわたって倒壊したにも関わらず、急ピッチで復旧作業が行われ、2021年はじめごろにいちはやく復活いたしました。
熊本城天守も復旧半ば、世間もコロナの波にのまれて暗かった中で、「長塀完全復旧」の報せは、熊本の民の心を勇気づけてくれたのです!
この春の長塀通りも、坪井川に垂れ込めるような美しい桜並木に彩られ、沢山のお客人で賑わうことと思いまする。皆さまもぜひ、おいでくださりませ!
そんなところに名所?穴場観光スポット
長塀通りを抜けると、正面に大きな茶色い建物・熊本市役所が建っておりまする。実は、この建物の中に穴場スポットがございまする!
自動昇降機(エレベーター)で熊本市役所14階へ。
なんと、ガラス張りの展望ロビーから、熊本城域が一望できるのでございまする!熊本地震の被害状況や復旧の様子も、大変分かりやすくご覧いただけまするよ。
また、熊本城の後方につづくのは、熊本市内で一番標高の高い金峰山(きんぽうざん)をはじめとする山々。
熊本城の石垣に使われている石は、金峰山一帯から切り出したと言われておりまする。「遠くから運んできたんじゃなあ」と、武士の時代に思いを馳せていただくのも一興にございましょう。
そして、この展望ロビーは市役所の中にあるにも関わらず、夜22時まで解放されているサービスっぷり!ゆえに、毎夜行われている「熊本城ライトアップ」も充分に楽しめまする。
市街地でアクセスも良く、昼も夜も楽しめる穴場観光スポット。この記事で、人気が出ちゃったら、わたくしの鼻が高くなるのう~!
細川家が生んだ、必見の名園
わたくしが組んだ歩き旅コースは、次のスポットが最後!
市街地からは、いささか距離がございますので、ぜひ熊本市電(路面電車)に乗ってくださりませ。
「熊本城・市役所前」駅で乗車し、「水前寺公園」駅で降車。歩いて5分ほどのところにあるのが、美しい大名庭園「水前寺成趣園(すいぜんじ・じょうじゅえん)」でございまする。
この庭園は、肥後細川家の初代藩主となられた細川忠利公が、1632年に御茶屋を置かれたのが始まり。
阿蘇からの伏流水が湧き出る池を中心に、風情ある美しい景色が楽しめまする。園内はぐるりと回遊できる造りになっており、歩き旅にぴったりの場所でございまする!
熊本の大名と言えば「加藤清正」ですが、実はその治世はほんの数十年。加藤家ののちに、熊本を240年近くも治めたのは「細川家」でございました。
水前寺成趣園も、その細川家によって築かれ、守られてきた歴史ある庭園なのでございまする。園内には、細川家の歴代藩主を祀った「出水神社」も置かれ、熊本と細川家の深いつながりを感じていただけることにございましょう。
また、園内の景色は「東海道五十三次」の風景を模しておる、と言われまする!例えば、湧水の池は「琵琶湖」、その向こうに見える一番大きな築山は「富士山」。
熊本の歩き旅で、日本をぎゅっと凝縮した風景が楽しめるとは、贅沢でございましょう?
さらに、絶対にご覧いただきたいのが「古今伝授(こきんでんじゅ)の間」。
細川家初代・藤孝公が、秘伝とされた古今和歌集の奥義を、八条宮智仁親王に伝授したと言われる由緒ある建物にございまする。大正元年に京都から熊本へ移され、大切に守られてきました。
この格式ある場所でなんと、茶菓とお抹茶をいただくことができまする(有料)!
園内の景色は、ここから見ると最も美しいと言われておりまするので、お茶を一服いただきながら、雅な時間を過ごしてくださりませ!
結びに
後編にもお付き合いいただき、まことに有難うござりました!
熊本城を観光し、後編に登場したスポットを回れば、丸1日じっくり熊本を味わえると思いまする!わたくしが考えた歩き旅コース、いかがでござりましたか?
前編・後編でご紹介した数々の名所を巡っていただくことで、熊本の人々が大切にしているものや想いに触れる旅が出来ると期待しておりまする。
熊本城おもてなし武将隊にも会いに来ていただければ、全力でおもてなしさせていただきまするよ!
熊本には、この記事でご紹介しきれなかった名所がまだまだございまする。
皆さまがいつか熊本に来て、歴史や自然に美味しい食、熊本の魅力をたくさん味わってくださる日を心待ちにしておりまする。
それではいつの日か、熊本でお会いいたしましょう!
さらばじゃ!
撮影・文=八十姫(熊本城おもてなし武将隊)