時代と逆行?常に行列ができるつけ麺専門店
最近のラーメンの流行りは淡麗系。言われてみるとさらりとしたスープの店が増えているような……。「うちなんてガッツリ太麺で、ぜんぜん逆方向だからさ」と話すのはスタッフの辻さんだ。たしかに今の流行りとは違うのかもしれない。だけど、この日も店の前は常に行列ができていた。間違いなく人気の店だ。
最初の店の場所が東高円寺だったため、店名は「ひがしこうえんじ」の終わり3文字をもらって『えん寺』。今でこそベジポタスープを出す店も増えたが、発祥はこの店だ。店長の藤本さんが一人で作り上げた。
長い間、東高円寺が本店だったが、現在は吉祥寺が総本店。辻さんはこの店のスタッフ10年以上というベテランで、しょっちゅうラーメンの食べ歩きをInstagramにアップするラーメンフリークでもある。
「何系でも行ってみますよ。うまいな〜って思うラーメンもたくさんある。でも結局、うちのつけ麺がやっぱうまいな!って」
イイ!ストレートで正直な感想、めちゃくちゃナイスです。
では一番うまい!と思うポイントは?と聞くと「スープのとろみだね!野菜から出る自然なとろみ。本当にうまい」
話をするだけで胃が刺激され、食欲が湧き上がった。
どちらもインパクト大!野菜ベースの濃厚ベジポタスープと極太の胚芽麺
最初にふわっと香ったのは魚介系。その後は押し寄せる濃厚なとろとろ食感に圧倒された。もはや豚骨なのか野菜なのかまったく判別はつかないが、凝縮された深い旨味が口の中いっぱいに広がる。どろりとした見た目からはわからなかったが、しつこさが一切ない。不思議な軽さだ。
麺は特注の胚芽極太麺。ずぞぞぞぞっとゆっくりすすり上げる。小麦の風味が抜群で、つけ麺らしい弾力のあるシコシコ感。ぽってり濃厚なこのスープに合わせるために作られた、超力強い麺。絶妙なバランスだ。
選べる3種類の麺。平打ち麺は夏だけのお楽しみ
食券を買うときに3種の麺がセレクトできる。一番のオススメの麺は今回食べた極太胚芽麺だが、つるつるとしたのど越しを求めるなら太もちもち麺、胚芽麺よりもやわらかい食感でバランスの良さを求めるなら太国産小麦麺がいい。
夏だけのスペシャルメニューとなるが、隠れた人気なのが平打ち麺だ。4種の中で一番細く、しっとりもちもちののど越しがたまらない。
お腹はパッツパツなのに、不思議と重くないヘルシーさ
スープを飲んだわけではないが、ふつうに麺をすするだけでスープはかなり減っていく。それだけ麺との絡みがよいということだ。スープのお代わりは1杯無料なので、大盛り(1.5玉)、特盛り(2玉)、メガ盛り(2.5玉)の人はオーダーしよう。
ラー油で味変したり、割スープを入れたりと堪能しまくった。腹がパツパツでもう動けねえんじゃ……。と思ったが、そんなことはなかった。お腹はいっぱいだが、重くはない。
スープの成分のほとんどは野菜、極太で歯ごたえはあるが、ビタミンやミネラルを豊富に含んだ胚芽麺というコンビネーションはとてもヘルシーだ。年齢を問わず、毎日のように通う客もいるというのも納得できる。
店を出ると、入り口付近はやはり行列ができていた。流行とは関係なく、ファンの心を掴んで離さない店だ。
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ